ニュース

外国人の児童生徒への教育、教員の9割が「日本語の指導に課題」と回答

行知学園が小中高の教員1,015人に調査を実施

行知学園株式会社が小中高の教員1,015人に調査した「外国人の児童生徒への教育」の調査結果を発表

留学生進学予備校や日本語学校、日本語講師養成講座を運営している行知学園株式会社は、小学校・中学校・高等学校の教員1,015人を対象に「外国人の児童生徒への教育」に関する調査を行った。

外国人の児童生徒が年々増える中で、日本語の授業の理解や、日本の文化や生活様式になじめていないことが課題として回答に挙げられた。また、そのために取り組んでいるものとしては、日本語を教えるための日本語学習が多く、必要と考えるスキルとして外国語が多く回答に挙げられた。

【調査概要】

  • 調査期間:2024年9月11日~2024年9月12日
  • 調査方法:PRIZMAによるインターネット調査
  • 調査人数:1,015人
  • 調査対象:調査回答時に小学校・中学校・高等学校の教員と回答したモニター(※インターナショナルスクールは含まない)
  • 調査元:行知学園
  • モニター提供元:PRIZMAリサーチ

■外国人の児童生徒は増加傾向
はじめに「現在勤務している学校の担当クラスの児童生徒で、外国人の人数はどのくらいですか?」と質問したところ、「5人未満」(41.8%)の回答が最も多く、「10人未満」(21.9%)、「15人未満」(10.9%)と続いた。

「0人」の回答は1割ほどとなり、「外国人の児童生徒がクラスに数人いる」との回答は6割強を占めている。

次に、「今後自分の学校では、外国人の児童生徒が増える傾向にあると思いますか?」と質問したところ、約8割が「とても増えると思う」(26.1%)または「やや増えると思う」(59.0%)と回答した。

担当クラスにおける外国人の児童生徒数や今後の傾向について

■日本語の授業や日本文化・生活様式になじめていないことに課題感
次に、「外国人の児童生徒の対応で困っていることはありますか?(複数回答可)」と質問したところ、「日本語の授業の理解に困難がある」(32.4%)との回答が最も多かった。次いで「日本文化・生活様式になじめていない」(31.0%)、「生徒間とのコミュニケーションがうまく取れない」(30.1%)、「日本語の指導が困難」(28.9%)となった。

合計すると約9割が、日本語の理解や指導、日本での生活になじめていないこと、コミュニケーションの問題など、さまざまな面で課題を感じていることになる。

「外国人の児童生徒の保護者への対応で困っていることはありますか?(複数回答可)」と質問したところ、「日本の文化や社会・生活様式になじめていない」(44.9%)との回答が最も多く、次いで「学校からのお知らせや書類が理解できていない」(34.3%)、「児童生徒のことで保護者と連携が取れない」(33.9%)となった。

保護者については、「日本の文化や生活になじめていない」との回答が半数近くにのぼった。そのほかにも、学校からのお知らせが理解できていないことや、児童生徒のことで連携がとれないなどの声も多く挙がっている。

外国人の児童生徒やその保護者との対応で困っていること

■外国語と日本語教育のスキルが必要
「外国人の児童生徒の教育のために、個人や学校として何か取り組んでいることはありますか?(複数回答可)」と質問したところ、「日本語を教えるための日本語学習」(37.1%)との回答が最も多かった。次いで「生徒とコミュニケーションをとるための外国語学習」(37.0%)、「語学・異文化交流などの校内研修への参加」(27.7%)となった。

次に、「外国人の児童生徒の教育のために、教員に特に必要なスキルはなんだと思いますか?」と質問したところ、「外国語のスキル」(32.6%)、「日本語教育のスキル」(31.4%)、「異文化理解力」(23.3%)となった。この結果から約6割以上の教員が、外国語と日本語教育のスキルが特に必要であると感じていることがわかる。

外国人の児童生徒のために取り組んでいることや教員に必要なスキル

■国家資格「登録日本語教員」の認知度は7割
「外国人の児童生徒に日本語を教えるために、個人で日本語教育について学びたいと思いますか?」と質問したところ、8割以上が「非常に学びたいと思う」(31.4%)または「やや学びたいと思う」(54.9%)と回答した。

次に、「2024年4月に「登録日本語教員」という国家資格が創設されたことを知っていますか?」と質問したところ、「はい」(70.1%)、「いいえ」(29.9%)となった。

日本語教育と登録日本語教員の国家資格について

■約9割が登録日本語教員の資格が役立つと考える
最後に、「外国人の児童生徒の教育に、登録日本語教員の資格は役に立つと思いますか?」と質問したところ、「非常に役に立つと思う」(35.8%)、「やや役に立つと思う」(53.3%)となった。合計すると、約9割が、「登録日本語教員」の資格は教育現場で役に立つと考えていることになる。

登録日本語教員の資格の有用性について