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NTT Com、「GIGAスクールパック」の受付開始 子供たち自身のデータ活用をめざす

端末と管理ツールのほか「心の健康観察」をセット

GIGAスクールパック

 NTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)は、クラウド型教育プラットフォーム「まなびポケット」において、「活用の先、データで学びをアップデートするGIGAスクールパック」(以下、GIGAスクールパック)の申し込み受付を4月9日に開始した。

 「GIGAスクールパック」は、児童生徒1人1台端末の環境を整備した「GIGAスクール構想 第1期」に続く、端末の更新費用が盛り込まれた2024〜2028年度「GIGAスクール構想 第2期」をサポートするもの。「基本パッケージ」と「応用パッケージ」の2つのパッケージで提供する。

 「基本パッケージ」は、ハードウェア面では、Windows/ChromeOS/iPadOSの3種類の端末に、端末管理ツール(MDM)や、タッチペン、端末のキッティング(設定やソフトウェアのインストールなど)を提供する。MDMとして、ChromeOSにはCEU(Chrome Education Upgrade)、WindowsにはMicrososoft 365 A1 for DeviceのMicrosoft Intuneを提供し、iPadOSについては選定中だという。

 加えてコンテンツ面で、端末の活用状況などを可視化するダッシュボード機能のほか、児童生徒の小さなSOSの早期発見を支援する「心の健康観察」、蓄積された教育データを通じて児童生徒の自分らしい学びを支援するポータル機能「AARポータル」などを含む。

 これらを、文部科学省の方針(公立学校情報機器整備事業)の補助上限55,000円で提供する。

 また「応用パッケージ」では補助対象の範囲を越えて、基本パッケージの内容に加え、各自治体の要望に応じて、端末保証、バッテリー交換、フィルタリング、5G/LTE回線などを提供する。

GIGAスクールパックのパッケージ内容
利用できる端末

 同日に開催されたオンライン記者会見において、NTTコミュニケーションズの稲田 友氏は、「データ駆動型教育に向けた2nd GIGAでは、どのように準備していけばよいかが問われていると考えている」と述べた。その中で、大人がダッシュボードで端末利用状況を把握するといった“大人によるデータ活用”だけでなく、「われわれが2nd GIGAで目指すのは、子供たち自身のデータ活用。データを使いこなし自分らしく学ぶタブレットを提案する」と語った。

子供たち自身のデータ活用を目指す

 基本サービスに含まれる「AARポータル」は、2025年春ごろにサービス提供開始予定。OECDが「Education 2030」で提供する「AARサイクル」を、データを使って実践できるようにするものだ。

 AARサイクルは、Anticipation(見通し)、Action(学び)、Reflection(振り返り)を回していくサイクルだ。「AARポータル」では、見通しをもとに学習をすると、AARに時間割のような形式でデータが自動的に集まっていく。それを元に子供が振り返りをして、次の学びを計画できる。

 また、子供がAARサイクルを回している様子は、教員のダッシュボードにも連携して確認できるようにする。これによってダッシュボードを、端末の利用状況を見るだけでなく、誰がどう使っているかまで可視化し、学校として改善できるようになるという。なお、保護者に定期レポートを提出する機能も提供予定。

 学習コンテンツについて、稲田氏は「さまざまな学習コンテンツを提供する方と話をしていて、すでに20社以上と連携の検討の話をしている」と語った。

 学習データの管理については、「契約対象である地方自治体や学校法人のそれぞれで学習データの権限が管理され、セキュリティが保たれている状態にする」(稲田氏)とのこと。自治体や学校、クラスの単位で、ロール(役割)に応じてアクセス範囲が決まる。

 また、「AARポータル」にAIを利用する可能性についての質問について、検討中との回答があった。例えば振り返りのサジェスチョンや、教材のレコメンデーションにAIを利用する可能性が考えられるという。

子供がデータを活用できる「AARポータル」
写真や学習コンテンツデータを連携
ダッシュボードで活用状態を可視化

 基本パッケージに含まれる「心の健康観察」は、3月29日に提供開始されたサービスで、基本パッケージの中に組み込んで提供する。

 子供たち自身が朝の会や帰りの会で気分について回答し、それを見て先生がフォローする。これをダッシュボードでも見えるようにしていく。回答の方式や選択肢も、自治体や学校でカスタマイズが可能。

児童生徒の心のSOSを早期発見