ニュース
教育DXロードマップを4省庁が公開、DX推進へ向け5つの重点施策を整理
2025年6月16日 12:03
デジタル庁、総務省、文部科学省、経済産業省は2025年6月13日、「教育DXロードマップ」を公開した。このロードマップは、2022年1月に策定された「教育データ利活用ロードマップ」の改訂版であり、過去3年間の成果と課題、また生成AIをはじめとする技術の進展を踏まえて、今後3~5年間で必要となる取り組みを整理している。
今回の改訂では、「学ぶ人のために、あらゆるリソースを」という新たなビジョンを掲げ、教育現場のデジタル化を推進するために、下記5つの重点施策が提示された。なお、国は個人の教育データを一元的に管理せず、学習者や教師等が、各自治体などで分散管理されているデータを利活用できるよう、必要な取組を進めていく方針である。
<5つの重点施策>
① デジタル化による教職員の負担軽減
② 多様な学びのための学習環境の整備
③ データによる学習者の自己理解・教師の見取りの充実
④ 生涯を通じて学びのデータを活かせる環境の整備
⑤ 教育政策や実践にも資する教育データの研究目的の利用
第1の施策では、教職員の業務負担軽減を目指して、文書作成や調査業務のオンライン化、全国的な校務DXの整備が掲げられた。また「12のやめることリスト」として、紙や電話など従来のアナログ業務をデジタル化する具体策が示されている。
第2の学習環境の整備については、ネットワーク環境の整備や1人1台端末の活用、さらに発達段階に応じた生成AIの学習での活用も明記されている。
第3の教育データ利活用では、学習者の理解促進や教師による指導の質を高めるため、教育データを活用した学習者の自己理解や教師の見取りを支援する環境の整備が進められる。その実現に向けて、データの標準規格の普及を進めるとともに、学習ログや成績、ポートフォリオ情報などを可視化し、ダッシュボードを通じて学習状況を分析できる仕組みが整備される。一方で、個人情報保護への配慮として、留意事項の整理・周知徹底もあわせて進められる。
第4の生涯学習データ環境の整備では、転校や進学時などでも学びの履歴を本人の意思で持ち運べるようにするため、分散管理された教育データの安全な連携基盤の仕組みが整備される。高等教育機関や就職先などとの連携も想定されている。
第5に、教育政策や実践に資する研究目的での教育データ利活用も推進される。匿名加工済みのオープンデータの活用により、政策効果の分析や教育技術の開発を進める。
これら5つの重点施策に加えて、各施策の実施時期やマイルストーンを示した「重点事項に関する工程表」も公開された。工程表では、2029年度までに全国的な次世代校務DX環境の整備、すべての学校におけるネットワーク速度の確保、デジタル教科書の全面活用などが計画されている。
なお、本ロードマップは2025年5月15日から28日まで実施されたパブリックコメントの意見や、有識者との意見交換を踏まえて取りまとめられたものであり、今後も状況の変化に応じて柔軟に見直しながら、関係機関と連携して施策を進めていく方針としている。