レポート
イベント・セミナー
GIGA端末から高性能PCまで、EDIX東京で展示された教育用PCを一挙紹介!
2023年5月17日 06:30
2023年5月10日から12日にかけて開催された第14回EDIX(教育総合展)東京では、GIGAスクール端末など学校で使う児童生徒用PCや教員用PCが数多く展示されていた。
学習者用端末は、すでに小中学校で1人1台端末が整備されているため、今回のEDIXではハードウェアの展示は例年より減っていたが、一方で、NEXT GIGAに向けて端末の入れ替え時期も控えており、下見モードの教育関係者も多かっただろう。また高校生向けのPCや、プログラミング、STEAM教室向けのハイスペックマシンも並んでおり、本稿ではEDIX東京で展示されていたPCを紹介していく。
dynabook:ハイスペックなWindows PCを推し
dynabookのブースでは、GIGAスクール端末をはじめ、高校生・大学生向け、また教員向けのPCが並んでいた。
今回、ブースで前面に押し出していたのは、ハイスペックなノートPC「dynabook RJ74」だ。第12世代インテル Core プロセッサーを搭載、14型の大きな画面ながら約940gの軽量化を実現、バッテリー稼働時間も24時間という、教育現場で扱いやすい高性能なノートPCが展示されていた。
それだけにGIGAスクール端末よりもだいぶ高額になるが、本格的なプログラミングや動画編集などクリエイティブな学習にも使えるほか、アメリカ国防省のMIL規格に準拠したテストをクリアした堅牢性を備えているので、頑丈で長く使える。そのため、GIGAスクール端末のような貸与端末としてではなく、高校生や大学生が購入するPCとしても展開していくという。
また13.3型となるが、ペンとタッチが使え、キーボードを折り返してタブレット風にも使える5 in 1ノートPC「dynabook V83」も合わせて展示。こちらも第12世代インテル Core プロセッサーが搭載可能で、979gの軽さと仕様によって24時間のバッテリー稼働を実現している。
ブースではこのほか、GIGAスクール端末として納入されている 2in1のデタッチャブル仕様の「dynabook K50」および「dynabook K60」を展示。両者の違いは主にCPUがCeleron N4020かPentium Silver N5030かの違い。キーボードが分離してタブレットとして利用でき、タッチパネルやペンに対応したモデルとなっている。
レノボ・ジャパン:STEAM教室向けゲーミングPCやワークステーションを展示
レノボ・ジャパンのブースで注目したいのは、STEAM教室向けの端末として展示されていた、高性能CPUと高性能グラフィックボードを搭載したPCだ。
プログラミングをはじめ、画像処理などを行うとなると高性能PCは必要。その点、ゲーミングPCであれば、ゲームで複雑な画像を表現する性能を兼ね備えているため、かなり本格的なプログラミングや動画編集にも対応できる。展示されていたのは、Lenovo Legionシリーズで、ゲーミングノートPC「Lenovo Legion 750i」とタワー型ゲーミングPC「Lenovo Legion T770i」だった。
また、超小型ワークステーション「ThinkStation P360 Tiny」も展示。同製品は手のひらサイズの本体に高性能CPUとグラフィックボードを内蔵しており、本体をそのまま液晶モニターの裏に装着できる。PC教室ではスペースや電源コンセントの数の関係から一体型PCが好まれる傾向にあるというが、この製品なら一体型としてまとめられ、電源も1本ですむ。
一方、1人1台の学習者用端末としては、薄型の2-in-1 Chromebook「Lenovo Duet Chromebook Education Edition」をメインに、ノートPC「Lenovo 500e Chromebook Gen 3」を展示していた。さらに、Chromebook以外にもプロセッサーにARMアーキテクチャのQualcomm Snapdragon 7c Gen2を搭載した2-in-1Windows PC「Lenovo 10w Gen 1」も児童生徒用のPCとして紹介している。
そのほか、レノボ・ジャパンではVRヘッドセットとして、オールインワンの4K対応VRヘッドセット「ThinkReality Mirage VR S3」とビジネス向けの「ThinkReality VRX」を展示。教育現場に本格的に入っていくのはまだ先としながらも、VRを活用した教材やメタバースの教育利用が始まっており、将来を見据えた製品として展示していた。
ASUS JAPAN:ChromebookからWindows PC、ゲーミングPCまで取り揃え
ASUS JAPANは、今回のEDIXがASUSとしては初となる単独出展。PCメーカーとして、教育現場に向けて多数のラインナップを取り揃えている。
ASUSは近年、ゲーミングPCなどの「ROG」ブランドも推しており、ブースにはROGのゲーミングノートPC GeForce RTX 4080 Laptopを搭載した「ROG Flow Z13 GZ301VV」を展示していた。
教員用にはハイスペックのPCも取りそろえるが、児童生徒向けには、ビューワーとしての用途が主になるとし、当面は現在のWindowsとChromebookをGIGAスクール端末のランナップとして展開していくという。
なお、ASUSでは端末の堅牢性やサポート体制の充実もアピール。高性能なWi-Fiルータのラインナップも展示していた。
Google:生徒から教員まで使えるChromebookが勢ぞろい
Googleのブースでは、主にGIGAスクール端末として導入されている児童生徒向けのChromebookや、教員用のChromebookを展示。また、この記事でレポートしたように、既存のPCや学校にすでにあるPCにインストールしてChromebookに近い動作環境を実現する無料OS「ChromeOS Flex」も紹介されていた。
児童生徒用のChromebookは、デル、HP、Acer、NEC、Lenovo、dynabook、ASUSの端末が並び、来場者は実際に触りながら製品を見比べていた。
児童生徒用のラインナップのほか、教職員用の高性能Chromebookも展示されていた。
TDシネックス:専門的な情報の学習に使える高性能PCを展示
また、外資系ITディストリビューターのTDシネックスのブースでは、レノボのAMD製CPU搭載の高性能PCなどを展示した。情報系など高度な計算処理を要する教育現場に必要なラインナップとして紹介している。展示されていたThinkPad Pシリーズは、ノートPCというよりはモバイルワークステーションと呼ばれるクラスの機種となる。
GIGAスクール構想から3年近くがすぎ、小中学校や高校における1人1台端末の活用は進んできている。そのため、今回のEDIXでは教育関係者の関心はソリューションに向いていたと思うが、一方で、STEAM教室で使う高性能PCが多く見られたのは印象的だ。GIGAスクール端末のスペックでは動画編集などのクリエイティブな作業ができない、といった話も聞こえてきており、今後、児童生徒たちにどのような端末がふさわしいのか、教育関係者の見極めが重要になりそうだ。