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iPadの活用をさらに広げるために必要なものは?EDIX東京、Apple関連のブースを紹介

第14回EDIX(教育総合展)東京、iPad Experience Centerブース

第14回EDIX(教育総合展)東京が、5月10日から12日にかけて東京ビッグサイト西展示棟で開催された。本稿では、iPadを中心とした教育向けAppleソリューションについての展示をレポートする。

iPad利用について4つのテーマで展示「iPad Experience Center」ブース

今回のEDIXでは、Jamf Japan合同会社による「iPad Experience Center」ブースが初出展。同ブースでは、学校でのiPad利用について、「iPadを活用する」「iPadのスキルを身につける」「iPadを管理する」「iPadを安全に使う」の4つのテーマで展示していた。さらに、それらの内容について、現場の教員やiPadの導入・活用に詳しいスペシャリストがプレゼンステージでミニセミナーを開いていた。

「iPad Experience Center」ブース

「iPadを活用する」では、大阪府枚方市や熊本市におけるiPadの活用事例を紹介。また「iPadのスキルを身につける」では、学習や指導でApple製品の活用を提案する、Apple独自の要件を満たした教育エキスパート「Apple Professional Learning Specialist」も紹介していた。学校向けにエキスパートによる教員研修を提供しているという。

「iPadを管理する」では、端末を一元管理するMDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)システムの「Jamf Pro」と「Jamf School」について紹介していた。「iPadを安全に使う」では、生徒に安心して使わせるためのコンテンツフィルター「Jamf Data Policy」も展示されていた。

これからNEXT GIGAに向けて教育データの利活用がさらに進むと言われているが、Jamf Data Policyでは、データ通信から自宅学習の時間やアプリの活用頻度などを見える化し、学習効果を高めていくような活用を提案していくという。

iPadを管理する:MDMのJamf ProとJamf Schoolについて説明
iPadを安全に使う:コンテンツフィルター「Jamf Data Policy」について説明

プレゼンステージではさまざまな講演が行われていたが、その中のひとつ、森村学園初等部の榎本昇教諭はJamf Schoolを活用した端末管理の事例を語った。同校ではJamf Parentsの機能を活用し、それぞれの家庭に合わせて自宅でのiPadの活用を制限できる環境を提供しているという。

また榎本教諭は、iPadを活用した映像制作の実践を取り上げ、児童が積極的に情報共有をしながら制作する様子を紹介。安心・安全な環境を築くことで、離れた場所にいても共同制作が進められることや、学校にいる時間をより創造的な活動に使えていると述べた。

榎本教諭の講演。森村学園初等部はセルラー版のiPadを導入している

Too、iPadの導入から活用、映像編集までのソリューションを展示

長年にわたってApple製品を扱っている株式会社Tooのブースでは、iPadの導入から、設定と保守、デバイス管理、授業での活用、さらにはMacへの発展や、映像制作・編集まで、Appleの教育環境をサポートするさまざまなソリューションやデバイスを展示していた。

Tooによる教育環境のさまざまなステージの支援

iPadのコーナーでは、iPadの導入から活用までのソリューションを紹介していた。

「まなび応援!Apple専用分割プログラム(残価設定プラン)」は、学業で利用するAppleデバイスの購入負担を軽減する個人向けファイナンスプログラムだ。学校で使うiPadを家庭で購入する際、経済的負担が懸念されているが、同プログラムでは残価設定型リースによって、分割払いで月々の負担を軽減しつつ、支払いの総額も抑えられる。また、利用帰還終了時の買い取りも選べる。

まなび応援!Apple専用分割プログラム(残価設定プラン)

「Tooあんしんパック エデュケーション」は、Apple製品の延長保証。落下、衝突、水漏れなど通常サービス対象外となる物損も保証する。これにより、iPad導入後に安心して使えるようにする。iPad向けプランのほか、MadBook向けプラン、デスクトップ型Mac向けプランも用意されている。

Tooあんしんパック エデュケーション

iPad活用研修は、iPadの基本操作や標準アプリの使い方、活用方法などを学べる教員研修。動画編集アプリ「Clips」を活用したショートムービーの作成や、プレゼンテーションアプリ「Keynote」を活用した学習レポートの作成など、明日から使える活用方法を紹介している。

iPad活用研修

また、Appleデバイスを一元管理するMDMシステムとして「Jamf Pro」を紹介。前出の「Jamf School」と異なり、こちらは自治体や生徒数の多い学校など大規模な端末管理に適したMDMとなる。

jamf Pro

iPadの発展的な活用として、2022年12月にiPad版がリリースされたBlackmagic Design社の多機能動画編集アプリ「DaVinci Resolve for iPad」も、専用コントローラー「DaVinci Resolve Speed Editor」とともに展示していた。

動画編集アプリ「DaVinci Resolve for iPad」と専用コントローラー「DaVinci Resolve Speed Editor」

Macのコーナーでは、動画編集アプリ「Adobe Premiere Pro」を展示。同アプリは、この5月に大規模アップデート(23.4)がされたばかりで、このバージョンでは、話している内容を自動で文字起こしし、字幕などに利用できる。また編集するときに、文字起こししたテキストから目的のシーンを探して、その場所に飛ぶこともできる。

さらに、たとえば文字起こししたテキストから一部をカットすることで、対応する部分の映像をカットできる機能もあるため、冗長な部分をカットするのが楽になる。

Premiere Proの5月の最新の大規模アップデート(23.4)

ほかには、オンライン授業を想定した映像制作関連の展示もなされていた。

ブースのステージでは、会場と東京オフィスをリアルタイムでつないで「VTuber先生セット」がデモされていた。実際の人間の動作を元にアニメーションを作る「Adobe Character Animator」などを使い、バーチャルキャラクターがリアルタイムで話すオンライン授業をイメージしたものだ。

VTuber先生セット

このような映像制作のための機材やソフトウェアも展示されていた。

その1つ、Magewellの「USB Fusion」は、ライブ映像ソースを組み合わせてプレゼンテーションを実現するデバイスだ。カメラとPC画面をボタン1つで合成したり、iPadで操作したり手書きで書き込んだりできる。

映像制作のための機材やソフトウェアの展示
MagewellのUSB Fusion
高橋正和