レポート
トピック
教育版マイクラでプログラミング!「Hour of Code 2021 (タイムクラフト)」で時間断裂の修復に挑戦
――教育版マインクラフト ワールド紹介その⑦
2022年9月6日 06:45
今回のワールド紹介は、教育版マインクラフトのなかでも、特に教育者の関心が高いプログラミングに関するワールド「Hour of Code 2021(タイムクラフト)」を紹介しよう。同ワールドは昨年リリースされ、既に日本語の翻訳も完了している。
Hour of Codeシリーズといえば、既に「Houf of Code 2020(インクルージョン)」の記事でも触れたように、教育版マインクラフトのアカウントがなくても体験できるデモレッスンに含まれている。アプリさえインストールできれば、すぐにでも試すことができるうえ、今年8月にリリースされたばかりの1.18.32ではスマホにも対応している。ぜひ、この機会に教育版マインクラフトの楽しさを味わってほしい。
まずは準備から。プログラミング言語、エージェントを選び、テストに挑戦
アカウントを持っているユーザーは、「主題キット」-「コンピューター科学」-「コードの時間」のカテゴリからワールドを作成して始めよう。
ワールドが生成されると、まずスタートのボタンを押すところから。映画のオープニングのようなアニメーションが表示され、未来感あふれる建物の中に入っていく。
続いては、操作の練習。床には道しるべとなる閃光が並んでいるので、キーボードやタッチ操作をしながらその方向に進んでいこう。マイクラに慣れていない人も、指示に従って1つずつこなしていくことができる。しばらく進むと、緑のブロックを見つけて、ボタンをクリックしてみよう。するとドアが開き、大きな部屋にたどり着く。どうやらここは「大規模時間異常研究所」という場所のようだ。
研究所の中に進んでいくと、「TARRA」と名乗るNPC(※)が出現する。最初の語りかけのテキストは日本語にはなっているものの、そこそこ漢字が多い。特に低学年の児童には「読めなーい」と言われてしまいそうだが、ここはイマーシブリーダーの力を借りて読みあげてもらうのもありだ。
※Non Player Characterの略。プレイヤーが操作できないキャラクターのことで、ワールド内を案内したり、問題を出題したりする。
その後は、このワールドで使用するプログラミング言語を選択する。選択肢は「Block」と「Python」のどちらか。ここでは「Block」を選んでおこう。この選択は途中で変えることはできないので注意。
言語を選んだら、コーディングをするロボット「タイムエージェント」を選ぼう。5つの色違いのエージェントの中から1つを選ぶ。このエージェント選びは、子どもたちにとっては楽しい時間のようで、少し余裕をもたせたいところ。ここも1回選んでしまうと、選び直すことはできないので慎重に決めよう。
エージェントを決めたら、コーディングをする画面「コードビルダー」との接続を確認する。キーボードの「c」キー、または画面のタイムエージェントのアイコンをタップすると、コードビルダーが起動しMakeCodeのブロックエディタの画面になる。ここは接続を確認するだけなので、何も入れない状態で緑色の「再生」ボタンをクリックし、一旦コードビルダーの画面を消しておこう。
ここまで確認ができたら、今後はテストエリアでコーディングに挑戦。TARRAの指示に従って連絡用の「TALKデバイス」を受け取り、テストエリアに進もう。広い研究所内を移動することになるが、閃光に従って進めば迷うこともないはずだ。
テストエリアでのコーディングは、タイムエージェントを前に3ブロック進める内容だ。「c」キー(またはエージェントアイコン)でエディタを開き、命令ブロックを並べてエージェントを動かしてみよう。うまくいけば、「上出来です!」と褒められる。
最初のミッションはジャズクラブでトランペッターの楽器探し
ここまでが準備段階となり、いよいよ本番へ。本番のミッションは、歴史に現れる謎の時間断裂を見つけ、誰が原因かを突き止め修復すること。冒険する世界では、時間の異常が発生しており、タイムエージェントとプログラミングで事件を解決していくという、なかなか壮大なアドベンチャー仕立てになっている。
まずはテストエリアから「タイムラインコンピューター」の場所に移動しよう。時間断裂を選ぶのだが、この段階ではまだ1つしか選べないので、ボタンを押して進めよう。次にタイムトラベルができる「タイムポッド」に進む。ミッションの内容を聞いてから、いよいよ時間断裂の修復に向かうのだ。
ひとつめの時間断裂では、ジャズミュージシャンがトランペットをなくしてしまい、代わりに使っているカズ―ではジャズの影響力が弱まってしまうという事態が発生。1920年代のニューヨークに行き、ジャズを守るというのがミッションだ。タイムポッドのボタンを押すと時間移動がはじまる。
ジャズバーに到着すると、トランペッターが困っているようだ。話を聞こう。問題のトランペットは壁の中に隠されていたようだ。
早速、タイムエージェントを使ってコーディングしトランペットを回収しよう。TALKデバイスを使って、「アクティビティーの開始」を選ぶとコーディングができるようになる。
もし、コーディングでつまずいてしまっても、TALKデバイスから「アクティビティーのリセット」をクリックすれば最初からやり直すこともできるほか、ヒントを段階的にもらうこともできる。ちょっとズルな気もするが、正解のコードをもらうことも可能だ。非常用として憶えておくといいだろう。
無事にトランペットを回収できると、時間断裂が修復されたようだ。
コーディングで終わりじゃない?ミッションには謎解きも
これで一件落着と思いきや、どうやらさらに謎解きが必要な様子。この場所に秘密のボタンがあるらしい。探してみよう。
ボタンを見つけて押すと、隠し部屋があらわれる。中に入ってみるとタイムエージェントの写真が並んでいる。これはいったいなんだろうか?TARRAの説明によると、時間断裂を引き起こしている容疑者の手がかりのようなので、よく覚えておこう。
ここまでで時間断裂を解決する最初のミッションは終わり。TALKデバイスを使ってセンターまで戻ろう。
残る9種類の時間断裂から冒険を選び、犯人を捜そう
センターに戻ると、タイムラインコンピューターのディスプレイに、残る9つの時間断裂が新たに表示されている。タイムポットのエネルギーは全部で3回分しかないため、残る2つのミッションを選んで解決していく。
筆者も⼀通りやってみたのだが、アポロ11号にプログラムを届けるミッションや、犬と人類が出会わない世界を修復するミッションなどが⾯⽩かった。
3回分のエネルギーを全部使って帰ってくると、時間断裂の犯人捜しとなる。どうやら犯人はタイムエージェントの中のひとりらしいのだ。今まで訪れた先のタイムエージェントの写真を思い出して、犯人はだれかを考えよう。
この際、自分が連れているエージェントと推理したエージェントによって終わり方が何通りかあるようだ。周りと見比べてみるのも楽しいと思う。なかなか衝撃的な展開もあった。
リプレイすることでミッションは何回でも攻略できる
全部で10個もある時間断裂だが、タイムポットのエネルギーは3回しかない。全てのエネルギーを使った後は、TALKデバイスを使って「リプレイ」することができる。どの時間断裂も何回でもやり直せるので、ぜひ10個全部の解決を目指してみてほしい。時間断裂を解決した数が増えていくと、「タイム○○」という肩書きがもらえるようなので、どう変わっていくのか競い合ってみるのも良いだろう。
また、Hour of Codeシリーズで通例となっている「クリア証明書」をもらうこともできる。ワークショップを行なう際にはぜひ印刷して持って帰ってもらうといいだろう。
指導者向けの資料も用意、1時間のプログラミング体験を楽しもう
Hour of Code 2021 (タイムクラフト)」では、指導用資料も用意されている。進め方がスライドにわかりやすくまとめられているので、プログラミングに慣れていない指導者にも使いやすいだろう。
今回紹介したワールドは、最初の準備段階を全員で進めて、それ以降はそれぞれが興味を持った時間断裂を選んでもらうのがよいようだ。マイクラに詳しい子どもたちがいれば、サポーター役を買って出てくれるはずなので、1時間のプログラミング体験授業も可能だろう。先生方自身も楽しんでやってみてほしい。
なお、本稿執筆時点において、最新版1.18.32ではいくつか不具合が発生しており、現在対応中のようだ。筆者の手元で確認した範囲では、「ビッグ バンド ジャズ」「ギザのピラミッド」「月のミッション」「人類最大の友」「古生物学パズル」という、5つの時間断裂では問題なかったので、直近でワークショップなど行なう際の参考にして欲しい。
教育版マインクラフト関連記事
ワールド紹介【1】冒険しながら、英語も学べる「ケンブリッジ大学の英語アドベンチャー」