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子供への期待、「身近な幸せ」重視の日本と「成長と社会貢献」重視の他国、スプリックス教育財団調べ
2025年12月26日 06:30
公益財団法人スプリックス教育財団は、基礎学力に対する意識の現状を把握することを目的に、「基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025」を実施し、結果を発表した。
第6回目となる今回は、保護者の「子供観」と「将来への期待」の国際比較に焦点を当てた。日本を含む世界11カ国の小中学生の保護者2,313人に「あなたにとって子供はどのような存在ですか」「子供に、将来どのような人になってほしいと思いますか」と質問した。
その結果、日本の保護者は「家族や友人、自分の意見を大事にしてほしい」と身近な幸せを子供に期待する傾向が強い一方で、調査に参加した日本以外の国の保護者は「社会に貢献し経済的に自立すること」など、将来の社会的な役割を子供に期待する傾向が明らかになった。
調査時期は2025年4月~8月。調査方法は、アメリカ、イギリス、フランス、中国、南アフリカでは、インターネットパネル調査を実施(各300人、小計1,500人)。エクアドル(173人)、ペルー(75人)、エジプト(86人)、インドネシア(87人)、ネパール(104人)、日本(288人)では、学校調査(1カ国あたり1~数校の学校および自宅での調査)を実施した(小計813人)。
(1)子供観:「感情的な関係」を強く意識する日本の保護者
「あなたにとって子供はどのような存在ですか」という質問に対し、各国の保護者に項目1の11の選択肢から、当てはまるものをすべて選んでもらった。その結果を日本の保護者の回答が多い順に図1に示した。さらに、日本と他国の回答率の差が大きい6項目について、その回答率の差を図1の右上に示している。
日本の保護者の特徴として、子供の存在は「喜び(私の人生に幸せと笑いをもたらしてくれる存在)」(90%)とする回答が圧倒的に多く、次いで、「かすがい(配偶者・パートナーと私をつなぐ存在)」(32%)や「心配の種(苦労や心配が多い存在)」(26%)といった感情的な家族のつながりを認識していることがわかる。その反面、「自立(子自身が自立した存在)」(23%)や「社会貢献(将来の社会を担ってくれる存在)」(16%)は他国と比べて低い結果となった。
一方、他国10カ国の保護者の特徴としては、日本よりは少ないものの「喜び(私の人生に幸せと笑いをもたらしてくれる存在)」(パネル70%、学校59%)が最多で、次いで「社会貢献(将来の社会を担ってくれる存在)」(パネル44%、学校49%)や「自立(子自身が自立した存在)」(パネル45%、学校44%)が強く認識されていた。
喜び:私の人生に幸せと笑いをもたらしてくれる存在
かすがい:配偶者・パートナーと私をつなぐ存在
心配の種:苦労や心配が多い存在
自立:子自身が自立した存在
社会貢献:将来の社会を担ってくれる存在
将来への希望:自分の夢を託すことのできる存在
経済的責任:お金のかかる存在
相続人:先祖や家を受け継いでくれる存在
将来の介護者:将来、自分の面倒を見てくれる存在
自由の制限:私の自由を束縛する存在
あてはまるものがない
(2)将来への期待:「身近な人間関係」を重視する日本の保護者
「子供に、将来どのような人になってほしいと思いますか」という質問に対し、各国の保護者に項目2の11の選択肢から、当てはまるものを3つまで選んでもらった。その結果を日本の保護者の回答が多い順に図2に示した。さらに、日本と他国の回答率の差が大きい6項目について、その回答率の差を図2の右上に示した。
日本の保護者の特徴として、子供には「自分の考えをしっかり持つ人」(68%)を最も重視し、「自分の家族を大切にする人」(58%)「他人に迷惑をかけない人」(46%)「友人を大切にする人」(38%)といった身近な人間関係を重視する回答が続く。その反面、「社会のために尽くす人」(7%)「周りから尊敬される人」(6%)「リーダーシップのある人」(4%)などの社会的な成功への期待は他国と比べて極端に低いことがわかった。
一方、他国10カ国の保護者の特徴としては、日本よりは少ないものの「自分の家族を大切にする人」(パネル46%、学校48%)が最多で、「経済的に豊かな人」(パネル47%、学校26%)「社会のために尽くす人」(パネル34%、学校37%)と続き、社会的・経済的な成功を重視する傾向が表れている。
自分の考えをしっかり持つ人
自分の家族を大切にする人
他人に迷惑をかけない人
友人を大切にする人
仕事で能力を発揮する人
経済的に豊かな人
社会のために尽くす人
周りから尊敬される人
リーダーシップのある人
のんびりと生きる人
あてはまるものがない
(3)保護者の「子ども観」が「将来への期待」に影響か
保護者の「子供観」と「将来への期待」の関係性について、調査対象11カ国で、「子供観」と「将来への期待」でそれぞれ回答が多かった上位2つをまとめたのが表1となる。
まず、表からはすべての国で「子は親の喜びである」が上位に来ており、将来への期待にも「家族を大切に」が上位にきていることから、「親にとって子は生きがいであり、家族を大切に生きてほしい」という意識が世界共通の認識であることが示唆された。また、日本以外の多くの国では「社会貢献」や「自立」を強く認識しており、それが将来への期待の「経済的に豊か」「社会に尽くす」につながっている可能性が示唆されるという。
一方で、「かすがい」を「喜び」の次に選んだのは日本だけで、「自分の考え」を最も期待しているのは日本と中国だけであったりと、日本の家族観の独自性も明らかになった。日本以外でも、ネパールが「喜び」よりも「自立」を強く認識したり、将来の期待でも「家族を大切に」よりも「仕事で能力を発揮」や「自分の考えを大切に」が多かったりと国によって傾向が異なり、その傾向は「子供観」と「将来への期待」である程度の一貫性があることが示された。
スプリックス教育財団では、こうした「子供観」と「将来への期待」の違いは、子供の学習動機付けにも影響を与えている可能性があると見る。
例えば、日本では「友達が塾に通っているから行く」「友達がやめたから私もやめる」といった、身近な人間関係に基づく学習行動が見られることがあるが、これは保護者の価値観が反映された結果かもしれないとコメントした。一方、他国では「家族の期待に応える」「社会的地位を獲得する」といった目標が学習の動機になりやすいと推察している。

























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