【連載】EducAItion Times

生成AIでつくる「我が家のルールブック」、親子ワークショップで見えた納得のカタチ

EducAItion Timesは、「大人のきぼう こどもの未来」をテーマに、生成AIの活用情報をお届けします。本連載は、生成AIコミュニティ「IKIGAI lab.」のメンバー8名が運営するもので、子供たちの好奇心を刺激する、新たな学びの提供をめざしています。

様々な生成AIサービスが増え、子供たちがAIに触れる機会が増えています。家庭の方針にかかわらず、生成AIとの接点が生まれる前提の中で、保護者は何を学び、どのような姿勢でいることが望ましいのでしょうか。

本稿では、明日2026年2月7日に開催されるイベントにて実施するワークショップ(以下、WS)設計のプロセスを通じて、家庭内ルールづくりに生成AIを活用する方法を整理します。

2月7日のイベントに向けて:WS設計の打ち合わせから

2025年末、私たちはインプレス本社で開催される親子と教員向けイベント「生成AI、どう教える?どう使う? 親の『不安』と先生の『多忙』をAIで解決する1日」を前に、親子向けWSの設計に取り組んでいました。

企画メンバーは、生成AIコミュニティ「IKIGAI lab.」の有志3名です。筆者に加えて、とりはらさん(まんが家)、長尾理真さん(フリーランス・1児の母)。女性3名のユニットとなりました。

今回目指したのは、親子向けの生成AI講座というよりも、 生成AIを利用した親子のコミュニケーションを設計するWS です。つまり、AIを教えるのではなく、AIを使って「家族のルールを整える体験」を届けることをゴールに置きました。

本企画の軸:「親が正しいことを言う場」にしない

親子を対象にした場を設計する際、最初に決めたのは「構造」です。

このWSは、保護者が正しい答えを提示して子供を納得させる場ではなく、 双方が納得できる策を見つけて提案・相談できる形にする 、として設計しました。

言い換えると、目的は「ルールを守らせる」ことではなく、 納得して運用できる形にすること です。家庭内ルールの設計では、内容の正当性以上に「続くかどうか」が結果を左右します。

目標を3つに整理:AIは効率化よりも“翻訳”として使う

WSで扱いたかったことを整理すると、以下の3点になります。

・親子コミュニケーションの質向上
・親自身の感情整理・自己理解
・AIを「効率化」ではなく「感情翻訳」に使う体験

生成AIの活用というと、時短や効率化に目が向きがちです。一方で、家庭内では「手段の効率」より先に「前提のズレ」が問題になることがあります。

たとえば「SNSの時間を減らしてほしい」という親の要望も、背景には「良質なものに触れてほしい」「睡眠を確保してほしい」など、複数の意図が含まれます。

しかし、子供の側にも「友だちとつながっていたい」「自分の興味を探している」といった理由があります。その前提を言語化し、並べて扱える形にする。今回のWSでは、AIをその補助として使う想定にしました。

親と子の言い分を“両方入れる”という前提

今回、ルールブックの内容として採用したのは、次の項目です。

・親の願い
・子供の気持ち
・ルール(合意案)
・抜け道ルール(交渉余地)
・育つ力(このルールで何が育つか)
・見直し日(有効期限)

ポイントは「親の願い」と「子供の気持ち」を 対立させず、並列に並べること です。並列にすると、議論が「どちらが正しいか」から「どう折り合うか」に移りやすくなります。

プロンプト設計で入れた安全設計:一方的な押し付けにならないために

生成AIは、入力された条件に沿って文章を組み立てます。そのため、親側の要望だけを入れると、出力も当然“親目線”に寄っていきます。

そこで、プロンプト段階で次の条件を入れる方針にしました。
・社会的な基盤(安全・権利・倫理)を参照する
・体罰はNG
・親の一方的な押し付けになっていないかをチェックする

※以下にプロンプトを一部掲載します(Gemのプロンプトが入ります)

##役割
親子の相互理解を深め、家庭内の平和なルール作りをサポートする「家族専属のAIカウンセラー(ネコ先生)」

## ワークショップのゴール
2つのテーマ(悩み)について、双方の言い分を聞き取り、解決策をまとめた1枚の「我が家のルールブック」を作成すること。

## 進行プロセス(厳守)
あなたは以下の手順で会話をリードしてください。

**フェーズ1:1つ目のテーマ**
1. ユーザーから「テーマ1の現状・親の言い分・子の言い分」を受け取る。
2. 【こころの翻訳】【育つ力(社会的価値)】を行い、具体的な【ルール案(ドラフト)】を提示する。
3. ユーザーの修正指示を受け、内容を確定する。「では、この内容で1つ目は決定だニャ!次は2つ目のテーマを教えてニャ」と促す。

**フェーズ2:2つ目のテーマ**
4. ユーザーから「テーマ2の現状・親の言い分・子の言い分」を受け取る。
5. フェーズ1と同様に、翻訳・価値付け・提案を行う。
6. ユーザーの修正指示を受け、内容を確定する。

**フェーズ3:ルールブックの発行**

以上はプロンプトの前半部分です。続きは当日に会場でお渡しする予定です。イベントの参加は受け付けておりますので、興味のある方はぜひ お申込みください

『生成AI、どう教える?どう使う? 親の『不安』と先生の『多忙』をAIで解決する1日』を2026年2月7日(土) 13:00開始に開催

出力結果を“共有しやすい形”にする:Nano-bananaで画像化

文章の出力はそのままでも使えますが、WSとしては「共有しやすい形」に落とし込むことが重要でした。そこでNano-bananaを使い、ルールブックを画像として生成しました。手順は次の通りです。

1. 参考にしたいデザイン画像を添付
2. 「同じトーンで、指定テキストを入れた画像を作って」と依頼
3. Gemで出たプロンプトをそのまま貼り付ける

参考にしたデザイン画像も、最初にNano-bananaで作成→テキスト部分のみ手動で修正しました。

まとめ:家庭内ルールと生成AIは、合意形成の補助として使える

いかがでしょうか。生成AIは、家庭のルールを「正しく決める」ための道具というよりも、親子が落ち着いて話し合うための補助としても活用できます。

意見が食い違うテーマほど、親子の会話はヒートアップしがちです。だからこそ、生成AIを間に挟んで論点を整理し、双方が納得できる案を探るプロセス自体が、親子関係の摩擦を減らす一助になります。

ルールブックを「一度決めたら終わり」にせず、見直し日(有効期限)を設けて更新前提にすることも、家族にとって無理のない運用につながります。生成AIを使ったルールづくり、親子でより良い関係を保ちながら、家庭の合意形成を進めていくための実用的な選択肢として活用してみませんか。

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IKIGAI lab.

140名のメンバーが所属する生成AIコミュニティ。監修:髙橋和馬・田中悠介。編集:新谷信敬。

稲垣 歩

1児の母。生成AIを使い、効果的な勉強方法や日々のタスクマネジメントを模索中。都内制作会社でクライアント企業の広報業務支援に従事する。IKIGAI lab.のファッション領域担当。