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情報Ⅰに対する不安トップ、「生徒の理解度が共通テストのレベルに達しているかわからない」
2024年4月8日 12:10
株式会社プログラミング総合研究所は、2025年の共通テストから導入される「情報Ⅰ」科目に対する教員の意識や学校現場の状況について、全国の教員・学校関係者462名を対象にアンケート調査を実施した結果を発表した。
プログラミング総合研究所は、株式会社スプリックスと株式会社サイバーエージェントの共同出資で2020年に設立された。プログラミング能力検定の開発・実施を行う「プログラミング能力検定協会」の事務局として運営を行っている。
【調査概要】
- 調査対象:全国の教員・学校関係者462名(有効回答数)
- 調査手法:インターネット調査
- 調査内容:「情報Ⅰ」科目に対する意識調査
- 実施期間:2024年2月20日~3月8日
(プログラミング総合研究所調べ)
プログラミング総合研究所では調査結果について、「少し感じている」まで含めると「情報Ⅰ」の導入について8割以上の教員が不安を感じていることや、学ぶ環境が十分に整っていないと感じていることをピックアップしている。また、生徒が自学に活用できるアプリやソフトウェアを望む声が6割近くいた一方で、普段の授業については教科書を中心に進めているとの回答が半数以上だったこともピックアップしている。
・「情報Ⅰ」について86.7%が不安と回答
「情報Ⅰ」について不安を感じているかの設問については、「とても感じている」が27.1%、「感じている」が32.5%となり、合計59.6%だった。「少し感じている」の27.1%も加えると、86.7%となる。「あまり感じていない」は13.4%だった。
また、不安に思っている理由トップ3として、「生徒の理解度が共通テストのレベルに達しているかわからない」と回答した教員が53.6%だった。以下「指導時間の不足」が50.9%、「生徒の理解度が深まっていない」が49.9%、「テストの対策方法がわからない」が47%となった。
・「情報Ⅰ」の学習環境について、約3分の2が整っている、約3分の1が整っていないと回答
「情報Ⅰ」を学ぶ環境が整っていると思うかの設問については、「とても整っている」が5.8%、「整っている」が58.9%となり、合計で64.7%となった。一方で、「あまり整っていない」が32%、「全く整っていない」が3.2%で、合計35.2%が十分整っていないと回答している。
「あまり整っていない」「全く整っていない」と思う理由については、「授業や自学に活用できるアプリやソフトウェアが未導入」が32.6%、「専門免許を持っていない教員が臨時で対応しえいる」が28.5%、「座学のみの授業にとどまっている」が25.6%と、ソフトウェアや教員の整備の理由が多く挙がった。
・実習形式での授業実施が5割強の一方で、対策できていないという回答が約3割
「情報Ⅰ」に向けて実施している対策としては、「実習形式での授業実施」が52.2%となった。一方で、「現状対策できていないが、今後行う予定」も32.3%にのぼった。
「今後の対策として導入を希望するもの」としては、「自学用のアプリやソフトウェア」が57.5%、「授業に利用できるアプリやソフトウェア」が55.9%となり、座学にとどまらない実践形式の学びを実現するコンテンツを活用したいと思っていることがわかる。
また、「教員向けの共通テスト対策講座」が47.4%、「全国基準でレベルをはかれるテスト」が41.6%となった。プログラミング総合研究所では、「不安に思っている理由」の「生徒の理解度が共通テストのレベルに達しているかわからない」と併せ、全国基準のテストを希望していることがわかるとコメントしている。
・「不安に思っている」が最も多かった地域は北関東エリア
地域別に見ると、「不安に思っている」の割合が最も多かったのは北関東エリア(茨城・栃木・群馬)の93.6%で、続いて中国エリア(鳥取、島根、岡山、広島、山口)の90.3%、首都圏エリア(東京・神奈川・千葉・埼玉)の89.4%と続いた。最も低い割合である四国エリア(徳島、香川、愛媛、高知)でも、78.6%だった。
また、「情報Ⅰ」を学ぶ環境について、整っていないと回答した割合が最も多かったのも北関東エリアで59.4%だった。