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早稲田大学理工学術院、AI講師との対話でプロダクトを開発するPBL型授業を実施

早稲田大学理工学術院先進理工学研究科と株式会社DOUが、「リーダーシップ開発プログラム」において、生成AIを活用したPBL型授業を共同で実施

早稲田大学理工学術院先進理工学研究科と株式会社DOUは、2025年6月から7月にかけて開講された「リーダーシップ開発プログラム」において、生成AIを活用したPBL(Project-Based Learning)型授業を共同で実施した。

「リーダーシップ開発プログラム」は、株式会社イノベストがリエゾンとして参画し、早稲田大学理工学術院と株式会社DOUの連携を支援する形で実施された。

今回のPBL型授業では、リーダーシップ開発の過程において、AIに関する事前知識を持たない学生が、「AI大学講師」との対話を通じてプロンプト設計を学んだ。最終発表では、チームごとに独自のAIプロダクトを企画・開発するチーム活動を通じて、最終的に、自分のリーダーシップの持論を更新するという実践的な取り組みが行われている。

参加学生の様子

背景としては、ChatGPTをはじめとする生成AIが、専門職だけのものではなく、社会のあらゆる領域に影響を与える“現代の基礎教養”となりつつあることがある。しかし、学校教育では、教員のAIに関する専門的知見の習得や、AI教育の制度整備の遅れ、学びの評価軸の難しさといった課題が顕在化しているという。

こうした背景を受け、早稲田大学理工学術院では、これまで開講してきたリーダーシップ開発プログラムにおいて、今年度は試験的に生成AIを導入した実践的なPBL型授業を展開した。

この授業は、これまで実施してきたリーダーシップ開発に関するPBLカリキュラムにDOUの「AI大学講師」を導入し、学生が実践的なAI学習を体験できるよう設計されている。学生たちは7週間のプログラムを通じて、社会課題の抽出からその解決に向けたAIプロダクトの企画・開発までを一貫して行った。

授業ステップは次の通り。

  1. 学習内容のデータベース化:課題を元に学生の課題や思考を記録し、探究のプロセスを構造化。これにより学習の軌跡が可視化され、客観的に振り返る基盤を形成
  2. デジタル証明書(VC)を発行:蓄積された学習データをもとに、国際標準規格であるVerifiable Credential形式のデジタル証明書を発行。学習成果を永続的かつ改ざん不可能な形で記録
  3. AI大学講師を活用した対話型探究:証明書を読み込んだカスタムGPTが、各学生の思考や関心に合わせて個別最適化された対話を提供。AIとの壁打ちを通じて思考の深化を促進
  4. プロダクト開発・発表:AIを活用しながら独自のプロダクトを設計・開発し、最終成果としてプレゼンテーションを実施
「リーダーシップ開発」の授業ステップ

学生が開発したAIプロダクトには、次のようなものがある。

  • 大学研究室マッチングAI:学生の興味と研究室の適合度を診断し、最適なマッチングを促すツール
  • 性格・キャリア診断AI:AIで学生の性格診断を実施。学生の興味関心に合わせ、最適な進路/キャリアを診断し、ロードマップを提案するツール

参加学生からは、「エンジニアリング経験がない自分でも、AI講師を活用することで、ゼロからAIプロダクトを形にすることができた」といったコメントが寄せられているという。