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小中学生にAIの仕組みとリスクを解説、書籍『AIの世界へようこそ』がテレコム学際研究賞で特例表彰
2025年4月4日 15:00
株式会社学研ホールディングスのグループ会社である株式会社Gakkenは、同社が発行した書籍『AIの世界へようこそ』が、第40回電気通信普及財団賞「テレコム学際研究賞」において特例表彰を受けたことを発表した。
著者は、公立はこだて未来大学教授の美馬のゆり氏。同書は2024年8月に出版され、小学生でも理解できるように平易な言葉や絵や図を使い、AIの仕組みや活用のメリット、危険性などを幅広く解説している。
電気通信普及財団賞は、主に大学や研究機関による学術論文・専門書が選ばれることが多く、児童向けの平易な解説書が選出されるのは異例である。主催団体である公益財団法人電気通信普及財団は、小学生に向けてわかりやすくAIの技術を解説している点や、AIに関する啓発活動の緊急性が高い点を評価し、特例表彰に至ったと説明している。
著者の美馬氏は、「科学技術を扱う児童書は、図鑑的なものや仕組みの説明にとどまるものが多く、科学技術の光と影、未来への関わり方までを示す作品は限られている」とコメント。同書の特徴について、「AIの仕組みを理解するだけでなく、その影響を批判的に考え、公正で持続可能な未来を築く視点を養うことを重視した」と語っている。
同書では、AIの利便性に加え、タスクをAIに任せることで「自分で考える時間」や「新しい発見の機会」が失われる可能性があることに触れている。読者自身がAIと共にどのような未来をつくるかを考える視点も提供しており、「AI時代における幸せとは何か」という問いを通じて、AIの正しい使い方を模索し、自分なりの判断基準を持つことの重要性を伝えている。
同書は図書館向け商品となっており、一般の書店ではあまり流通していない。近くの図書館へのリクエストなどを通して閲覧するか、取り扱いのあるネット書店での購入が推奨されている。
著者プロフィール
美馬のゆり(みま のゆり)
公立はこだて未来大学 教授。
専門は学習科学、教育工学、情報工学。博士(学術)。
MITメディアラボおよびUC Berkeley人間互換人工知能センター客員研究員、日本科学未来館副館長、NHK経営委員などを歴任。代表著作に『理系女子的生き方のススメ』『未来を創る「プロジェクト学習」のデザイン』『学習設計マニュアル』など。
目次
第1章 AIの時代がやってきた
01 AIってどんなもの?
02 AIが「学習」するってどういうこと?
03 AIの時代はもう始まっている!
04 「生成AI」とは?
05 AIで私たちはどう変わる?
第2章 AIの歴史を知ろう
01 AIの始まり
02 第一次AIブーム
03 第二次AIブーム
04 第三次AIブーム
05 体験してみよう! AIの働き
06 AIが投げかける問い
第3章 AIのリスクを知ろう
01 AIはいつも正しいとは限らない
02 AIが有害となる場合とは
第4章 AIとどう生きる?
01 AI時代の幸せとは?
02 どんな未来を創りたいか
03 AIと生きるあなたへ
第5章 さあ、歩きだそう! ~AIと生きる未来を考えるワーク~
ワーク01 公園で安全に遊びたい!
ワーク02 検索が進化したら?
ワーク03 集めたデータを使って、公園のルールをつくろう
書誌情報
書名:AIの世界へようこそ
著者:美馬のゆり
発売日:2024年8月26日
定価:5,280円(本体4,800円+税10%)
判型:AB判
ページ数:104ページ
ISBN:9784055014298
発行:株式会社Gakken