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高額課金のバッドエンド!? RPG風の動画教材「びっぷるクエスト」で学ぶ、子供のネットルールとリスク
2025年9月1日 06:30
夏休みの朝。我が家の小5と小1の兄弟は、朝6時に起きていた。目的はラジオ体操…ではなく、親より早起きしてタブレットを開くことだ。「午前中に1時間勉強してから」「動画とゲームはそれぞれ1時間まで」と家庭でルールを決めてはいるものの、守られた試しがない。
そんな姿を見ていると、我が家の形骸化したルールを見直さなければと感じる。と同時に、親の目が届かないところで子供たちがトラブルに巻き込まれないか、不安も募っていく。
そんなときに出会ったのが、 ビッグローブ株式会社(BIGLOBE)のママ社員が企画・開発したという動画教材「びっぷるクエスト 」だ。この教材は、BIGLOBEの公式キャラクター「びっぷる」と一緒にインターネットのルールを楽しく学べるもので、親目線の教材に共感して、思わず興味を惹かれた。
■ママ社員発案、「RPGの勇者」としてネットの安全を学ぶ教材
■「課金の誘惑」に衝撃!? クイズで楽しく学ぶネットとの付き合い方
■子供の気づきと、親子でルールを見直す大切さ
■「止める」から「使いこなす」へ、親子で学ぶネットの向き合い方
ママ社員発案、「RPGの勇者」としてネットの安全を学ぶ教材
動画教材「 びっぷるクエスト 」は、子供を勇者に見立てたRPG(ロールプレイングゲーム)仕立てのストーリー。最後まで飽きずに楽しめるのが魅力だ。物語はさまざまな試練を順番にクリアしていく構成になっており、子供が “自分ごと”としてインターネットのルールを考えられる よう工夫されている。
現在、 BIGLOBEの公式サイトでは、第3章までの動画を無料公開 している。入門編の第1章ではインターネットの基本的な知識を、続く第2章では長時間利用や課金といった保護者が直面しやすい悩みを取り上げ、第3章では個人情報や著作権など、子供の身近なリスクに焦点を当てている。
教材は、 実際に起こりうる「ヒヤリハット」や「危険」がベース 。さらに、数多くの幼児向けコンテンツを手がけてきた一般社団法人 日本こども成育協会が監修を担当し、「怖すぎない表現にしつつ、本当に伝えたい危険性はきちんと盛り込む」といった調整が加えられている。子供の発達に配慮されていて、保護者にとっても安心できる内容だ。
さらに、BIGLOBEは「びっぷるクエスト」を活用し、子供たちのネットリテラシーを高める対面イベント「BIGLOBE インターネット教室」を主宰。7月31日には熊本県玉名市で同教室が開催された。
「課金の誘惑」に衝撃!? クイズで楽しく学ぶネットとの付き合い方
インターネット教室が開催されたのは、熊本県玉名市の高瀬商店街にあるインキュベーション施設「BIGLOBEイノベーションベース・タカセカラ」。BIGLOBEと一般社団法人higocolorが共同開設し、地域から世界基準の人材育成とデジタル教育の推進を担う拠点だ。地域と先進的な取り組みをつなぎ、発信する場として、不定期でインターネット教室が開かれている。
当日は、小学2年生から5年生までが参加。「びっぷるクエスト」第2章を使い、「長時間利用」「オンラインのやりとり」「思いやり」「課金の誘惑」の4テーマを学んだ。講師を務めるのは、BIGLOBE社員のヨッシー&はるぴー。
講座は、ステージごとに動画を短く区切り、合間にクイズやロールプレイ、対話を交える形で双方向型のスタイルで進んでいく。動画は、主人公の勇者が夜寝る時間を過ぎてもゲームに夢中になるシーンからスタート。講師が「インターネットやゲーム中に『早く寝なさい』と言われたことがある人?」と問いかけると、子供たちは遠慮がちに手を挙げた。しかし、勇者がクイズで悪の組織「ウイルス団」に挑む場面になると、表情が一変。画面に引き込まれていった。
なかでも、 ひときわ子供たちの関心を集めたのは、第4ステージ「課金の誘惑に気をつけて」 。敵に“ゆうわくの魔法”をかけられた勇者が、インターネットゲームで課金の「ガチャ」を回し続けるシーンだ。まさに筆者も、子供から「ママ、課金したい」と言われることが多く、課金のシーンは子供の反応が興味深いところだ。
途中、講師が「勇者は何回ガチャを引けば、レアアイテムが手に入るかな?」と問いかけると、「10回以上」という現実味のある答えが返ってきた。子供たちにとっては、ガチャはすでに身近な存在であり、回数を重ねてレアアイテムを手に入れるという仕組みを理解している。
物語に最終になると、さらに衝撃が走った。勇者は、クレジットカードを使ってしまい、30万円の請求を受けるのだ。まさか、結末がバッドエンドで勇者が負けるなんて……。「え? 30万円の請求?」というセリフとともに、画面に大きく「支払い請求」の文字が映し出されると、子供たちはざわついた。
ここで講師が問いかける。「 もし自分が勇者だったら、どこでやめられたかな? 」。子供たちは「最初にお母さんに聞く」「お金がかかるときはやらない」といった意見を口にした。「現実だったら本当に大変なことだね。だからこそ、 事前に『ここまで』と決めることが大事 なんだよ、自分で『ここまで』と決められるのが本当の"勇者"だね!」という講師の言葉に、子供たちは真剣にうなずいていた。高額なお金が請求されるという出来事は、子供たちにインパクトを与えたようだ。
最後は、4つのステージで学んだことを歌で振り返り、全員に修了証が配られた。
子供の気づきと、親子でルールを見直す大切さ
講座終了後、子供たちに感想を聞いた。小学4年生の男の子は、「課金は欲しくても我慢しようと思った」と話し、小学2年生の女の子からは「知らない人に会うのは危ないってわかった」といった声が聞かれた。いずれも、ゲーム感覚で楽しく学ぶ中で、しっかりとした“自分事”として受け止めている様子が伝わってきた。
また、同席した保護者からは、「ショート動画やゲームは一度始めると止まらない。時間を決めても守らせるのは本当に難しい」という、筆者も大いに共感する悩みを語ってくれた。家庭でルールをつくっても形骸化しやすく、子供がルールを破るたびに、叱る・取り上げるといった対処法では根本的な解決につながらない。それだけに、こうしたインターネット教室の存在は「親子で一緒に体験し、ネットの使い方を見直すよいきっかけになる」と前向きに受け止められていた。
「止める」から「使いこなす」へ、親子で学ぶネットの向き合い方
「日常の中で『あのシーン覚えてる?』『びっぷるが言っていたね』と親子で話せるような、きっかけになる教材を目指しました」と語るのは、教材開発に携わったママ社員の1人、大井篤子氏だ。
大井氏は、日常生活の中で、子供に「ネットの使い方について話そう」と切り出すのは難しいと語る。突然話をしても子供は身構えてしまうし、子供のネット利用をすべて把握するのは、現実的ではないと感じているという。「子供は、いつの間にかインターネット検索を使いこなしていたり、親が知らないゲームやアプリを友達同士でどんどん吸収していきます。だからこそ、頭ごなしにルールを押しつけるのではなく、安全なインターネットの利用について、親子で一緒に考える機会を日常的に持てたらいいですね」と語った。
一方、講師を務めた御田善博氏と桑原晴代氏は、家庭での話し合いの重要性に加え、インターネットそのものの価値にも触れる。
「BIGLOBEは、『好きが、未来を変えていく。』をスローガンとしています。インターネットは、自分の世界を広げ、未来を切り開いていく可能性があります。だからこそ、ダメと一方的に止めるのではなく、少し立ち止まって考えることや、困ったら親に相談するという習慣を育てることが大切。『びっぷるクエスト』は、そのきっかけになる教材です」と話した。
「止める」「制限する」だけではなく、どう使いこなすか――。ネットのリスクを知るとともに、子供の成長段階に合わせて使い方やルールを見直していくことが重要だ。
「びっぷるクエスト」は、BIGLOBEのサステナビリティサイトにて無料公開されている。ぜひ親子で一緒に視聴し、ネットの上手な付き合い方について話し合ってみてはいかがだろうか。