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内田洋行、CBTプラットフォーム「TAO」の次世代版を発表
2025年12月9日 06:50
株式会社内田洋行は、2025年12月5日に記者会見を実施し、Open Assessment Technologies S.A.（以下、OAT／本社：ルクセンブルグ）と共同で開発したCBTプラットフォーム「TAO（タオ）」次世代版を世界に先がけて発表した。
TAOは2004年に試作版がオープンソースとして公開された共通CBT基盤である。2009年にはOECD PISA（ピザ）調査への採用後、2013年のOAT設立後にフランスやイタリア、イギリス、アメリカなどでの大規模学力調査が採用。年間延べ3,000万人以上が利用する世界標準のプラットフォームとなっている。
日本においては、内田洋行がOATと2016年から連携してCBT環境の整備を進め、2020年には文部科学省CBTシステム「MEXCBT（メクビット）」にTAOが採用されている。
株式会社内田洋行 代表取締役社長の大久保 昇氏は、コロナ禍を機に、約1千万台のタブレット端末が学校に導入され、一気に1人1台端末が実現したことがCBT推進の大きな契機となったと語った。
今回発表した次世代版TAOは、クラウドネイティブ構造とし、一体型アプリケーションから機能ごとに独立したモジュール型プラットフォームへ刷新。CBT受検者数の増加を見据えてシステムの見直しを行っている。問題作成・テスト管理・受検・採点・結果提供などの機能をモジュール化したことで、目的や希望に応じて必要な機能の選択や拡張が可能だ。
大久保氏は、2025年に実施した全国学力・学習状況調査（中学3年理科）の事例を紹介。MEXCBTによるCBTを本格導入し、約100万人規模におけるCBT試験の実施を支えたという。同氏は、TAOの安定性について強調し、学力調査や資格試験などでCBT試験の利用機会がさらに広がると述べている。
次に登壇した、株式会社内田洋行 執行役員 教育総合研究所 所長の伊藤博康氏は、これまでに実施してきた学力・学習状況調査事業と日本国内におけるTAOの採用事例を紹介した。伊藤氏は、学力調査やテストの調査結果を学校現場や教育委員会にデータを渡すだけでなく、データを読み解く方法やデータの結果をどう教育施策に生かすかについて現場との分析ワークショップが重要としている。
TAOの次世代版は、インフラ構築やサーバー管理が不要なSaaS版「TAO エンタープライズ」と、オープンソースとして提供される「TAO Community Edition」を展開する。前者は大規模CBT試験を実施する教育現場向きで、年間利用料金は、トライアルプランが約60万円（税別：テスト回数約2,400回から）。後者は世界中の研究者や教員に向け、GitHubやDocker版で2026年1月以降に提供予定だ。
Open Assessment Technologies S.A. Co-CEOの町田 潔氏は、次世代版の問題作成環境「TAO Studio」を利用することで、テキスト・画像・動画などのパーツをドラッグして直感的に問題を作成できるとした。
町田氏によると、TAO StudioではAIを利用して問題を作成するほか、問題やテストを体系的に蓄積し、過去問題の再利用や改訂が簡単に実行できるという。TAO Studioは、2026年9月提供の予定だ。
会見では、最後に株式会社インフォザイン 取締役 CBTビジネス部 部長の永井正一氏が登壇し、次世代版TAOのデモンストレーションを実施した。
問題作成においては、問題のタイプを選び、テキストや画像などのパーツをドラッグアンドドロップで配置するだけで紙では表現しにくかった思考力や判断力、表現力を問う出題が可能になるという。
視覚・聴覚・肢体・認知など多様な特性をもつ学習者に配慮した機能を備え、フォントサイズや配色の変更、音声読み上げ、字幕表示、キーボードのみでの操作、視線入力などの支援技術との連携、ディスレクシアの学習者向けのラインリーダーや時間制限非表示などの機能を備えた。
文字サイズや行間の設定などを設定すると、同じ状態のまま次のページが表示されるため、自分が確認しやすい状態で受検を進めることも可能だ。永井氏は、ドラッグで操作できることから、パソコンを利用できるユーザーなら、誰でも作問が可能としている。
内田洋行とOATは、次世代版TAOを通じて、教育データを活用した学びの質の向上と、公平で持続可能な教育環境づくりに取り組んでいく考えだ。