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「支援の届いていない子供」を見逃さない、神奈川県開成町で見守りシステムが本格稼働
2025年5月23日 17:00
株式会社内田洋行は、同社が開発・運用する「こども見守りシステム」が、神奈川県開成町において稼働を開始したことを2025年5月23日に発表した。
同システムでは、開成町のこども課が福祉と教育分野に点在する子供のデータについて、個人情報に配慮しながら収集・連携。困難の種類ごとに定められた指標に基づいてデータを分析・可視化する。
連携データは、「福祉・保健・住基系システム」(母子健康手帳発行状況/健康診断状況/保育・教育給付利用情報/虐待通告状況(紙)/児童相談記録/要保護児童相談記録など)と「就学事務システム・校務支援システム」(就学援助認定状況/学齢簿/出欠状況/健康診断など)で、一部は紙媒体を含む。
リスク指標は、0歳から18歳までの子供に対し、困難の種類(※)ごとに設定してスコア化。スコア化のロジックは有識者や専門職の知見をもとに策定されており、「Mµgen(ミュージェン)」と呼ばれるDX分析ツールを利用して、関連データの探索や可視化を行い、支援の必要性を総合的に判断する仕組みだ。
※ヤングケアラー、貧困、虐待、引きこもり、発達障がい、産後うつ病など
ダッシュボード機能では、複数のデータを統合して一画面上で可視化し、必要に応じて詳細の確認が可能。全体の状況を把握するとともに、特定の困難を抱えている可能性のある子供や家庭の状況を確認できる。
さらに、「ヤングケアラーの可能性があるが、要保護児童対策地域協議会に未登録で、支援判定会議も未実施」といった条件で絞り込み、詳細を確認することも可能。抽出された子供については、児童相談などの1つとして受理され、保健師、ケースワーカー(社会福祉士、精神保健福祉士)、指導主事などによるカンファレンスで支援の必要性を検討する。
開成町は、2024年4月に「こども家庭センター」を設置し、子育てに関する包括的な相談支援体制を整備している。「こども見守りシステム」の実証実験では、転入・転出などの異動情報を含めて最新情報に基づいた見守りを実施。組織とシステムの両面から早期発見・早期支援につなげることを目指し、現場での適切な運用に向けたさらなる検討を進める予定だ。