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N/S高、ChatGPT-4を利用した生徒専用AIチャットシステムを導入

 学校法人角川ドワンゴ学園は、2024年4月よりN高等学校とS高等学校(以下、N/S高)の普通科生徒を対象にChatGPTの「GPT-4」と画像生成の「DALL・E 3」を利用した専用AIチャットシステムを導入する。学習・課外活動の効率化に寄与し、社会で必要とされる経験を提供する。

 導入するGPT-4を使ったチャットシステムは、大企業が導入している社内向けChatGPTに近いシステム構成。高いセキュリティとともに入力データが二次利用されず、保管・監視もされないため、万が一、生徒が個人情報を入力しても外部流出のリスクがない。システムは株式会社ドワンゴが開発した。

 生徒への提供方法としては、組織内のコミュニケーションアプリである「Slack」のパブリックチャンネルで専用のコマンドを利用することでChatGPTが応答する。パブリックチャンネル上で利用するため、生徒による投稿とChatGPTの回答が可視化され、ほかの利用者が使い方を学べるとともに、不適切なテキスト入力を自制させることができるとしている。

 また、文部科学省が公表している「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」を元にしたガイドラインを全校生徒に提供し、学習や課外活動での利用方法から、現在の生成AIが抱える課題や現行法との関係についても解説する。

 さらに、機械学習エンジニアをめざす生徒向けのカリキュラムの提供やコミュニティ運営を開始し、AIの活用やチャットシステムの改善、運営を検討する生徒による「AI共生委員会」も発足されるという。

 N/S高では、これまで授業などにAIを活用、VRやメタバースなどいち早く導入してきた。バーチャル技術などを駆使したスポーツイベント「バーチャル体育祭」のほか、生徒と教職員が一緒に名所を巡る「バーチャル修学旅行」などを定期的に開催。今年度はAIを駆使した入学式も実施する。

 なお、学習アプリ「N予備校」のコンテンツは、1万3000本中の6000本以上がVRに対応。普通科生はAIアバターを相手に英会話を練習でき、発音や会話速度のアドバイスもしてくれるバーチャルアプリ「スマート・チューター」(Plus One,Inc.提供)を利用可能となっている。

AI特別授業「【N/S高 普通科】『生成AIと創造性』芥川賞受賞作家に聞く、AI時代の『文学』」を4月19日に実施

 今回の導入に合わせ、AI特別授業「【N/S高 普通科】『生成AIと創造性』芥川賞受賞作家に聞く、AI時代の『文学』」を4月19日の15時から16時にかけて実施する。第170回芥川龍之介賞を受賞した生成AIを活用する作家 九段理江氏と名古屋大学教授 佐藤理史氏をゲストに迎えて教育系YouTuberであるヨビノリたくみ氏の進行で、文芸分野においてAI時代に必要な創造性についての議論や、ゲストと生徒のQ&Aセッションなどを行う。

 特別授業はニコニコ生放送とYouTubeで生配信され、N/S高とN中等部の生徒だけではなく、誰でも視聴可能。