【連載】どれ使う?プログラミング教育ツール

「すみっコぐらし」がロボットに!? プログラミングで動くしぐさがカワイイ!

embotのオフィシャル改造版「すみっコぐらしをつくろう!ダンボールキット」

プログラミングロボット教材のembotから、人気キャラクター「すみっコぐらし」をつくるキットが出ています。embotはボディ部分をダンボールで組み立てて作るプログラミング教育用ロボットキット。オリジナルのembotのボディだけを変える着せ替え系ではなく、オリジナル版とはサーボモーターの役割も異なり、いわば完全改造版です。

完成したすみっコぐらしのキャラクターしろくま。パーツの選び方で、「しろくま」「ぺんぎん?」「とんかつ」「ねこ」「とかげ」のいずれか1個を作ることができる

ダンボールの工作とプログラミングが楽しめる「embot」

オリジナルのembotの基本形は、クマの姿のダンボール製ロボット。サーボモーターで手を動かし胸にLEDが光り、ブザーから音が出せます。プログラミングはタブレットの専用アプリから行い、タブレットのセンサーを利用したプログラムなども作れます。クマの耳を変えてウサギにしたり、デコレーションしたりする楽しみ方も。

オリジナルのembot。自分で組み立てるから中がどうなっているのかわかりやすい

このembotの体の中に入っているコア部分と各種パーツ類を使って、ガラリと違うロボットを作ってしまうのが、この「すみっコぐらしをつくろう!ダンボールキット」です。embot本体とセットでも、ダンボールキットだけでも販売されています。embotを持っていない方がダンボールキットだけ購入しても何もできませんので、注意しましょう。

「すみっコぐらしをつくろう!ダンボールキット」

すみっコぐらしキットを組み立てる

ダンボールキットはA4サイズ2枚分。公開されている組み立て動画の通りにひたすら組み立てていきます。メリメリとパーツを外して折ったり差し込んだりするだけですが、できあがりの外見イメージに反して、けっこう細かくいろいろなパーツを組み合わせて作り込んでいきます。

こうやって補強するのか……など、ダンボール工作の奥深さを感じさせられる作業です。ところどころマスキングテープで補強すると安定しますが、接着剤などは不要。目鼻や手を貼り付けるのに最後、のりが必要なくらいです。

内部構造と外側ができあがって、あと一息まできました!

先走って勝手に判断せずに、動画の手順通りに作っていくのがおすすめ。ここまでできればあとは外側ボディをかぶせて顔をつけるだけ。

ついに完成です! なんだか、キャラクターの特徴が大変よく出ている気がしますね……。

完成。ちょっと、真ん中ではなくすみっこに置いてあげたくなる雰囲気

動く仕組みをチェック!

そもそもこれでどうやって動かすのかを確認しましょう。オリジナルのembotは、サーボモーターを手の動きに使っていますが、すみっコぐらしキットでは、サーボモーターを足にしています。

足といっても、キャラクターのデザイン上の足ではなく、わからないくらいに両サイドから下向きに出ている部分です。ボディー部分から出っぱった部分を動かすことで、前に進む動力にするのです。左右同時に動かしたり、左右交互に床につくように動かしたりして、全体の動きを作ります。

緑で示した部分が足パーツがついている部分。わずかにはみ出し床に接している部分が動くことで動力になる

サンプルプログラムも公開されているので、まずはその通りにプログラムをして動かしてみました。キャラクターの特徴を反映して、もじもじじわじわと動いている感じが演出されています。

プログラミングのアプリ画面。フローチャート式とブロック連結式の両方を組み合わせたタイプで直感的

もし、足が期待する位置で動いていない?と思ったら、サーボの動きをチェックしてみましょう。両足ともサーボの角度を90度に指定したときに足パーツがまっすぐ下向きになるように取り付けると、サンプルプログラムでうまく動きます。サーボを使うときはどこを起点に180度動くのかをきちんと把握して初期状態をつくっておくのが大切です。

動きやすくする工夫をするのも楽しい

動かしてみると、ちょっと前に進む力が弱い様子。これを工夫するのも、こうしたプログラミング工作の面白いところです。試しに、足部分に輪ゴムをつけて滑り止めにしてみました。

輪ゴムをつけて滑り止めに

さらに、ゆるやかな下り坂に置いて再チャレンジ。なかなかいい感じに動いてくれました。もっと改善の余地はありますし、他にも前に進みやすくする工夫はいろいろできそうですね。

サンプルプログラムを一部短くして動かしてみたところ。手前に向かってわずかに坂道になっている

プログラムの仕方は自由ですから、LEDライトやブザーもつけて、もっと賑やかに演出したり、何かに反応して動くようなしかけにしてもいいですね。また、すみっコぐらしのキャラクターは、ダンボール色のままでもけっこうかわいいですが、パッケージにあるように、色を塗るとさらにいい感じになりそうです。

プログラミングロボットは、プログラムもロボットも見本通りにするだけでなく、どんどん勝手に作り替えるのが楽しいところ。オリジナルのembotでは手を動かしていたサーボモーターを、こんなふうに使うと、まったく違う動きを作り出せるんだな、ということを学ぶきっかけにもなりますね。自由な改造への第一歩を、かわいいキャラクターと共に楽しめます。

「どれ使う?プログラミング教育ツール」これまでの記事

2019年~2022年4月まで「窓の杜」掲載

狩野さやか

株式会社Studio947のデザイナー・ライター。ウェブサイトやアプリのデザイン・制作、技術書籍の執筆に携わる。自社で「知りたい!プログラミングツール図鑑」「ICT toolbox」を運営し、子ども向けプログラミングやICT教育について情報発信している。