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Google Chromebook Plus、AIを使った文章作成や読解のサポート、リアルタイム翻訳など新機能を搭載
2024年11月26日 10:30
Googleは、Chromebookの新機能を10月末に発表した。高性能機のChromebook Plusでは文章作成や読解のサポート、リアルタイム翻訳、編集マジック、ビデオ通話の画質向上などさまざまな機能を提供しており注目が高まっている。本稿では、10月末に開催された発表会の様子を紹介する。
Chromebook Plusに追加される新機能
今回追加された機能は主に「Chromebook Plus」向け。「Chromebook」に対して、より高速なプロセッサ、メモリー、ストレージ容量を備えている高性能版。第12世代以降のインテルCore i3 プロセッサーまたは、AMD Ryzen 3 7000シリーズ以降を搭載し、メモリーが8GB以上、ストレージが128GB以上、1080p+でテンポラルノイズリダクション機能内蔵のカメラ、フルHD以上でIPS液晶を搭載するなどの条件がある。GIGAスクール端末として使うChromebookよりもかなり上のスペックを持っている。
Chromebook Plus向けでは、文書作成サポートが9月から提供中。右クリックするだけGoogleのAI機能であるGeminiを使い、思い通りの文章を書くサポートをしてくれる。例えば、お詫びの文章など比較的定型になった文章が簡単な指示で作成される。
これらはメール作成などの画面から、右クリックで呼び出すことができ、作成されたテキストをすぐに文字入力画面に反映できる。なお、Chromebookのタッチパッドで右クリックするには、2本指でタップする。
文章読解サポートは、当初は英語のみ提供し日本語は2025年の早い時期にリリースするという。WebサイトやPDFファイルなどから要約を作成し、読解の速度を早めるサポートをする。Webサイトの長い文章でも、まずは要点を出し、そのうえで項目を指示すればその部分だけを簡潔に解説してくれる。
英語のみのサポートから始まるが、英語が苦手な人でも、英文のサイトや文書から要約やポイント抜き出しをできるため、英文読解に役立つ。
リアルタイム編集はビデオ通話や再生している動画から字幕を出す機能で、すでに提供中。言語はさまざまなものがあり、英語に限らず、さまざまな言語から字幕を表示する。
編集マジックはすでにスマートフォンなどでも提供している機能。Chromebook Plusでは本体とクラウドの処理能力を連携して機能を提供する。被写体の拡大や縮小や背景の変更などが簡単にできる。
また、ビデオ通話の画質と音質も向上される。Chromebook Plusの処理能力で画像や音声を処理、より高いクオリティでビデオ通話を可能にする。
Chromebook向けにも新機能を提供開始
一方、通常のChromebook向けにも新機能が用意された。GoogleのAIであるGemini、ログイン時の画面復帰、フォーカス、ドライブの統合の4つ。ドライブの統合以外はすでに提供中である。
Geminiは、すべてのChromebookに対してGeminiアプリの標準搭載を行い、ホーム画面からすぐにGeminiチャットができるようになった。
ログイン時の画面復帰では、ログインすると中断した作業の概要が表示され、作業していたときの感覚を取り戻すことができるという。
フォーカスは作業の集中を助ける機能。シェルフ右下の時計をタップしてクイック設置にアクセスし、タスクのタイマーを設定すれば、ほかのことに邪魔されることなく作業に集中できるという。
ドライブの統合は、必要なファイルに容易にアクセスするための機能。ファイルをホーム画面にピン留めすることや、ランチャーに候補を表示させることができる。
また、今回、すべてのChromebook Plus、Chromebookを持っているユーザーにGemini Advancedや2TBのクラウドストレージが使える有料のGoogle One AIプレミアムプランの無料特典が期間限定で与えられる。Chromebook Plusは12カ月間、Chromebookは3カ月間となる。
生成AIの利用は学校が適切に決めること
今回、新機能を説明を行ったGoogleのChromeOSを担当するJohn Maletis氏はChromebookとAIについて、「コンピューターが私たちの仕事の仕方に適応する世界に向かっていく、まさにこれをChromebook Plusで実現したいと思っている」と述べ、「何かを見つけたい、検索したいというところから、デバイス間で簡単にコネクションポイントを結びつけるといったことも可能になる。Chromeboookは、ハードからソフトに至るまですべてを綿密に融合し、トータルで実現できるコンピューティングのツールと捉えている」と説明した。
生成AIが教育現場で使われることについては「学校で生徒がどういうツールを使うべきなのかを学校の管理者が決め、適切かどうかをコントロールしてほしい」としたうえで、Googleの生成AIも18歳以上でしか使えないというルール設定をしているとした。
さらにJohn Maletis氏は「AIツールを提供するものとして、責任ある行動を取らないといけない、学校側と連携をしてどうすれば責任あるAIの使い方が可能か、継続的な協議が必要だと思っている」と述べた。