ニュース

自宅から学習・相談できるメタバース、熊本県が不登校支援に活用

クラスター株式会社が熊本県の「くまもとオンライン教育支援センター」をメタバース上に構築(出典:クラスター株式会社、以下同じく)

クラスター株式会社は、熊本県の「くまもとオンライン教育支援センター事業」において、不登校児童生徒を対象としたオンライン教育支援センターのバーチャル空間を、メタバースプラットフォーム「cluster」上に構築したと発表した。

同事業は、TOPPAN株式会社が熊本県教育庁から受託したもので、クラスターはバーチャル空間の構築と運用保守、行動ログに基づく改善提案を担当。2026年8月から実証運用を始めており、2027年3月31日まで実施する。

熊本県教育委員会では、児童生徒に校内教育支援センターを案内するほか、校外の教育支援センター、フリースクールなどの民間施設と連携した支援を行ってきた。一方で、不登校児童生徒の約半数は日中の多くを家庭で過ごしていることが多いという。そのため、自宅からもつながることができる3Dメタバースを活用し、センターを開設したと説明している。

バーチャル空間には、教室を模したメインフロアのほか、支援員と1対1で話せる相談スペースを設置。児童生徒は自分の分身となるアバターを介して、音声やテキストでほかの参加者とコミュニケーションを取ることができる。マイクのオン・オフも自分で選べるため、無理のないペースで参加可能だ。同時接続は、50人以上に対応する。

「くまもとオンライン教育支援センター」のバーチャル空間
アバターを介して児童生徒や支援員が交流できる

学習面では、小1から中3までの主要教科を単元ごとに学べるオンライン教材「タブドリLive!」を、センターのバーチャル空間から利用できる。また、小中学生向けの教材を8,000以上収録した東京書籍株式会社の「みんなにもっとNIMOT!」も利用可能。学習履歴は県の担当者が参照でき、在籍校が出席扱いを判断する際の材料としての活用も想定している。

オンライン教材「タブドリLive!」

このほか、「絵しりとり」などの交流企画や、バーチャル空間内での社会科見学といった、学習以外の体験活動も実施する。

センターには、教員免許や心理カウンセラー資格を持ち、教員経験や不登校支援経験のあるオンライン支援員が、県の担当者とともにアバターで参加。声かけや相談対応、操作のサポートを行う。また、入退室や利用時間はログで記録され、管理ダッシュボードで出席状況を一元管理できるようになっている。

センター内に掲示されたカレンダーと時間割

利用対象は、熊本市を除く県内44市町村の小中学校などに加え、県立中学校や特別支援学校の小中学部に在籍する児童生徒。開放時間は平日の9時30分~12時と13時~15時30分で、オンライン支援員は週3日配置する。クラスターによると、GIGAスクール端末で快適に動作する空間を構築したという。

実証期間中、同事業では熊本県教育庁や小中学校と連携し、月1回の定例会議を開く。あわせて、児童生徒や保護者へのアンケート調査を行い、運用の改善と本格運用に向けた知見の蓄積につなげる。

クラスターは同事業を通じて、バーチャル空間を活用した教育支援モデルの有効性を検証する。そのうえで、ほかの自治体への展開を目指す方針だ。