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ユニセフ報告書、日本の読解・数学における基礎習得率の所得格差は最小

UNICEF(国際連合児童基金)イノチェンティ研究所が、先進国における経済格差と子供のウェルビーイングの関連を分析した報告書を発表(出典:公益財団法人日本ユニセフ協会)

UNICEF(国際連合児童基金、以下ユニセフ)のイノチェンティ研究所は、先進国における経済格差と子供のウェルビーイングの関連を分析した報告書「レポートカード20:子どもをめぐる経済格差―すべての子どもに平等なチャンスはあるか(原題:Unequal Chances – Children and economic inequality)」を2026年5月12日に発表した。

この分析は、OECD加盟国および高所得国の計44カ国を対象に、経済格差が子供の生活にどのような影響を及ぼす可能性があるかを検証するものだ。日本については、学力格差が最小水準にある一方、所得格差の大きさは43カ国中34位にとどまることが示された。

同報告書によると、対象国全体の平均では、所得層の上位20%の世帯の収入は、下位20%の世帯の5倍以上となっており、子供のほぼ5人に1人が相対的貧困の状態にあるとした。

また、経済格差の大きさと子供の身体的健康との間に関連が見られるとしている。格差が大きい国で育つ子供は、格差が小さい国で育つ子供に比べ、過体重になる割合が1.7倍高い。欧州連合加盟国のデータでは、所得層の下位20%の世帯の子供のうち、健康状態が非常に良好とされる割合は58%で、上位20%の世帯では73%だったという。

学力面でも、社会経済的背景の格差が大きい国ほど、学力テストの平均成績が低い傾向が示された。格差が大きい国では、読解力と数学の基礎的な能力を身に付けないまま学校を卒業する子供の割合が65%である一方、格差が小さい国では40%にとどまった。各国の中でも差はあり、上位20%の家庭の15歳の子供の83%が読解力と数学の基礎的な能力を身に付けているのに対し、下位20%の家庭では42%となっている。

日本については、比較可能なデータを持つ国の中で、所得格差の指標が43カ国中34位だった。所得層の上位20%の世帯所得は、下位20%の世帯の6.35倍である。子供の貧困については16位で、子供の貧困率は16.7%だった。

一方で、学力格差は小さい水準となった。最富裕層と最貧困層の子供の間に見られる読解力と数学の基礎的な能力の差は、対象国の中で最も小さい。上位20%の世帯の子供では90.9%が基礎的な能力を身に付けているのに対し、下位20%の世帯の子供では69.7%だった。

東京都立大学の阿部 彩教授は、日本について「経済格差の影響が比較的子供に及んでいない国といえる」としながらも、「格差の影響は時間差をもって現れる可能性もあり、子供間の格差は拡大傾向にあると考えられる」と指摘している。