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京都府立南丹高校の生徒がEVレースを完走、亀岡市の産学公連携拠点を活用

鈴鹿サーキットでのレース後、京都府南丹高等学校工学クラブのメンバーと担当教員(出典:亀岡市、以下同じく)

京都府立南丹高等学校工学クラブの生徒は、2025年12月21日に三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開催されたEVレース大会「2025 Ene-1 SUZUKA Challenge」に出場し、産学公連携拠点で製作した車体で完走した。

南丹工学クラブの生徒たちは、亀岡市にある産学公連携拠点「オープンイノベーションセンター・亀岡(OICK)を活用。「高校の設備では加工できない部品」をOICKで製作するなどして課題を解決し、完走率の低いレースを最後まで走り切っている。

OICKで試験走行を行う南丹工学クラブの生徒たち

同大会は、パナソニック製の充電式電池「エネループ」40本で鈴鹿のフルコース(1周約5.8km)を3周走り、いかに効率良く速く走行するかを競うものである。このレースは、エネルギー管理が難しく、完走するだけでも高い技術が求められる。

OICKには、実装・実習棟や高度な工作機械、出来上がったマシンをすぐにテスト走行できる屋外試験場がある。OICKでは、南丹高等学校に工学系のコース(テクニカル工学系列)と南丹工学クラブがあることを知り、OICKを有効に活用すべく、学校側に打診したことがプロジェクトのきっかけとなった。

実装・実習棟で制作を行う様子
OICKの「屋外試験場」

南丹工学クラブを指導したのは、OICKの技術員であり、かつて自動車整備士などのプロを育成していた指導員としての経歴を持つ中村氏である。生徒たちは、普段は触れることのない樹脂素材(FRP)の加工や、緻密な電気回路の設計など、中村氏のアドバイスのもと、本格的な物づくりを体験している。

OICK技術員の中村氏からアドバイスを受ける生徒たち

南丹工学クラブは、2024年にも同大会に参加していたが、車体完成の遅れや登坂区間での苦戦があり、完走に至らなかった。2025年は話し合いを重ねながら課題を整理し、役割分担を明確にしてチームとしての対応力を高めることができた。

レース本番では1周目の約1,600m地点で車体が停止するトラブルが発生。原因は電池ボックスの接触不良で、生徒は結束バンドによる固定などの応急処置を実施した。併せて雨や泥による視界不良への対策も行い、その後はトラブルなく走行している。

トラブルに対応する生徒たち

スピードでは企業や大学のチームにおよばなかったが、停止した車両を自分たちで修復してゴールさせることができ、南丹工学クラブの生徒たちはエンジニアとして必要な現場対応力を発揮することができた。

南丹高等学校 工学クラブ 顧問の榊原氏

南丹高等学校 工学クラブ 顧問の榊原氏は、「技術の面でも、物資の面でも、学校だけではここまでできなかった。学校の授業とは違い、1から10まで自分たちで考えて形にするという経験は、生徒たちにとって非常に大きな財産となっている。特に3年生は、大人との接し方や計画の立て方など、社会で必要な力をこのプロジェクトを通じて学んでくれたと感じている」と述べている。

OICK技術員の中村氏

OICK技術員の中村氏は、「情熱を持って考え、手を動かし、失敗を繰り返して初めて、物づくりの本質がわかる。今回、生徒たちが自ら課題を見つけ、現場で解決していく姿を見て、確かな成長を感じた。OICKの恵まれた設備を活用し、今後も地域から次代を担う技術者が育つことを期待している」と語った。

OICKは、亀岡市・亀岡商工会議所・京都先端科学大学が連携し、2023年3月に設置された、産学公連携によるイノベーション創出拠点である。京都先端科学大学京都亀岡キャンパス(亀岡市)を拠点とし、「オープンイノベーション」「モビリティイノベーション」「グリーンイノベーション」の3分野で、産学公連携による地域活性化を目指しているという。

亀岡市は、日本初のプラスチック製レジ袋提供禁止条例を制定するなど、「環境先進都市」の実現を目指しており、有機農業やサーキュラーエコノミーの推進など、持続可能な社会構築に向けた取り組みを進めている。

京都府亀岡市の空撮(「サンガスタジアム by KYOCERA」を望む)