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小学校女性教員のプログラミング研修、みんなのコードが3年間の実践報告を公開

特定非営利活動法人みんなのコードが、小学校の女性教員向けに特化したプログラミング教育の研修プログラムの取り組みをまとめた報告書を公開

特定非営利活動法人みんなのコードは、小学校の女性教員に実施したプログラミング教育研修プログラムの実践と課題をまとめた報告書を公開した。

みんなのコードは2021年度から3年間にわたり、女性教員が安心してプログラミング教育を学べる環境づくりを目的として「SteP(Step by step for teacher's programming)」を実施してきた。この取り組みは、政府が掲げる「女性版骨太の方針2025」の理工系分野における学び促進に呼応する形で進められている。

「令和6年度学校基本調査」(文部科学省)によると、小学校教員の約62.6%が女性である一方で、プログラミング研修の参加者は男性が多いという実情がある。その背景には、情報主任に男性が選ばれやすいことや、研修対象が限定されがちな制度・文化の影響があると報告されている。StePは、こうした課題を受け、女性教員が主体的に学べる場の創出を試みた。

3年間の活動には延べ109名の女性教員が参加。第1期では2日間の研修と授業実践・報告会・コミュニティ形成を行い、第2期では教材にmicro:bitを導入。第3期では、春と夏の2回に分けて研修を行い、継続的なアンケート調査で成果と課題を整理している。

アンケート結果によると、回答者の59.1%がStePに参加するまでの間に公的研修へ参加しており、22.7%は2020年の全面実施前からプログラミング授業に取り組んでいることが判明した。一方で「StePに参加してから実施した」「実施したことがない」の合計は50%で、半数はStePの参加前にプログラミング授業を実施していないことがわかった。

教員の半数はStePの参加前にプログラミング授業を実施していない

また、参加前に「プログラミング授業に自信がある」と答えた教員は22.7%だったが、研修後には54.5%に増加。「積極的に授業を実施したい」との回答も36.3%から77.2%へと大幅に増加した。この結果から、StePは教員の意識と行動に肯定的な変化をもたらしたことがわかる。

SteP参加後の回答では「プログラミング授業に自信がある」は31.8ポイント、「積極的に授業を実施したい」は40.9ポイント増加

加えて、女性教員の研修参加を阻む制度的・文化的な壁や心理的な障壁を考察。StePでは対話を重視するほか、参加者が安心して「わからない」と言える雰囲気づくりをしてきたが、研修参加への時間的・心理的ハードル、教室での授業実践の有用性の検証、教育委員会との連携の難しさなどの課題も浮き彫りになった。

StePで取り組んだことと課題・改善点

みんなのコードは、今後もより持続可能な形での改善・公的機関との接続を図りながらジェンダーギャップの解消に向けた取り組みを続け、多様性の向上を通じてすべての子供がよりよい未来を描ける社会の実現を目指すとしている。