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「生成AI×不登校支援」の研究結果を発表、株式会社成基

株式会社成基が、3月23日に開催された「AI時代の教育学会」にて、不登校支援に生成AIを活用する仕組みづくりやその効果などの研究結果を発表

株式会社成基が運営するオンラインフリースクール「シンガク」は、生成AIを活用した不登校支援の取り組みや効果についての調査結果を2025年4月3日に公表した。同調査は、3月23日に開催された「AI時代の教育学会」にて発表している。

調査では、中学1・2年生19名に「AIの村上先生」と名付けた生成AIを一定期間使用してもらい、自己理解や進路不安の軽減に与える影響を検証。AIには、シンガクの教室長である村上実優氏の情報(写真・話し方・言葉遣いなど)を学習させ、「AIの村上先生」と「リアルな村上先生」との違いや効果を調査した。

「AIの村上先生」の効果を調査

生徒たちは、「AIの村上先生」が「時間の制約がなく利用できる点」や「幅広い情報を提供できるという点」を評価した。一方で「リアルな村上先生」には、「AIでは再現できないような面白さ」や「話を聞いてるのが楽しい」「創造性、柔軟性、倫理的判断能力にすぐれている」といった回答が寄せられている。

結果的に「AIの村上先生」は、学習や情報収集のサポートツールとしての価値を持つ一方、会話の継続性や対話への意欲には限りが見られた。特に、会話を続けるためには、「人間らしさ」や「面白さ」といった要素が重要であることが明らかとなっている。

同社は、人との直接的な対話に不安を感じる場合でも、AIなら気軽に相談できる利点があるが、同調査ではリアルな人との関わりが重要であることが示唆されたとしている。不登校の子供たちが自己理解を深め、心理面およびキャリア面での不安を解消するには、生成AIの活用と並行して、子供たちに対する「リアルな人の働きかけが重要」と同社はまとめており、継続して研究を続けていくという。

シンガク教室長の村上実優氏

シンガクの村上氏は、「不登校の子供たちは、外部とのつながりが希薄になりやすく、興味・関心を広げる機会が限られている。そのため、新しい体験の場を提供することで、子供たちが自らの興味を深め、将来の目標を見つけるきっかけになればと期待している」と生成AIに関して評価した。また、「子供たちのリアルな声を聞きながら、生成AIをどのような場面で活用すべきかを検討する」とコメントしている。