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情報・システム研究機構とKDDI総研、米国の教育分野における生成AIの動向をまとめた報告書を公開
トランプ政権によるAI規制と教育に関する動向も紹介
2025年4月1日 14:00
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構と株式会社KDDI総合研究所は共同で、米国における教育のデータ駆動化を多角的な視点から調査したレポートR&A『米国における教育のデータ駆動化に関する調査報告書』を発行した。
今回公開したのは、「米国における教育のデータ駆動化に関する調査報告書(第三部)」(第1.1版)と「米国における教育のデータ駆動化に関する調査報告書(第二部)」(第1.1版)の2つ。
第二部は、「第6章 教育プログラムの定量評価と共有」「第7章 英国におけるデータ駆動化の事例」「第8章 学校風土調査(School Climate Survey)」「第9章 教育とメタバース」で構成している。
同報告書では、「科学」の成績向上を目的とした教員向けの教育研修プログラム「STeLLA」の効果検証結果を紹介。コロラド州の小学校77校・教員144人、小4と小5の2,823人の児童を対象として、STeLLA研修を受けた教員のクラスと、そうでない教員のクラスで科学のテスト成績を比較した。その結果、STeLLAを導入した教員のクラスでは、本テストの点数が50.17点から56.28点へと向上している。
第三部は、「第10章 米国におけるコロナ禍の施策効果事例」「第11章 英国におけるコロナ禍の施策効果事例」「第12章 教育分野における生成AIの影響と活用事例」「第13章 米国トランプ政権発足によるAI規制および教育に関する動向」で構成し、米国と欧州の生成AI規制に関する参考資料も掲載した。
特に、米国では2023年から2024年にかけて、教員や生徒向けに生成AIを使った教育ツールの提供が加速している。同報告書では、「AIチューター」分野への新規参入について、AIを活用した宿題サポートを提供するBrainlyやオンライン学習プラットフォームのCourse Heroのほか、Ediaのように学校導入型のツールに関する事例を紹介している。
また第12章では、Education Endowment Foundationなどが、教員が授業準備に生成AIを利用したことで作業時間が約30%削減されたことを2024年に実証した内容など、欧米各国の取り組みも掲載した。
さらに第13章では、米国のトランプ大統領が就任当日に「INITIAL RESCISSIONS OF HARMFUL EXECUTIVE ORDERS AND ACTIONS」を発出したことに言及。前バイデン政権のAI規制に関する大統領令撤廃や教育省の廃止を求める動きを進めており、今後も注視する必要があるとしている。