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国立情報学研究所とKDDI総合研究所が共同で、米国・英国の教育のデータに関する調査報告書(第二部)を公開

―無料でダウンロード可能

『米国における教育のデータ駆動化に関する調査報告書(第二部)』(執筆者:国立情報学研究所 / KDDI総合研究所)

国立情報学研究所とKDDI総合研究は共同で、米国における教育データの利活用について多角的な視点から調査したレポート『米国における教育のデータ駆動化に関する調査報告書(第二部)』を、2023年3月31日に公開した。本報告書は国立情報学研究所のサイトKDDI総合研究所のサイトで公開されており、誰でも無料でダウンロードできる。

本調査報告書は、2022年3月に公開された『米国における教育のデータ駆動化に関する調査報告書(第一部)』に続くレポート。今後の国内における教育データ利活用に関する議論をより進化させるべく、主に米国における教育プログラムの介入効果事例、データ駆動化事例、学校風土調査、メタバースの教育分野での取り組みについて報告している。

日本国内においては現在、「教育データの利活用に関する有識者会議」で学習eポータルやMEXCBTにおける児童生徒の教育データ利活用について議論がなされている。今後さらにデジタル教材が普及すれば、教育データ利活用も進むことが予測され、先進的な米国や英国の取り組みを知ることは重要だといえる。

<米国の教育データ駆動化の取り組み>
(1)米国では、過去に実施した個々の教育プログラムの介入効果事例に関して、統一した基準のもと集約しその内容を公開することで、教育の質向上に生かしている。学校や教員に科学的エビデンスとして信頼性の高い情報源を提供しその活用を促進している。

(2)英国においても、教育格差が生じている生徒への支援のため、米国同様にデータプラットフォームを構築し、政府が成績や卒業率などのデータを収集して、学校や生徒・保護者などに公開している。また、教育プログラムの介入効果に関しても、米国同様に定量評価を実施・公開している。

(3)米国では生徒の学力向上の要因のひとつとして、学校生活における生徒の人間関係の良好性や、身体・心理両面での安全性、学校の支援などが生徒のアウトカムに影響を及ぼしていると考えられている。そのため連邦政府や非営利団体により学校風土調査の制度が確立されており、学校改善の取り組みを促進している。

(4)COVID-19を境に世界中でオンライン教育が普及したが、米国などの教育現場ではさらにVR教材・メタバース授業など仮想空間を活用した教育事例が増えつつある。今後は、仮想空間内でユーザーが安心・安全に使える環境や各種ルールの整備、仮想空間ならではのデータの取得・活用による学力や学校風土の向上などが期待される。