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国立情報学研究所とKDDI総合研究所が共同で、アメリカの教育データに関する調査報告書を公開

―無料でダウンロード可能

『米国における教育のデータ駆動化に関する調査報告書』(執筆者:国立情報学研究所 / KDDI総合研究所)

国立情報学研究所とKDDI総合研究は共同で、米国における教育データの利活用について多角的な視点から調査したレポート『米国における教育のデータ駆動化に関する調査報告書』を2022年1月に公開した。国立情報学研究所のサイトKDDI総合研究所のサイトで公開されており、誰でも無料でダウンロードできる。

本調査報告書では、今後の国内における教育のデータ駆動化に向けた議論をより洗練されたものにすべく、初等・中等教育のデータ駆動化で先行する米国における、教育のデータ駆動化が教育現場にもたらした効果、および、教育のデータ駆動化を支える仕組みについて報告している。

1人1台端末の活用が進む教育分野では、それぞれの子どもに応じた学習の提供や、支援を必要とする子どもへのサポートをめざして、教育データの利活用に関する議論が始まっている。文部科学省でも「教育データの利活用に関する有識者会議」が進められており、2022年3月には、「教育データの利活用に係る論点整理(中間まとめ)」も発表された。

一方、ICT活用が進む海外では、法律やシステム、取り組みのカタチは国によって違えど、児童生徒の教育データの利活用は進んでいる。なかでも、取り組みが進んでいるのはアメリカだと言われており、これから教育データの仕組みを構築する日 本は、アメリカの状況を知ることが重要だろう。

<米国の教育データ駆動化の取り組み>
(1)法制度:「どの子も置き去りにしない法(No Child Left Behind Act of 2001:NCLB)」において教育格差が生じている生徒への支援のため、州に対して生徒の学力向上に関する報告の義務化、指標の数値化(成績習熟基準、卒業率、中退率)を実施。

(2)データプラットフォーム:NCLB法のもと、全米の初等・中等教育課程の公立学校のデータを収集するシステム「EDFacts」や、民間と連携したデータ標準化活動など、連邦政府がデータ駆動化に早くから動き、現時点で20年以上前からのデータが蓄積・公開・活用。

(3)州や学区の教育現場:学校の生徒情報システム「SIS(Student Information System)」を利用して、支援が必要な生徒の早期発見や介入などを行い、生徒一人一人に合った指導方法の改善や、教員・生徒・保護者間のコミュニケーション活性化により、中退生徒数の低減や進学率の向上などをもたらしている。