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学習塾における生徒の大学入試傾向を調査、「学校推薦型・総合型選抜対策」のニーズが高まる

株式会社エデュケーショナルネットワークが、学習塾における生徒の大学入試傾向や指導状況を調査したアンケート結果を発表

株式会社増進会ホールディングス(Z会グループ)のグループ会社で、教育機関の支援事業を行う株式会社エデュケーショナルネットワークは、全国の学習塾関係者を対象に、学習塾における生徒の大学入試傾向や指導状況などに関するアンケート調査を実施した結果を発表した。

生徒の主な志望大学については、地元の私立・国公立で72.9%を占めており、地元志向の強さがうかがえる結果となっている。

また、入試方法としては、一般選抜が最も高い中でも、私立は学校推薦型選抜・総合型選抜の割合が比較的高く、国公立は一般選抜の割合が比較的高い。さらに、学校推薦型・総合型選抜対策のニーズが「以前より高まっている」と答えた回答者が73.6%にのぼった。

調査は2024年の7月および10月の2回にわたり実施された。

【調査Ⅰ】学習塾で必要としている「大学入試情報」について

  • 調査目的:学習塾における生徒の大学入試の傾向などを調査・分析するため
  • 調査対象:全国の学習塾関係者
  • 調査期間:2024年7月16日(火)~7月31日(水)
  • 調査方法:インターネットリサーチ
  • 有効回答者数:433名

【調査Ⅱ】学習塾における高校生指導・大学入試対策について

  • 調査目的:学習塾における高校生指導・大学入試対策の状況などを調査・分析するため
  • 調査対象:全国の学習塾関係者
  • 調査期間:2024年10月1日(火)~10月16日(水)
  • 調査方法:インターネットリサーチ
  • 有効回答者数:410名

なお、詳しい回答結果については、エデュケーショナルネットワークが運営する学校・学習塾関係者向けWebサービス「Mytranz(マイトランズ)」にて、1月下旬より紹介する予定となっている。閲覧には、Mytranzへの登録(無料、学校および学習塾関係者限定)が必要。

①生徒の主な志望大学について(調査Ⅰより)
「貴塾の生徒(卒塾生含む)が志望する主な大学を選んでください」という質問(n=433)に対して、「地元私立」が47.3%と最も高く、次いで「地元国公立」25.6%、「地元以外の私立」12.2%、「地元以外の国公立」12.0%と続いた。私立・国公立を合わせて地元の学校が72.9%を占め、地元志向の強さがうかがえる結果となった。

貴塾の生徒(卒塾生含む)が志望する主な大学を選んでください

また、地元では私立の割合が高いのに対し、地元以外では私立・国公立の割合がほぼ同程度となったことも特筆される。

なお、この質問における「地元」とは、おおむね自宅から通える範囲の学校を想定している。

②生徒の主な入試方法について(調査Ⅰより)
「貴塾の生徒(卒塾生含む)が希望する主な入試方法を選んでください」という質問(n=433)に対しては、「一般選抜」56.1%、「学校推薦型選抜」30.5%、「総合型選抜」10.6%という結果となっている。

貴塾の生徒(卒塾生含む)が希望する主な入試方法を選んでください

なお、文科省発表の資料(大学入学者選抜の実態の把握及び分析等に関する調査研究 調査報告書:2024年2月)によると、2023年度大学入学者は「一般選抜」48.6%、「学校推薦型選抜」36.5%、「総合型選抜」14.9%という結果だった。今回のアンケート結果は、学習塾に通う生徒をベースにしたものであることなどから、このような差異が出たものと思われる。

③志望大学による入試方法の傾向の違い(調査Ⅰより)
①②の回答結果をもとに、生徒の志望大学のタイプ(私立、国公立)ごとに入試方法をカウント(「その他」と回答したものは除く)し、割合を算出したところ、次の結果となった。

  • 一般選抜の割合は、私立42.5%に対して国公立80.7%と、国公立のほうが明らかに高い
  • 学校推薦型選抜の割合は、私立44.0%に対して国公立13.0%と、私立のほうが明らかに高い
  • 総合型選抜の割合は、私立13.5%に対して国公立6.2%と、私立のほうが高い
  • 学校推薦型・総合型選抜を合わせた場合、私立は57.5%と全体の6割近くを占めるのに対し、国公立は19.2%と全体の2割弱にとどまる
私立大学志望者と国公立大学志望者の比較

④学校推薦型・総合型選抜対策の実施状況について(調査Ⅱより)
高校生が在籍している学習塾に対する「貴塾では高校生に、学校推薦型・総合型選抜対策を行っていますか」という質問(n=359)につて、3分の2(66.6%)が学校推薦型・総合型選抜対策を「行っている」という結果となった。

貴塾では高校生に、学校推薦型・総合型選抜対策を行っていますか

実施している塾での指導内容は、「小論文対策」が90.8%と最多で、次いで「提出書類(活動報告書・入学志望理由書など)の作成サポート」80.8%、「面接対策」68.6%などとなっている。

学校推薦型選抜や総合型選抜の広がりを背景に、従来の学習指導以外の分野でも、学習塾の役割が拡大している現状がうかがえる。

⑤学校推薦型・総合型選抜対策のニーズの変化について(調査Ⅱより)
④で「行っている」と回答した学習塾関係者に対する「2020年度の大学入試改革以降、学校推薦型・総合型選抜対策のニーズに変化はありますか」という質問(n=293)について、学校推薦型・総合型選抜対策のニーズが「以前より高まっている」と答えた回答者が73.6%にのぼった。

この結果から学習塾での高校生指導において、「学校推薦型・総合型選抜対策」のニーズが顕著に増加している現状がうかがえる。

2020年度の大学入試改革以降、学校推薦型・総合型選抜対策のニーズに変化はありますか

なお、今回のアンケートでは、「学校推薦型・総合型選抜対策」のほかに、「授業の補習・定期テスト(評定)対策」「大学入試対策(一般選抜・共通テスト)」を行っている塾に対しても、それぞれのニーズが変化したか否かを質問しており、両者とも「以前と大きく変わらない」と答えた回答者が6割程度を占めた。