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柏市教育委員会、児童生徒の悩みに対応する「AI相談員」のモデル実証を開始

柏市教育委員会が株式会社ZIAIが提供する「AI相談員」のモデル実証を柏市内の小中学校で開始

柏市教育委員会は、児童生徒の悩みを学校内で早期発見・解決する取り組みとして、生成AIを利用した「悩みチャット相談システム」について、柏市内の小中パイロット校でモデル実証を実施する。

モデル実証では、株式会社ZIAIが提供する自治体の福祉相談システムを解放し、児童生徒は24時間いつでも悩みを相談できる。同システムは、児童生徒が抱えるストレスの緩和を図り、必要に応じて現場の教員やスクールカウンセラーにつなぐことで、課題の早期発見から初期対応の実施に重点を置く。

すでに実証が進んでいる高校では、不登校や自殺予防につながる事例も報告されている。同システムを利用した高校生は、「学校に行くのがつらいと相談することで、『普通じゃない』と評価されてしまうかもしれない」という不安から、親や担任、学校のカウンセラーに相談ができなかったが、AI相談員に相談することで、少しずつ自分のペースで学校に登校できるようになった。

先行実証を進める高校では、AI相談員を利用した事例が報告されている(出典:株式会社ZIAI代表 櫻井昌佳氏note)

同社はモデル実証の背景として、日本におけるいじめや不登校、児童虐待、ひきこもりといった問題の増加を挙げている。特に、2022年のいじめ認知件数は過去最多の681,948件に達し、不登校や児童虐待も増加傾向にある。文部科学省による2020年の調査によると、不登校に至った児童生徒は、小学生が36%、中学生で42%が「誰にも相談しなかった」と回答しており、児童生徒の抱える悩みが表面化されにくい現状がある。

また、学校のスクールカウンセラーは非常勤が多く、相談体制が十分でないケースもある。さらに業務過多のため、教員が児童生徒一人ひとりに目を向ける余裕がないことも多い。同社のAIチャットシステムは、教員の負担を増やすことなく、生徒が抱える悩みを早期に発見し、適切な初期対応を目指す。

同モデル実証は、2024年10月21日から12月27日まで実施し、柏市内のパイロット高に在籍する小学5年生から中学3年生までが対象となっている。