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産学連携で生成AI活用を促進、「一般社団法人Generative AI Japan」を発足
ベネッセとウルシステムズが発起人、AI分野の先端企業・有識者が参画
2024年1月18日 06:30
株式会社ベネッセコーポレーションと、ウルシステムズ株式会社は、一般社団法人Generative AI Japan(略称「GenAI(ジェナイ)」)を2024年1月に発足し、1月17日に設立発表会を開催した。代表理事を務めるのは、慶應義塾大学 医学部教授 宮田裕章氏。また、AWSジャパン、日本マイクロソフト、グーグルクラウドジャパン、日本オラクルなど先端企業や有識者ら17名が理事になっている。
同団体は、生成AIの社会実装において価値創造と共に、高い公正性や安全性の構築が求められる背景を受けて設立。生成AI活用における教育やキャリア、協業、共創、ルール作り、提言を行い、日本全体の産業競争力を高めることを目指す。
冒頭、衆議院議員 小林史明氏が登壇。団体の発足に寄せて、AI活用による人手不足の解消は、デフレからの脱却につながるチャンスであり、人とテクノロジーの協働によって、日本の産業・生産性に伸びしろが生まれると述べた。ゆえに、新しいルールづくりも必要であるとし、「今のルールや常識を前提とするのではなく、テクノロジーをベースに新しいルール形成を考えてほしい」と語った。
代表理事の宮田教授は、GenAIのロゴは生成AIで作ったと紹介。「様々な道が交差しながら、多様な豊かさ・未来に向かっていく」イメージだと語った。そのうえで、「生成AI活用の推進における課題は人材育成であり、新たなルール形成も必要であるが、それを1社で行うことは難しく産学の連携が重要」だと強調した。
GenAIの活動テーマは、「先端技術の共有と連携」「ビジネスユースケースの共有と実装支援」「Labを起点にした共創・協業」「教育・学び」「生成AI活用のルール作り・提言」の5つ。なかでも課題となっている人材育成に関しては、生成AIの活用をベースとした働き方やキャリア形成に役立つ学びの羅針盤づくりや、学びの機会を広げることを目指していくとしている。
パネルディスカッションでは、琉球大学 工学部 玉城絵美教授が生成AIのビジネス展開について「早急な人材育成と、早急な実装を同時並行で行う必要がある」と強調。それに加えて、「言語・視覚情報にとどまらず、人間の体の動きなど生成AIに未だ最適化されていない情報を可視化することが、国際社会に向けた競争力になる」と述べ、ロールモデルの発表や事業化に力を入れていきたいと語った。
株式会社ベネッセコーポレーション データソリューション部 部長 國吉啓介氏は、教育の観点から「生成AIを使った学びは、人と人、本との対話を越え、幅広い情報や人々の知見、思いに触れることが可能となり、学びの変換点が生まれる」とコメント。そのうえで、「専門家だけが使うのではなく、多くの人が生成AIを使い、利便性を得られる未来を目指したい」と表明した。
宮田氏は國吉氏の発言を受け、「この10年間は検索力や編集力を持つ人が頭角を現していたが、今後は生成AIを含めた“問いを立てる”能力の育成が重要になる」と語った。
同団体は現在、参画企業を募集している。宮田氏は「業界を問わず、幅広い企業に参画いただき、業種をまたいだ連携によってシナジーを生み出していきたい」と話した。