ニュース

駿台、記述式問題対策AI学習教材「スルメ」で特許を取得

最適な「ヒント」をAIが自動で提示

 学校法人駿河台学園は、難関大入試で出される思考力を問う記述式問題への対策として提供しているAI学習教材「スルメ」が特許を取得したと発表した。スルメは駿台グループのエスエイティーティー株式会社と共同システム開発したものとなる。

 スルメは2021年4月にリリース、学習者が問題を解いていく際に「ヒント・アダプティブ」という形式で学習者の学力状況を測定しながら、個人の理解度に応じた最適な「ヒント」をAIが自動で提示する仕組みを持つ。

 ヒントは難関大入試で問われるハイレベルな記述式問題を熟知した駿台のベテラン講師陣が作成する。学習者はヒントを段階的に確認していくことで、解くための考え方の道筋を学び、効率よく思考力を養うことができるようになっている。

ヒント画面、解答に行き詰った際、段階的に与えられるヒントを確認する
解答画面は、タブレット上で解答し、手書き対応で、自動採点される

 今回、特許を取得した理由としては、「最も学習効果が高くなる予測正答率は50%程度である」という電気通信大学 植野真臣教授の研究をもとに、今回の発明では、学習者にとって予測正答率をどの程度にすれば最も学習効果が高くなるかを科目ごとに分析を行った結果、最適な予測正答率は「一律50%」ではなく、「物理」や「化学」などといった科目特性により異なることが示唆されたとしている。

 そのうえで学習者が正答にたどり着く確率を予測するAIを構築、学習状況や科目特性に応じて最も学習効果が高くなるよう、ヒントによって最適な難易度調整を行うシステムを開発してスルメに導入。これらのアイデアの新規性や証明するデータが認めらた結果、特許を取得することができたとしている。

 今後は、スルメ学習者のデータを分析し、より最適な予測正答率によって高い学習効果を生み出すことが可能になるとしている。駿台では個別の生徒では20から30程度偏差値が伸びた学習者を確認しており、利用対象者をさらに広げ、より多くの生徒に学習効果を実感してもらえる環境整備を行う。

 また、現在運用している物理と化学に加えて、2024年4月から数学の記述式問題についてもヒント・アダプティブ形式で運用予定。英語についてもリスニング問題、文法問題において同様の開発の検討をしているという。