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河合塾、ChatGPTなど生成AIの利用に関して高校・大学教員にアンケートを実施。「思考力低下」に懸念

河合塾は、教育現場でのChatGPTなどの生成AI技術の活用に関する研究を目的に、全国の高校と大学の教員・教授を主とした教育関係者にアンケートを実施した。

その結果、6割以上がChatGPTなどの生成AIを利用したことがあると回答。使った感想として、簡単な文章構成、要約、コードのスクリプトなどの生成能力の高さを評価する一方で、特に「固有の事象」「専門的な知識」「個性が必要とされる文章」といったケースで内容に対する信頼性の薄さや、内容を精査する労力、生徒・学生が安易に使用することへの懸念などが挙げられた。

生成AI、64%が利用したことがあると回答

具体的な利用方法としては、「文書作成の試行」といったお試し利用が最も多く、続けて「問題・教材作成」と学校ならではの活用法が見られた。大半は「調べもの」「アイディア出し」「校内文書作成」など教員の事務作業などの効率化を目的とした活用が目立った。

また、「推薦書・志望理由書等」はメディアでも取り上げられたことから、実験的に試してみた教員が多かったようだ。ただし、内容の出来については「最低限」という評価で、「個性が出るような文章を書くのは難しい」という記述も見受けられた。

具体的な利用方法

生徒や学生への利用については、全体的な傾向としてAIをどのように活用していくかという視点は必要になると見方を示しているものの、「自由に使うべき」は約3割にとどまり、約6割が「一部制限を設ける」または「禁止するべき」と回答した。

生徒・学生への利用は半数以上が「一部制限を設けるべき」

「自由に使うべき」と答えた教員は、「制限・禁止のしようがない」といった理由が最も多く、「今後社会で活躍するために不可欠」「使うこと自体が学習になる」など、生成AIの有用性を認め、共存的な活用を前向きに検討する内容が見られた。

一方、「一部制限を設ける」「禁止するべき」と超えた教員の理由としては、「情報リテラシーの不足」「著作権侵害」「情報流出の危険性」をはじめ、自ら考え、創造する力や、学習に向かう姿勢が身につかなくなるといったコメントが見られた。

また学校として、生成AIの利用に関する方針を出している学校は、高校で2割未満、大学では約3割という結果となった。方針の内容は、「生成AIで作成した文章をそのまま自分が作成したものとして提出してはならない」「個人情報を入力しない」「著作権の侵害に注意」といったコメントが見られた。

利用に関する方針が出ている学校は、2割未満
大学の方が方針が出ている学校が多い

ChatGPTなど、生成AIに関するアンケート概要
対象:教育関係者(高校・中等教育学校、大学、企業など)
回答数:139件(内訳:高校・中等教育学校75人、大学40人、企業10人、その他14人)
実施方法:WEBアンケート
実施期間:2023年5月15日~31日