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発達障害やグレーゾーンの子どもたち、生活習慣を身につけるヒントは?

~~『かくあげ先生の 発達障害・グレーゾーン 子育て 新ベストテクニック54』より⑤

広汎性発達障害の息子の症状を改善させ、
私大付属中学校合格まで導いた子育て経験が濃縮


昨今では広く知られるようになった「発達障害」「グレーゾーン」といった言葉。実際に「自分の子供に当てはまる…」といった悩みやモヤモヤを抱えている保護者の方は多いでしょう。本連載では、そうした悩みを持つ保護者の方に向けて、発達障害児教育専門家の撹上雅彦氏、撹上理恵氏の著書『かくあげ先生の 発達障害・グレーゾーン 子育て 新ベストテクニック54』(インプレス)より、抜粋した内容を5回にわたって掲載します。

再び私の話になりますが、子どもの頃の私は、手を洗う、歯をみがく、顔を洗う、などの正しい生活習慣が身につかず、手は汚いまま、虫歯だらけ、目ヤニをつけたまま学校に行くという有様でした。親に何度も注意されたはずですが、習慣として身につかなかったのです。

これは過去にかぎった話ではありません。お恥ずかしい話ですが、世の中がコロナ禍で騒がれるまで、帰宅しても私は手洗いをしませんでした。そして今も朝の洗顔ができません。私にはADHD(注意欠陥・多動性障害)の傾向があり、面倒なことは忘れてしまうのです。

中2の息子も私とまったく同じです。息子も歯みがきが苦手で、なかなか習慣にできません。しかし私も息子も、コロナ禍になって手洗いは習慣化しました。つまり、 危機感を持てば生活習慣にすることをいとわなくなるのです。

生活習慣とは、生活環境や仕事などからさまざまな影響を受け、時間をかけて身につくものです。特性ある子が生活習慣化しにくい原因には、

・「すぐに忘れてしまう」
・「面倒でやりたくない気持ちが強くなる」
・「必要性を感じていない」

などがあります。

では、ここで具体的に私の生活習慣を紹介しながら考察しましょう。

私は、これまで帰宅して手を洗っていませんでした。それは、手洗いの必要性を感じなかったからです。

しかし、インフルエンザの流行時期になれば、必要性を感じて手洗いをします。ところが、流行が収まると再び手を洗わなくなります。また、コロナ禍になると積極的に手洗いをするようになりました。つまり、私は感染による病気への危機感から手洗いをしているのです。

今度は子どもの生活習慣化について考えてみましょう。

たとえば、「手を洗わなければ、好きなゲームができない」というルールをつくります。よく忘れる子には、玄関に「手洗い」と書いたカードを置き、手洗いをしたらおやつなどのご褒美を与えます。

そう考えると、もし「朝に顔を洗わなければ、コーヒーが飲めない」というルールを設定すれば、私も朝に洗顔するようになるかもしれませんね。

まずはここから!
生活習慣を身につけさせるには、「すぐに忘れる」「面倒くさい」「必要性を感じていない」の解決を考えてください。

撹上雅彦(かくあげ先生)
特性ある子どもの教育の専門家として、発達障害児の子育ての実体験と教育理論の両面から改善アプローチを研究。自身が持つ発達障害の傾向から、特性ある子の傾向を読み解き、行動改善のために必要な特性に合わせたテクニックを提唱している。
撹上理恵氏
発達障害児のための教育グループ代表。発達障害の子どもの子育てに悩み、食事の栄養面からの改善を図り、行動改善ができたことから栄養アドバイザーとしても活動中。子どもの心と体の改善の第一歩は、お母さんの笑顔と栄養改善が必要と考えている。