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発達障害を理解し、合理的配慮を学ぶVRプログラムの体験会を開催

教員が子供の視点で困り感を体験、効果を高評価する声が多数

発達障害の特性を理解し、合理的配慮を考える「発達障がい体験VR」

株式会社NTT ExCパートナーと一般社団法人 日本発達障害ネットワーク(以下、DDnet)は、東京都内の小中学校・高等学校関係者向けに、発達障害の特徴を当事者の視点で正しく理解し、合理的な配慮を促すためのVRプログラムの体験会を実施した。その結果、日頃から発達障害を持つ児童生徒のサポートに関心や課題意識を持つ参加者から、「当事者がどのように感じているかが理解できてよかった」として、高い評価を得たという。

当事者目線によるVRのイメージ画像

文部科学省の調査(「令和4年 通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」)によると、通常学級に在籍する小中学生の8.8%に、学習面や行動面で著しい困難を示す発達障害の可能性があることが明らかとなった。

一方、こうした小中学生のうち、学校の校内委員会で特別な支援が必要と判断されたのは3割にも満たず、発達障害に対する理解の醸成と学校全体での取組みや支援を促すことが求められている。

「発達障害体験VR」は、発達障害の特性を正しく理解し、合理的な配慮や支援を通じて、当事者がより良く学び、適応できる社会づくりを目指す取組みの1つとして開発された。体験できるシナリオは6種類で、小学校高学年の児童の学校生活を疑似体験する。当事者の視点で「何に困っているのか」「周囲の視線をどのように感じるか」を体感できるプログラムとなっている。

「発達障害体験VR」で体験できる6つのシナリオ

今回NTT ExCパートナーとDDnetが発表したのは、女子美術大学付属高等学校・中学校と大田区立多摩川小学校で実施した体験会の実施報告。それぞれ専門家が発達障害の特性について事例を交えて解説を行い、両会場あわせて約80名の教員がヘッドマウントディスプレイを使って当事者の感覚を体験した。

発達障害体験VR、体験会の様子

発達障害体験VRに対する満足度については、「満足」「やや満足」をあわせると、両校とも9割を超える参加者が高い満足度を得る結果になった。

発達障害体験VRに対する満足度

「発達障害の理解や当事者への共感を高めるために、誰にVR当事者体験を勧めたいと思いますか?」という質問に対しては、「教育関係者」「当事者やその家族」という回答が多かった。

当事者体験を勧めたい対象に関する回答結果

「VR当事者体験を実施した方がよいと思う教育現場を全て選んでください」という質問に対しては、両校共に小学校に次いで中学校が多く挙がる結果となった。

当事者体験を勧めたい教育現場に関する回答結果

今回の体験会は教職員向けに実施されたが、アンケートでは「児童生徒に体験させたい」という声も多く挙がったという。その結果を受けて、今後VR映像の使用について、学校や保護者の理解を得ながら、児童生徒間で発達障害について考えるきっかけづくりとしても、発達障害体験VRの活用を進めていくとしている。