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生成AIxCanva、教育者たちが集結「子どもの未来のための教育カンファレンス2024」レポート
2025年2月17日 06:30
生成AIやCanvaなどのデジタルツールの普及により、教育現場のツールやサービスは多様化している。子供たちが主体的に学び、創造性を発揮するためにはこれらをどう活用すべきか。こうした課題について教育者が語り合うイベント「子どもの未来のための教育カンファレンス2024」が、2024年12月21日、株式会社インプレスで開催された。
今年のコンセプトは「次世代の学びを創造する:生成AIとCanva、五感を育む教材が拓く教育の新時代」。当日のセミナーやワークショップの様子をフォトレポートで紹介する。
オープニングセッション、楽曲生成AI「Suno AI」で曲づくり!
オープニングセッションに登壇したのは、青山学院中等部・スタディサプリ「情報」講師の安藤昇先生 と 埼玉県特別支援学校の関口あさか先生。セッションでは、楽曲生成AI「Suno AI」を使って曲を作り、参加者とともに歌詞を考案。その後、Canva で曲のジャケットをデザインし、さらに 動画生成AI「Midjourney」 を活用してイメージ動画も制作した。AIが次々と音楽や画像を生み出していく過程に、参加者たちも引き込まれていった。
生成AIを活用した授業実践者が語るセミナー
セミナー「あの3人が帰ってきた!AIと教育」に登壇したのは、東京学芸大学附属小金井小学校 鈴木秀樹教諭、札幌国際大学 准教授 安井政樹氏、青山学院大学講師 安藤昇氏。ちょうどこの日は文部科学省が「生成AIの利活用に関するガイドライン(案)」を公開した直後であり、その内容はじめ、授業で生成AIを活用する課題点や教員のマインドなどについて語られた。
Canvaのセミナーやトークセッションも!教員コミュニティで活用を共有
先生の間で利用が広がっている Canva。会場には、元教員でCanva Education Senior Managerの坂本良晶氏 と、Canva Japanのコミュニティを牽引するKT氏 が登壇し、全国のCanva教育者コミュニティとリモートでつなぐトークセッションが行われた。
また、小学校の学級運営、図工専科、養護教諭など、異なる視点からのCanva活用や、地域を超えた教員同士のコミュニティ形成 について語られた。さらに、『いちばんやさしいCanva教育版の教本』の出版セミナー も開催され、多くの先生たちがCanvaの知見やノウハウを共有した。
ほかにも、「教員の複業」に関するトークセッションが実施され、複業の許可や制限、コミュニティ形成の意義やICT活用による働き方改革が語られた。昼休みには会場の一角にDJブースが設置され、オープニングセッションで「Suno AI」で作成した楽曲をDJ academix氏が披露した。
親子参加も!特別支援、知育菓子、マイクラと多彩なワークショップも開催!
イベントでは、特別支援や知育菓子、教育版マイクラなどさまざまなワークショップが開催され、親子連れの姿も見られた。
発達に特性のある子供の支援に関するワークショップ
小学校特別教育支援コーディネーターの山口禎恵先生が登壇し、学びの環境と子供への支援、2つの働きかけに関する実践を紹介した。後半は、株式会社LITALICOの特別支援教育向けサービス「LITALICO教育ソフト」の体験デモを実施。参加者全員がソフトを操作し、アセスメントから個別の支援計画作成の流れを体験した。
知育菓子を使ってアートを表現するワークショップ
子供たちに大人気の知育菓子は、今や学校現場でも利用される教材になっている。静岡サレジオ高校の吉川牧人先生は、「ねりキャンワールド」を使ってアートの世界を再現するワークショップを実施。大人も子供も夢中になり、モネの絵画「睡蓮」や小学校の国語でおなじみの「もちもちの木」のシーンを再現する力作も飛び出した。
知育菓子で絵本の世界を表現するワークショップ
公立小学校教諭で絵本専門士の資格を持つ鍔田マリ先生が、クリスマス絵本を厳選。読み聞かせのあと、「ねりきゃんワールド」で絵本の世界を表現した。親子でワイワイ作った後は、お菓子を食べて楽しいひとときに。
Canva公式クリエイターによるワークショップ
Canva公式クリエイターである、のびー氏・たなよし氏・かどやり氏・かなえす氏は子供向けワークショップを行った。参加者はiPadを使用し、Canvaでオリジナルの年賀状を制作。干支や写真を取り入れたデザインからドット絵を活用したカラフルな作品まで、子供たちは創造性を発揮した。また、たなよし氏は、Canvaのホワイトボードを使った「明日からすぐ使える仮想教室の作り方」など授業で役立つ活用も披露した。
人気ゲーム「マインクラフト」を活用した理科教育&金融教育ワークショップ
岩田智文先生は、理科とマインクラフトを融合させた「リカクラ」のワークショップを担当。教育版マインクラフトの元素ブロックで化合物を作成し、岩石標本を観察した。佐藤裕理先生は、金融を学ぶ教材「クエスト・オブ・ファイナンス」のワークショップを実施。制限時間内にコインを稼ぐ挑戦に取り組み、投資や宝くじのクエストを通じてお金の知識を学んだ。
会場には協賛企業の展示ブースも!
協賛企業の展示ブースには、Canva Japan株式会社、Suno AI、株式会社LITALICO、ELMO、株式会社KEC Miriz、クラシエ株式会社、教育新聞、NPO法人学び環境相談クーポノが展示した。多くの参加者が製品を手に取り、リラックスした雰囲気で交流していた。
年末の開催とあって、1年の実践や教育トレンドを肌で感じるカンファレンスとなった。生成AIやCanvaなどの最新技術やサービスが注目される一方、地域コミュニティの盛り上がりやコラボレーションにも関心が集まった。全国の教育者が刺激し合い、生まれたエネルギーは子供たちの多彩な学びへとつながるだろう。
<おまけ>