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【1,445校に調査】約3割が水泳授業の実施を早め、15%は校外施設に

見学の児童生徒は「泳ぎが苦手」「水着姿に抵抗」などの心理的ハードルも

フットマーク株式会社が、全国1,445校の小・中・高校に実施した「水泳授業に関するアンケート」の結果を発表

学校水泳・体育用品の製造販売などを行っているフットマーク株式会社は、全国1,445校の小・中・高校に「水泳授業に関するアンケート」を実施した結果を発表した。

水泳授業が引き続き多くの学校で行われる一方で、約3割の学校が授業時期を昨年より早め、15%の学校が自校以外の施設を利用する予定であるなど、水泳授業の「時期」や「場所」に多様化の兆しが見られる。

運営上の課題は「水質管理」「熱中症対策」「指導の難しさ」「見学者の多さ」など多岐にわたった。その中で、児童生徒が参加せず見学する理由は「泳ぎが苦手」「水着姿に抵抗」など“心理的ハードル”もあることがわかった。

【調査概要】
タイトル:2025年度水泳授業に関する実態調査
調査対象:全国(水泳授業の実施率が低い、北海道、青森県、岩手県、秋田県は除く)小学校、中学校、高校1,445校
調査期間:2025年5月23日~6月6日
調査方法:インターネットおよびFAXによるアンケート
実施機関:フットマーク株式会社

※本調査ではすべての設問が任意回答の形式となっており、設問ごとの有効回答数は異なる

・水泳授業実施予定の15%が「学校外の施設」を利用
「今年度、水泳授業を実施予定」と回答した学校は 93.6%(n=1,445)だった。

授業の実施場所については、大半が自校で実施予定。一方で、15%の学校が「学校外の施設(スイミングクラブや公営プールなど)」での実施を予定している。背景には学校プールの老朽化や維持費の問題があると考えられる。

実施時期については「6月」が全体の約8割を占めた。開始時期を「昨年より早めた」とする学校は29.5%で、主な理由は「年間スケジュールの都合」が最も多く、次いで「熱中症への懸念」が続いた。一方で開始を「遅らせた」学校も一部あり、その理由としては早めた理由と同様「年間スケジュールが都合」や「業務委託先との日程調整」などが挙げられた。

15%の学校は「学校外の施設」で実施予定

・運営上の課題は「水質管理」「熱中症」「指導の難しさ」「見学者の多さ」
授業の運営に関する課題としては複数ある学校が大半で、「水質管理」「熱中症対策」「指導の難しさ」「見学者の多さ」などが挙げられた。

さらに「その他」として、人手不足や指導者確保、見学者対応、施設面の問題などが見られた。フットマークでは、今後の学校水泳授業運営を考える上で重要な視点となりそうだとコメントしている。

水泳授業に関する困り事の上位は、「水質管理」「熱中症対策」「指導の難しさ」

・見学の理由は「泳ぎが苦手」「水着姿に抵抗」など“心理的ハードル”も
前項で、水泳授業における困り事として、参加しない「見学者の多さ」を挙げた学校は全体の30%(394件/1314件)だった。

見学理由としては、「泳ぎが苦手(386件)」が最も多く、次いで「水着姿に抵抗がある(287件)」、「日焼けをしたくない(145件)」などが続いた。フットマークでは、技術的な不安に加え、心理的・身体的な抵抗感も見学の一因となっていることがうかがえるとしている。

「泳ぎが苦手」が見学理由の最多に

・選択肢の1つに「男女共用セパレーツ水着」
こうした背景を受け、露出を控えた水着や、ジェンダー配慮型のスクール水着、ラッシュガードの使用許可など、授業に参加しやすくなる環境整備に取り組む学校が増えている。

フットマークは2022年に「男女共用セパレーツ水着」を発売し、テスト販売で公立中学校3校が従来の水着と選択できる形で導入した。その後2023年度は300校以上、2024年には400校以上の学校が導入した。2025年度はさらに増え、500校以上の学校での採用を見込む(2025年6月時点)。

導入理由には、「体型を隠したい」「周囲の目が気になる」「日焼けを防ぎたい」など、さまざまなニーズがあり、ジェンダー対応にとどまらない「新しい選択肢」となっているという。

男女共用セパレーツ水着の導入校推移
男女共用セパレーツ水着