ニュース
教員の休職者数が減少、那覇市のカンファレンスで成果発表
2025年2月14日 08:30
2025年2月13日、株式会社rokuyouは、昨年11月に那覇市で実施した教育カンファレンスの成果を発表した。このカンファレンスでは、SEL(社会性と情動の学び)を導入した学校の実践例が共有され、教員の休職者数が減少するなどの効果が報告された。
SEL(Social Emotional Learning)とは、感情を理解し、人間関係を良好に築くためのスキルを育成する教育手法だ。自分への気付きを深める力や自分の感情とうまく付き合う力、他者への気付きを深める力、対人関係力、意思決定力といった能力を育むことを目的としている。
同カンファレンスには、県内外から14校の教員46人が参加。ウェルビーイングな学校づくりに取り組む教員が取り組み事例を紹介し、参加者はSELの重要性と実践方法について学んだ。
沖縄県の公立学校は、精神疾患による教員の休職率が全国で最も高く、2023年度には268人が休職した。これは全国平均の2倍以上にあたる。教育現場の課題として、教員のメンタルヘルス改善や働き方改革が求められている。
同カンファレンスで発表された、うるま市立天願小学校の事例では、教員の孤独感を軽減するために「嘆きの共有の場」を設置。同僚との関係性が深まり、ストレスチェック調査で「同僚からの支援がある」と回答した割合が全国平均(8.2)を上回る10.4となったほか、休職教職員が減少した。
また、県立宮古総合実業高等学校では、「お酒の出ない飲み会」をきっかけに、教員間の対話が活性化し、探究の時間やペーパーレス化など、学校の課題解決につながるアイデアが生まれるようになったという。
株式会社rokuyou 代表の下向依梨氏は、「学力の低さや教員の高い休職率など、沖縄県の教育現場が直面している課題に対し、SEL(社会性と情動の学び)が1つの有効なアプローチとなる可能性を改めて実感した。特にうるま市天願小学校での成果は、教職員のメンタルヘルス向上と学びの質の改善の両面で大きな希望を示している」とコメントしている。