ニュース

NPOカタリバと世田谷区、不登校等児童生徒の居場所・学び場「オンラインルームせたがや」開設

不登校等児童生徒の学び支援に関する連携協定を締結

認定特定非営利活動法人カタリバは、世田谷区教育委員会と、不登校や長期欠席の状態にある子どもたち(以下、不登校等児童生徒)の学び支援に関する連携協定を締結。不登校等児童生徒のためのオンラインの居場所・学び場として「オンラインルームせたがや」を開設した。

この連携を通して、教育支援センター等リアルな場だけではつながることができなかった子どもに新しいきっかけを提供することを目指す。

■背景

2020年度の文部科学省による調査で、日本の小中学校において、不登校の児童生徒をふくむ「長期欠席者」の数が、過去最多である約29万人(287,747人)に上ることが明らかになった。東京都でも2013年からその数は増え続けており、特にこの5年間では1.6倍になった。

このような子どもたちをサポートするために全国の自治体では「不登校特例校」や「教育支援センター」の設置が努力義務とされているが、その設置率はまだ6割程度にとどまっている。また、不登校の児童生徒のうち適切な相談や指導につながることができていない子どもが3割以上にのぼる。

カタリバは、2015年より不登校等児童生徒への支援事業を行っており、近年ではオンラインを通して一人ひとりに合わせた学びや居場所を届ける仕組みを開発、自治体との連携も開始している。その中で世田谷区とは2021年度から試験的に、オンラインとオフラインを融合した学びのサポートに取り組んできた。

世田谷区は、不登校等児童生徒のための学校外の居場所として、教育支援センター(ほっとスクール)を運営している。昨年度の連携では、世田谷区が教育支援センターに登録していても、心理的・物理的にハードルを感じてなかなか来ることができなかった子どもたちを対象に、カタリバがオンラインで会話の機会を作ることからスタートした。関係性を築いていく中で徐々に教育支援センターにも顔を出すようになるなど、オンラインとリアルを段階に応じて使い分けていくことで、さまざまな事情をもった子どもたちにも前向きな変化が見えてきている。

そこで今回の連携協定においては、サポート対象を教育支援センター登録者の外へと広げ、まだ既存の枠組みではつながることができていない子どもたちへ支援を届けることに挑戦する。「オンラインルームせたがや」というオンラインスペースを設け、子どもとの面談や、オンライン学習プログラムの実施、対面支援への接続などを通じて、子どもたちが第一歩を踏み出すサポートをカタリバが担っていく予定。

■連携内容

協定に基づき、下記の内容について連携・協力を進める。

  • 個別の学習相談(アセスメント等)を踏まえた個別サポート計画の作成
  • メンターによる学習等支援
  • デジタルツールを活用した学びプログラムの提供
  • 効果的な支援方法等の開発を目的とした検証

その他、この取り組みを円滑に実施するため、実施時期、実施方法、その他の具体的な事項については、双方が協議して定める。