ニュース
1万5千人に調査、小中高教員の8割以上が辞書の利用を推奨
2025年4月1日 15:30
辞典を刊行する出版社13社が加盟する辞典協会は、全国の教職員や学習支援従事者15,008名を対象に実施したアンケート結果を発表した。調査は2024年12月5日から12月19日にかけてインターネットで実施したもので、辞書の学習効果や利用実態について明らかにした。
【アンケート概要】
調査名:辞典の使用に関するアンケート
調査期間:2024年12月5日~12月19日
調査対象:教職員・教育/学習支援従事者
回答数:15,008人
調査方法:インターネットアンケート
調査によると、「紙、電子を問わず辞書利用を勧めている」(36.3%)と「紙の辞書を勧めている」(25.9%)、「電子辞書(辞書アプリ)を勧めている」(7.5%)で全体の約7割が「生徒・学生への辞書使用を勧めている」と回答した。中でも、小中高の国語・英語の教員は、80%以上が辞書の使用を勧めていると回答している。
なお、小学校では「紙の辞書を勧めている」が46.7%と最も高く、言葉の意味などを調べる方法として「紙の辞書」を勧めていることがうかがえる。
生徒・学生への語彙(ごい)指導にふさわしいものや役立つものに関する設問では、「紙とデジタル」(40%)が最多で、続いて「紙の辞書」(35.7%)という結果となった。
「電子辞書」「Googleなどの検索エンジン」は総じて割合が低い傾向だが、高校(英語)では「電子辞書」(26.6%)と、ほかと比較して10%以上高くなっている。同協会は、教科の性質上、電子辞書の利便性などが評価されており、「紙の辞書」が語彙(ごい)指導に役立つツールと認識されつつ、技術の進歩や利便性の観点で「紙とデジタル」の併用が進んでいると推測している。
辞書を使うことで伸びる力を聞いたところ、「語彙(ごい)力」と答えた教員が71.7%で最も多く、「情報収集能力」(58.8%)、「読解力」(47.3%)「表現力」(28.4%)と続く。特に、小学校と中学校(国語・英語)、高校(国語・英語)では、「語彙(ごい)力」の回答が8割を超えており、辞書が「語彙(ごい)力」を身に付ける重要なツールであると認識されていることが判明した。
辞書の利用と生徒・学生の学力に関する設問では、「とても思う」「思う」で、9割近くが「辞書の利用により学力が向上する」と回答している。その理由として「例文や語句の由来、同義語、対義語など1つの単語から背景や多くの情報が得られる」「調べる習慣、調べ学習によって学習能力が上がる」といった意見が寄せられている。
最後に、辞書の利用について聞いたところ、「とても思う」「思う」で88.5%が「生徒・学生に辞書を積極的に使用してほしいと思っている」と回答した。自由記述では、「調べることはスマホやネットを使うだけではないことを知ってもらいたい。辞書を扱えるようにしていけば、知識や視野が広がる」「力が付くと思うし、インターネット上の真偽不明な情報を持ってきてほしくない」という意見が寄せられた。
同協会は、教育関係者が辞書の利用によって一定の学習効果を期待しているほか、辞書を使って「調べる」ことで、学習習慣が身に付き、言葉への関心が高まることが期待されていると総括している。