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日本マイクロソフト、NEXT GIGAパソコンは「GIGA Basic」と「GIGA Advanced」の2種類を提供

クラウド型とオンプレミス利用可能型

日本マイクロソフト株式会社は、現在のGIGAスクール構想を中心とする文教市場への取り組みと、次世代の“NEXT GIGA”に向けた取り組みについて、記者説明会を10月17日に開催した。

日本マイクロソフト株式会社の中井陽子氏(執行役員 パブリックセクター事業本部 文教営業統括本部 統括本部長)が教育への取り組みについて説明。AIを用いて児童生徒の学習を支援し見える化する「Learning Accelerators」など、Microsoft 365 for Educationを中心に紹介した。

また、佐藤久氏(業務執行役員 デバイスパートナーセールス事業本部 事業本部長)が、教育向けのWindowsやPCについて説明。「Windows 11 Pro Education」や、NEXT GIGA向けパソコンのスペック、文教向けパートナーの新制度について紹介した。

日本マイクロソフト株式会社 中井陽子氏(執行役員 パブリックセクター事業本部 文教営業統括本部 統括本部長、右)と、佐藤久氏(業務執行役員 デバイスパートナーセールス事業本部 事業本部長、左)

自治体、教職員、児童生徒の「三方よし」がGIGAの定着の鍵

中井氏はまず、学校でのGIGAの定着に向けて解決べき課題を、3つの視点から紹介した。自治体からの視点では、予算に限りがある中で使っているうちにコストが膨らむ。教職員の視点では、とにかく忙しく業務効率を改善する必要がある。児童生徒の視点からは、心のケアや学ぶ楽しみの提供が必要となる。

この3者を満足させる「三方よし」が、GIGAの定着の鍵になる、と中井氏は語った。

それに対して、学校での「働き方改革」、先生の「教え方改革」、子どもたちの「学び方改革」の「三位一体の改革」が必要であり、それをマイクロソフトの教育ソリューションによって実現できる、と中井氏は主張した。

日本マイクロソフト株式会社 中井陽子氏(執行役員 パブリックセクター事業本部 文教営業統括本部 統括本部長)
自治体、教職員、児童生徒の「三方よし」がGIGAの定着の鍵

具体的には、働き方改革については、Microsoft 365 for Educationの包括ライセンスにより学校をまるっとカバーできることや、ゼロトラストベースのID認証によるクラウドサービスにより先生が1台のパソコンで教務と校務ができることなど、コスト面の有利さを訴求した。

教え方改革については、Teams for Educationによる先生の業務効率化を説明。さらに、Learning Acceleratorsによって、AIが後ろで動いて、生徒の学習や心のケアなどを見える化し、先生はそれをもとに個別学習ができることを訴求した。

学び方改革については、同じくLearning Acceleratorsによって、心のケアや学ぶ楽しさを実感できると説明。Windows 11の安全安心や、前述の包括ライセンスを訴求した。

働き方改革へのマイクロソフトの支援
教え方改革へのマイクロソフトの支援
学び方改革へのマイクロソフトの支援

AIを用いて児童生徒の学習を支援し見える化するLearning Accelerators

中でも、Learning Acceleratorsについて中井氏は大きく紹介した。児童生徒の音読の練習相手や心の健康のモニタリングをし、情報リテラシーやプレゼンテーションスキルについてAIがコーチングして、あらゆる学習の進捗を学習ログとして可視化する。

利用方法の例としては、Learning Acceleratorsに含まれる「Progress」で先生が音読などの課題をアサインし、生徒は「Coach」で練習して提出し、それをまた先生が「Progress」で確認し、さらに「Education Insights」でクラスの一人ひとりの進捗を把握する。

中井氏はLearning Acceleratorsの事例として、小学校で音読カードでは宿題をやってこなかった子どもが欠かさずやるにようになった話や、特別支援学級で音読が苦手な子どもが何度も練習をしている話、スピーチの練習、中学校での生徒会選挙での演説練習、理科の教科書コラムのルーブリック評価などを紹介した。

Learning Acceleratorsの3分類の機能
Learning Acceleratorsの利用例

教育専用のOS「Windows 11 Pro Education」

佐藤氏は「三方よし」の言葉を継ぎ、そのために大事なものとして、「先生にも、生徒にも、教育委員会にも最適なデバイスを提供したい」と語った。

佐藤久氏(業務執行役員 デバイスパートナーセールス事業本部 事業本部長)

それらのパソコンに向けた教育専用のOSが「Windows 11 Pro Education」だ。最新のWindows 11により、サイバーアタックからのAIによる防御や、パーソナルアシスタントのWindows Copilotなどを利用できる。また、Pro Education独自の機能としては、失読症や弱視などに対応したアクセシビリティ機能が備わっている。

なお、これまで教育市場向けに提供してきた「Windows 11 SE」は、「いま現在提供しているものを最後に、提供は終了になる」(佐藤氏)。

ちなみに、先生からのフィードバックでWindowsパソコンで学習する理由として「Windowsは将来大学生や社会人になってからも使われるOS」という声が多かったという。

Windows 11 Pro Education
アクセシビリティ機能の例
Windowsパソコンで学習する理由

NEXT GIGA向けパソコンは「GIGA Basic」と「GIGA Advanced」の2種類

また、GIGA第一期から学んだこととして、利用用途に合わせたパソコンの仕様を明確に提案する。具体的には、マイクロソフトが推奨する“NEXT GIGA向け”生徒用パソコンの仕様を「GIGA Basicパソコン」と「GIGA Advancedパソコン」の2種類に分ける。

GIGA Basicパソコンは、アプリケーションをPCにインストールするのではなく、すべてクラウドアプリケーションを利用する想定だ。ファイルもクラウドのOneDriveに置く。仕様としては、メモリ4GBとストレージ64GBとなっている。

一方のGIGA Advancedパソコンは、STEAM教育、プログラミング教育、画像編集などの高度な教育のために、さまざまなアプリケーションをインストールしてマルチタスクで使う用途のものだ。仕様としては、メモリが8GB、ストレージが64GB(eMMC)または128GB(UFS)以上となっている。

NEXT GIGA向け生徒用パソコンの仕様は、2種類に分かれた
GIGA Basic パソコン
GIGA Advanced パソコン

佐藤氏は、生徒用パソコンの選定ポイントとして、生徒の机に置けるサイズ、子どもが落としても耐える堅牢性、Windows 11のセキュリティ機能、授業で遅滞なく使える利用用途にあったスペック、コロナ禍を経たリモート学習や共同作業に使えるカメラやスピーカーのクオリティ、生徒の創造性を育むペンとその格納方法を挙げた。

マイクロソフトが推奨する生徒用パソコン

また先生用パソコンについては、「教務用パソコンと校務用パソコンを1つに統合したい。そのために正しい高機能なパソコンを使っていただきたい」と佐藤氏は語った。それに加えて、どこからでも仕事できるようセキュリティチップや多要素認証による高度なセキュリティや、教室でも職員室でも終日仕事できる長持ちバッテリーを挙げた。

マイクロソフトが推奨する先生用パソコン

文教向けのパートナー制度2つをアナウンス

Windowsの強みとして佐藤氏はもう一つ、パートナー企業から提供されるさまざまな製品やサービスが充実しているところを挙げた。

これを強化するための施策として、文教向けのパートナー制度を2つアナウンスした。

「ゼロタッチデバイス管理パートナー」は、デバイスをクラウド経由で展開し運用する「Microsoft Intune」「Windows Autopilot」のソリューションを提供するパートナーで、それにより法人および文教に安全安心にWindowsを採用してもうらう狙いだという。

また「GIGAソリューションパートナー」は、Learning Acceleratorsをはじめとする教育ソリューションや、校務システムとIntuneを連携したデバイス管理など、教育に特化したソリューションを提供するパートナーとなる。

教育関連のパートナー制度