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『思考の整理学』が300万部突破!全国44の大学で累計販売冊数1位 42年読み継がれた一冊

このコーナーでは、教育や子育て、テクノロジーに関する話題の書籍や、読者の皆さまの学びや情報収集に役立つ書籍を紹介します。
『新版 思考の整理学』(著者:外山滋比古/発行:株式会社筑摩書房)

株式会社筑摩書房は2025年10月16日、外山滋比古氏の著書『思考の整理学』の文庫版が133刷となり、累計発行部数が305万6,100部(電子書籍除く)に達したことを発表した。

『思考の整理学』は1983年に単行本として刊行された、お茶の水女子大学名誉教授・外山滋比古氏による学術エッセイで、1986年に文庫化。以後ロングセラーとして読まれ続け、特に大学生協での人気が高い。2008年以降、東大や京大で年間文庫販売数1位を何度も獲得しており、全国の大学生協文庫累計販売冊数でも1位となった。また、全国44の大学において販売数トップであることが確認された(調査期間は2002年8月~2025年7月まで)。

全国大学生協累計販売冊数(文庫部門)
全国44の大学において販売数トップ

これを記念し、筑摩書房は11月中旬出荷予定の重版分から、47都道府県別のオリジナル帯を付けて販売する企画を発表。各都道府県の書店では、それぞれ地元大学名や販売実績が記された帯付きの『新版 思考の整理学』が並ぶ予定だ。

47都道府県ごとにご当地オリジナル帯で販売

刊行から42年を経た今も、なぜ多くの人に読み継がれているのか。

同書では、「これからの時代に必要なのは、自力で飛び回れる“飛行機人間”である」と説く。著者は、先生や教科書に引っ張ってもらう“グライダー型”ではなく、自らの頭で考え、自力で飛び回ることの重要性を1983年の段階で提言していた。受験競争が最盛期だった当時、「知識を詰め込むだけでは、考える力は育たない」という指摘は、知識偏重の学びに慣れた読者に驚きをもって受け止められた。

そして今、インターネットやスマートフォン、SNSやAIの普及によって情報が容易に手に入る時代となり、それをどう使い、どう考えるかが問われている。そうした現代の課題に通じる洞察が、本書が読み継がれている理由のひとつである。

2024年に改訂された新版は、「東大特別講義」が追加されたほか、文字も大きく読みやすくなった。42年を経た今も『思考の整理学』は、学生や社会人の「考える力」を育む本として広く読まれている。

書誌情報

書名:新版 思考の整理学
著者:外山滋比古
発売日:2024年2月8日
定価:693円(本体630円+税10%)
判型:文庫判
ページ数:256ページ
ISBN:9784480439123
発行:株式会社筑摩書房

編集部