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千葉県5自治体が語る教育DXの現在地、デジタル学習基盤が支える現場の取り組み
- 提供:
- 株式会社内田洋行
2026年1月20日 06:30
株式会社内田洋行は2026年1月15日、千葉県内の教育ICTの最先端事例を紹介するイベント「EduNEXT ちば~つながる学びの架け橋~」を開催した。GIGAスクール構想第2期に入り、学校現場は端末の配備から、デジタル学習基盤でつながる学習・校務・教育行政の教育データ活用へとシフトしつつある。いかに安全かつ効果的にデータを活用し、教育の質向上と教職員の負担軽減を両立させるのか。
本イベントでは、千葉県の教育DXの展望や、県内各自治体の学校・教育委員会による校務DXや学習DXの具体的な実践事例が共有された。
■千葉県が描く教育DXの方向性、デジタルの力でリアルな学びを支える
■鴨川市の「デジタル校務」、データベースとして徹底活用し業務負荷を軽減
■柏市、名簿連携で各種サービスを「明日から使える」運用へ
■君津市、MEXCBTで独自問題を作成、日常使いで授業改善に挑む
■印西市、ICT支援員を授業改善の伴走者に。1対1の個別支援も実施
■千葉県、「Future Class Room」を拠点に、県全体の教育DXを底上げ
千葉県が描く教育DXの方向性、デジタルの力でリアルな学びを支える
基調講演には、千葉県教育庁の生田勲氏が登壇した。同氏は、千葉県学校教育振興推進計画を示しながら、その内容は教育DXを重視したものであることを説明。GIGAスクール構想第2期においては、ICTを活用して学びや教育の在り方をどのように変えていくかが重要になると述べた。
その方向性を示すキーワードとして、生田氏は「 デジタルの力でリアルな学びを支える 」を挙げた。紙かデジタルかという二項対立ではなく、ICTの活用によって授業や学校生活を変革することが目指す姿であり、その実現に向けて、教育データの連携と利活用を進めていく必要性を強調した。
また、教育DXを実現するうえで欠かせない要素として、学校現場におけるデジタル学習基盤の整備と活用についても言及。生田氏はそれぞれについて、千葉県の現状と具体的な取り組みを説明した。
ネットワーク面では、県立高校を対象としたWi-Fi接続改善プランに触れ、電波干渉やローミング時の遅延といった課題の解消を進めていることを紹介。またセキュリティ面では、専門用語が多く理解が難しいガイドラインを補完するため、現場の教職員向けに考え方や留意点をわかりやすく解説した「教育情報セキュリティポリシーハンドブック」を公開している点を挙げた。
教育データ利活用について生田氏は、学習者が生涯にわたって学び続けられる「 学習エコシステム 」の構築を重視していると述べた。産官学が連携して環境を整えることで、個別最適化された学習や、データに基づく意思決定、組織としての知の蓄積につながると説明。将来的には、生徒自身が成長データをもとに、「成長のロードマップ」を描ける姿も理想として示した。
さらに生田氏は、学習ツールやコンテンツの進化にも触れた。千葉県立学校では、学習eポータル「L-Gate」とCBTシステムの整備が進められており、現在、千葉県立高校では「L-Gate」の全校導入が進行中だという。小中学校での自治体単位の活用に加え、県立高校全校を対象に同一の学習eポータル基盤を導入している事例は全国的にも限られており、この取り組みは千葉県の教育DXを象徴するものだといえる。今後は、生成AIを含む各種学習ツールについても、シングルサインオンで利用できる環境を整備していく方針が示された。
ほかにも生田氏は、デジタル教科書は紙とデジタルを併用するハイブリッド型が望ましいとの考えや、県立学校の端末整備についても、ペン入力対応によって創造的な学習活動に広げられると説明。なお、内田洋行は千葉県が進めるNEXT GIGAに向けた小中学校の共同調達では、2025年度中に約16自治体に向けて、既に約9万5,000台のPCを導入する計画となっており、順次提案も増加しているという。
生成AIの活用については、教材研究やコンテンツ作成の場面で、文章から要約やマインドマップを作成したり、プロンプトだけで理科実験の動画や説明の映像を生成したりといった活用例が紹介された。最後に生田氏は、「タブレットは単なる道具ではなく、各教科で活用することで、子供たちが世界を見るための『眼鏡』になり得る」と述べた。 子供を真ん中に置いた教育と、それを支えるデジタル学習基盤の掛け合わせ こそが千葉県の教育DXの軸になると語った。
鴨川市の「デジタル校務」、データベースとして徹底活用し業務負荷を軽減
鴨川市教育委員会の立野幹夫氏と吉田洋一氏は、統合型校務支援システム「デジタル校務」の活用事例を紹介した。同市は、令和3年に校務支援システムを刷新し、約4年間、校務DXに取り組んでいる。
「デジタル校務」は、教職員間の連絡や情報共有を支えるグループウェア機能と、出欠や保健、名簿、帳票、行事予定などの日常業務を扱う校務機能を組み合わせ、学校の校務を一元的に支援するソリューションだ。同システム導入後、市内10校の学校がVPNでつながり、市内の全教職員がメールや掲示板などのグループウェアの利用が可能になった。
一方で、システムを導入しただけでは活用は広がらない。そこで、 グループウェアを日常的に使う仕組みづくりが重要だとして、PC起動時に自動で立ち上がる設定 にし、「掲示板」の運用なども工夫した。掲示板には、市教委や県教委からの通知、研修案内、緊急連絡などを集約し、紙の配布や回覧に頼らない情報共有を定着させていったという。
また鴨川市では、標準の名簿様式に通学方法やPTA役員、端末IDといった独自の項目を追加するなど、 学校現場のニーズに応じたカスタマイズ も進めてきた。校務支援システムを「データベース」と捉え、必要な情報を必要な形で取り出せるようにすることで、帳票作成にかかる手間の削減につなげている。
導入をゴールとするのではなく、運用の中で項目や出力方法を見直し続けること。その積み重ねこそが、現場に根付く校務DXを進める土台になることを示した。
柏市、名簿連携で各種サービスを「明日から使える」運用へ
柏市教育委員会 学校教育部 指導課の丸山慧氏は、「 つながる校務DX 」をキーワードに、名簿を基盤にしたL-Gate連携の取り組みを紹介した。校務データを分断させずにつなぐことで、学校・教育委員会双方の業務を効率化する狙いだ。
柏市では、 学校が作成した名簿をマスターとして扱い、L-Gateや各種ツールへ自動で反映する仕組みを構築 している。これにより、年度替わりや転入時に発生していたアカウント登録作業を大幅に効率化した。
丸山氏は導入前について、「教育委員会側が複数のサービスのアカウントを手作業で登録していたため、作業量が大きく、確認にも時間がかかっていた」と振り返る。現在は、学校で更新された名簿情報が日次で自動連携され、翌日から各種サービスを利用できる状態に近づけたという。業務量の削減に加え、入力ミスや登録漏れといった人的ミスも抑えやすくなったという。
こうした名簿連携の仕組みは、校務の枠を超えて教育委員会内の業務にも広がっている。例えば、学校給食に関わる手続きや、教職員課が担う勤怠管理など庁内の業務でも、名簿情報を共通の前提として扱うことで、 二重入力や転記作業を減らしている 。
さらに、スクールソーシャルワーカーなど外部人材が関わる支援の現場でも、必要な情報を適切な権限のもとで共有できるよう連携を進めているとした。名簿を起点にデータを「つなぐ」ことで、校務DXを点ではなく面で広げていく活用が示された。
君津市、MEXCBTで独自問題を作成、日常使いで授業改善に挑む
君津市立小糸小学校の三平大輔氏は、前任校の君津市立清和小学校で進めてきた文部科学省のCBTシステム「MEXCBT」の活用事例を紹介した。
同氏は、君津市教育委員会に理解を得ながら、学校側で問題を作成できる環境を整備。教員が授業内容や児童の実態を踏まえて独自問題を作成し、 授業の小テストや単元の振り返り、家庭学習など日常的に活用 してきたという。既存のデジタルドリルでは、児童の理解が見えづらいという課題意識が、取り組みの出発点だったようだ。
また三平氏は、MEXCBTが「年1回の調査のためのもの」として扱われがちな現状にも触れ、児童生徒が当日に戸惑わないためにも、普段から使う機会を設けることが重要だと強調した。
三平氏は、独自作成問題のメリットとして、児童の理解度や学習状況に応じて柔軟に内容を調整できる点を挙げた。CBTは紙のテストと異なり、 音声や画像・動画などマルチメディアを活用できる点 もメリット。「知識の定着だけでなく、思考力や判断力を問う問題も作りやすい。1度解いて終わりではなく、何度も繰り返し挑戦できるので児童の理解を深められる」と語る。
MEXCBTの学習は、「テスト管理」や「学びログ」から、誰がいつどの程度取り組んだかを確認できる。点数分布や解答状況などのレポートも参照でき、 つまずきや理解の状況を見取り、授業のフィードバックに生かせる という。三平氏は、こうしたMEXCBTのデータを結果を見るだけのものに終わらせず、授業改善につなげていきたいと述べた。
印西市、ICT支援員を授業改善の伴走者に。1対1の個別支援も実施
印西市教育委員会 印西市教育センターの橋本一哉氏は、ICT支援員を軸にした現場支援の取り組みを紹介した。
印西市には27校の小中学校があり、「ICT支援員サービス」により6名の支援員を配置している。橋本氏は、端末整備や操作習熟といった段階はすでに一巡し、現在はICT活用を「授業改善」と「教員の負担軽減」にどう結び付けるかというフェーズに移行していると説明。その鍵となるのが ICT支援員 の存在であり、授業改善の伴走者としてのチーム対応、教育委員会と学校をつなぐ迅速な支援、教員のニーズに応じた個別最適な支援という3本柱で全校を支えていると語った。
印西市では、ICT支援員は機器トラブル対応だけでなく、授業準備や教材作成、活用アイデアの提案にも関わってもらい、 授業で何を実現したいのかを教員と共に考えるパートナー と考えているのが特長だ。その実践の蓄積と共有を目的に、ICT支援員が「 印西市教職員専用サイト 」を作成し、ICTを生かした授業資料を学年ごとに公開。加えて、チャットでいつでも相談できる体制を整えた。
また、教育委員会には管理責任者が常駐し、支援員の活動全体を統括している。全支援員と教育委員会はグループチャットで常時つながり、課題やトラブル、成功事例を随時共有しているという。橋本氏は、こうした迅速なレスポンス体制が「困ったときにすぐ返ってくる」という安心感を生み、教員が新しい授業に挑戦しやすい環境づくりにつながっていると説明した。
さらに印西市では、教員一人ひとりの課題や習熟度に応じた 1対1のICT個別研修も実施 している。研修は希望制で、基本的な操作の相談から、授業でのICT活用、校務の効率化まで多岐にわたる内容を相談できる。橋本氏は、「個別研修を受けた教員の満足度は100%だった」と紹介。教員の「今困っていること」に寄り添う個別支援を重ねることで、ICT活用への心理的なハードルが下がり、授業改善や校務DXが現場に定着していくと説明した。
千葉県、「Future Class Room」を拠点に、県全体の教育DXを底上げ
千葉県総合教育センターの岡松英雄氏は、教員の資質向上を軸にした研修の取り組みを紹介した。
同氏は、教育現場は変化を受け入れるのが容易ではないからこそ、研修センターが現場に先行して「未来の学び」を示す必要があると指摘。そこで、総合センターに、Future Class Room(フューチャークラスルーム)のコンセプトを取り入れた先進的な研修環境を整備した。単なるICTスキルの習得にとどまらず、 教員自身が学び方の変化を体感し、学校現場へ持ち帰って実践につなげることを重視 している。
Future Class Roomは現在、千葉市内で採用が進んでおり、2024年に市内すべての公立小・中学校を対象に計169教室のPC教室を改装。「全国でも最大級規模の整備をしている」と岡松氏は説明した。同氏は、総合教育センターが「先生が学び、学校へ持ち帰って還元する」拠点である以上、 研修施設が現場より遅れていては意味がない と強調。そのうえで、協働的な学びを体験しやすい教室配置に加え、eスポーツ、VRやAR、映像配信などの設備も組み合わせ、これからの授業づくりの発想を広げるための入口にしていると説明した。
研修では、機器の操作にとどまらず、授業づくり、情報活用能力、デジタルシティズンシップ、生成AIなども扱うという。岡松氏は、教員が新しい学び方を体験して学校へ持ち帰る循環をつくることが、県全体の授業改善と教育DXを底上げする鍵になるとまとめた。
今回のイベントでは、GIGAスクール構想第2期において、デジタル学習基盤の活用とともに、教育の在り方そのものを見直すDXの段階に入っていることが、各自治体の取り組みを通して示された。千葉県では、学習や校務、研修といった領域を横断した実践が進められている状況が共有された。















































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