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東京発・親子で日帰り万博!持ち物リストから帰りのたこ焼きまで、まるごと1日レポート

親子で日帰り訪問、「EXPO 2025 大阪・関西万博」体験レポート

153の国と地域、8の国際機関(2025年6月時点予定)が参加し、最先端の科学技術・建築が集う「EXPO 2025 大阪・関西万博」(以下、万博)。海外のパビリオンでは各国の文化や国際理解を深める展示が話題を呼び、子供たちにとって学びがあふれる場となっている。

筆者も「子供たちと体験したい」と思い立ち、小学生の息子2人を連れて東京から日帰りで訪れた。これから夏休みに万博を予定している方に向けて、準備や当日の持ち物、実際に体験して感じた魅力やおすすめのパビリオンを紹介する。

子連れ万博は事前準備と交通手段の確保が大切!

①パビリオンの予約について

入場チケット購入後は、パビリオンやイベントの予約・抽選申し込みをお忘れなく。自由入場可能なパビリオンもあるが、人気のあるシグネチャーパビリオンや企業館は予約必須の場合が多い。

「EXPO 2025 大阪・関西万博」公式サイトの「マイチケット」にログインして予約しよう

予約は最大3回。来場日の3カ月前から2カ月前の前日までが「2か月前抽選」、1カ月前から8日前までが「7日前抽選」、3日前の0時からが「空き枠先着予約」だ。筆者は7日前抽選で『PASONA NATUREVERSE』を確保したが、3日前の先着予約は競争が激しかった。

②交通手段の確保について

万博には東西2つの入場ゲートがあり、使う交通機関によって入場口が決まる。筆者は「東ゲート10時」入場予約で鉄道を利用し、帰りは西ゲート発のシャトルバスを予約。長時間歩いた後の帰路は、駅まで直行するバスが子連れには助かる。

バスの予約は、アプリ「KANSAI Maas」で事前に行っておくとスムーズ

会場内の移動にはバス「e Mover」が便利。特に東西を移動する場合、時間と体力の節約になる。乗車券はアプリでの事前購入制なので、1日券や回数券を用意しておくと安心だ。

アプリ「e METRO」のアカウントで、子供の乗車券と一緒に購入した

③持ち物について

当日は、母のリュックと保冷バッグに加え、子供たちにもそれぞれリュックを持たせた。

筆者が万博に持っていった荷物

筆者はリュックと保冷バッグ、子供たちにも各自リュックを持たせた。6月でも暑さ対策は必須。モバイルバッテリーや会場地図は特に重要だ。

筆者が重用したのが、SNSで話題の地図を作成したつじさん(Xアカウント:@t_tsuji)の地図。団扇に貼って活用できるも地図のデータも公開しており、それがいちばん役立った。

つじさん(Xアカウント:@t_tsuji)の地図を団扇に印刷して持参した

もう1つお勧めなのは、来場前にチケットのQRコードを印刷しておくこと。ラミネートし、小さなポーチに入れて首から下げると便利だ。スタンプ帳やICカードも同様にポーチにまとめておくとスムーズに行動できる。

パビリオンでスタンプを押す際、子供たちは自分でスタンプ帳を取り出していた

17時帰宅の日帰りで体験できた「子連れ万博」のリアル

ここからは筆者親子が体験したパビリオンの感想や、当日の様子をレポートしよう!当日の流れは以下の通り。

「東京⇔大阪の日帰り子連れ万博」の流れ

新幹線で新大阪に到着後、駅ナカでパンやお菓子を購入。万博グルメは魅力的だが、今回は時間の都合でパビリオン体験とスタンプラリーに集中する作戦を取った。

6月平日は30分前到着で10時にスムーズに入場。子供たちは「ミャクミャクくじ」に惹かれるも2時間待ちで断念。クウェート館の列に並びつつ、当日予約で『EARTH MART』を確保。一部のシグネチャーパビリオンは、当日予約は時間が決まっており、解放時間に挑戦すればチャンスがある。

この日のタイムリミットは、17時50分(大阪駅に向かうバスの予約時間)まで。事前予約は1つだけだったが、3つのパビリオンとコモンズAを中心に楽しむことができた。

①低年齢の子供も五感で楽しめる『クウェート館』

「2時間待ち」の案内で列につくも、1時間ほどの待ち時間でクウェート館に入場できた

白い翼を広げたような造形が印象的なクウェート館は、五感を使った多彩な演出が魅力。入場してすぐに現れる球体スクリーンでは、ミストや温度変化の演出が来場者を迎える。

幻想的な球体スクリーン

小1の次男が夢中になったのは、実際の砂に触れられる砂漠ゾーンと滑り台。特に砂場では、声を掛けなければ延々と遊び続けそうなほどだった。

夢中になって遊んだ砂漠ゾーン
滑り台の出口

館内では、乳香やコーヒーの香りに包まれながら名産品に触れる展示や、手押しポンプで水をくみ上げる体験など、物語性ある仕掛けが多数。

エキゾチックな乳香の香りを初体験
一心不乱にポンプを押す子供たち

後半には、砂漠を模したベンチに寝転んで楽しめるプラネタリウムもあり、光と音に包まれる幻想的な演出に浸ることができた。

②小5がアンモナイトとiPS心臓に興奮『PASONA NATUREVERSE』

鉄腕アトムとブラック・ジャックがお出迎え

アンモナイトの螺旋を取り入れた巻き貝のような外観が印象的な『PASONA NATUREVERSE』は、「いのち、ありがとう」をテーマに、未来の医療や生命科学を体験的に学べるパビリオン。

筆者が7日前抽選で選んだ1枠は、iPS心臓をどうしても見たいという長男の熱い希望によってこの館に決定。中に入ると、世界最大級のアンモナイトの化石・アンモライトに長男は大興奮。次男は「生命進化の樹」と呼ばれる巨大な地層展示に釘付けで、スタッフとのやりとりを楽しんでいた。(現地のスタッフとの質問や交流も、万博の醍醐味だと実感!)。

生命の進化を表現した「生命進化の樹」
お目当てのiPS心臓は、小さいながらもしっかりと脈動していた
微生物の世界を紹介する、洞窟型展示も(画像:公式サイトより)

ここでは、展示を見るだけでなく、スタッフに積極的に質問するとさらに理解が深まる。睡眠状態を測定し最適な眠りを提案するベッド「未来の眠り」や、遠隔操作による「未来のカテーテル手術」など、体験型の展示も整理券で参加可能だ。

案内係のお兄さんに、未来のベッドについて質問している様子
未来の手術をテーマにした展示に、兄弟揃って夢中

命とテクノロジーの融合に触れながら、子供たちの知的好奇心を刺激する内容が詰まっていた。

③命をいただく尊さを学び、25年後に思いを馳せる『EARTH MART』

茅葺屋根の建物が印象的な『EARTH MART』

筆者が最も訪れたかった『EARTH MART』は、「食を通じて、いのちを考える」がテーマのパビリオン。平均寿命で人が消費する卵の数を示した卵のシャンデリアや、彩り豊かな食のインスタレーションが来場者の目を引く。

人が一生で消費する卵の数を示した卵のシャンデリア
思わず写真を撮りたくなる、カラフルな食材のインスタレーション

「いのちのはかり」では、牛乳や水のペットボトルを測りに乗せると数字が表示される。たとえば水の場合、「12」という数字が出る。これは世界196カ国のうち、安全に水道水が飲める国の数を示している。「日本はその12のうちのひとつなんだね」と、子供たちも思わずしみじみとつぶやいていた。

測りに水のペットボトルを載せると、「12」という数字を表示
世界196カ国のうち、水道から安全な水を飲める国は、わずか12カ国

さらに注目したのは、実際に会場で仕込まれる梅干し「万博漬け」。来場者には、2050年に引き換え可能なチケットが配布され、「食のタイムカプセル」として記念カードを記入できる仕掛けがあった。

2050年の梅干し「万博漬け」に、25年後の自分たちへのメッセージを託す

「25年後、兄弟は36歳と32歳か……」と未来を思い描きながらメッセージを綴る時間は、筆者自身にとっても、特別なひとときとなった。

紹介したパビリオンに加えて、満足度が高かったのが合同パビリオン「コモンズA館」。中東・アフリカ・オセアニアの国々が屋内に一堂に会し、多彩な文化体験ができる空間となっていた。

ガーナの打楽器を叩いたり
バルバドスのデジタルコンテンツを、タブレットで体験

そして筆者が密かに楽しみにしていたのが、イエメンのショップでの買い物。SNSで話題となっていた商人との“値切りバトル”を実体験し、1,500円のディスカウントに成功。イエメンは現在、渡航が制限されている国のひとつ。そんな国の出店者から直接、現地の天然石アクセサリーを購入できた体験は、かけがえのない思い出となった。

長男作・マイクラの「アメリカ館」を現地のスタッフに見てもらった!

パビリオン巡りの合間、アメリカ館でひと休み。長男は突然ニンテンドーSwitchを取り出し、マインクラフトで作成した“自作アメリカ館”をスタッフに見せてみたいと言い出した。SNSでオランダパビリオンを再現した小学生の投稿に触発されたのだという。

アメリカ館に設置されたベンチで、パンを食べる次男とマイクラに励む長男
長男作、マイクラで作った「アメリカ館」

長男が作品を披露しようと、「Do you know Minecraft?」と尋ねると、スタッフは「Yes!!! Of course!!!」と笑顔で反応し、「Incredible!!」とスマホで撮影までしてくれた。英語を習い始めたばかりの長男にとって、それは忘れがたい出会いとなったようで、「一生忘れられないかも……」と照れくさそうにつぶやいていた。

自作のアメリカ館を、アメリカ館のスタッフに見せている様子

そのほかにも、ポケモンGOのスタンプラリーや、郵便局から祖父母宛てに出すなど、さまざまな体験ができた。

ポケモンのフォトスポットは東西で全7カ所あった
会場の郵便局でハガキを出すと、万博の消印を押してもらえる

帰り際には西ゲートのオフィシャルストア「KINTETSU」でお土産を購入。15時半から並び、買い物と会計を済ませるのに約1時間を要した。目当てのグッズがある場合は、早めの来店をおすすめする。

次男が「ぬいぐるみを買って」と手渡してきたのは、まさかのダルマ。母はミャクミャクの竹箸をマイお土産にチョイス

バタバタの日帰り万博だったが、夕方17時50分に会場を後にして、大阪駅でたこ焼きを食べるというプチ観光で締めくくり。

今回、筆者が改めて実感したのは、万博は「何ができるか」ではなく、「何に出会うか」を楽しむ場所だということ。花形であるパビリオンを満喫するもよし、大屋根リングや名建築を長めながら散歩するのも気持ちいい。万博の会期は10月13日まで。今しか味わえない空気をぜひ親子で感じてほしい。

余談だが、筆者は万博に向けて、さまざまな「ミャクミャク」グッズを手作りした。ネイルアートや子供たちのTシャツ(フェルトを切り貼り)、折り紙など、小さな工夫が思わぬ交流を生み、自分たちの気分も自然と盛り上がった。親子での旅をより楽しくするアクセントとして、ぜひおすすめしたい

自作のミャクミャク折り紙(折り方はYouTubeを参考にした)
本多 恵

フリーライター/編集者。コンシューマーやアプリを中心としたゲーム雑誌・WEB、育児系メディアでの執筆経験を持つ。プライベートでは幼稚園児&小学生の母。親目線&ゲーマー視点でインクルーシブ教育やエデュテインメントを中心に教育ICTの分野に取り組んでいく。