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サイバー攻撃による情報漏えい、教育・学習支援業は前年同期の約1.9倍に MM総研調査

「国内サイバー攻撃による情報漏えい動向調査」(2026年10月時点)

株式会社MM総研が、Webサイトや報道により公開されたサイバー攻撃による情報漏えい事案(漏えい可能性を含む)に関する動向調査の結果を発表(出典:株式会社MM総研、以下同じく)

株式会社MM総研は、サイバー攻撃による情報漏えい事案を調べた「国内サイバー攻撃による情報漏えい動向調査」の結果を2026年10月14日に発表した。

同調査は、2022年1月1日から2026年10月13日までに、企業や団体のWebサイト、報道などで公表されたサイバー攻撃による情報漏えい事案を集計したものだ。情報漏えいの可能性が指摘された事案も対象としており、誤送信や紛失、内部不正などの人的要因による事案は含まない。

2026年1月から9月の事案数は454件となり、前年同期の304件から49%増加した(データ1)。2022年の同期間は239件、2023年は208件、2024年は272件、2025年は304件で、2026年は4年前の約1.9倍に達している。

さらに、2026年10月13日時点の通算は485件となり、2025年通年の432件をすでに上回った。MM総研によると、2022年からの過去5年間では最多となるという。

【データ1】サイバー攻撃による情報漏えい事案数の推移

月別に見ると、2022年から2024年前半までは月20件前後から30件台で推移していたが、2024年後半以降は30~40件台の月が多くなった(データ2)。2026年3月には56件、8月に71件を記録し、9月も暫定値で68件と高い水準が続いている。

【データ2】月別事案数の推移(2022年1月~2026年10月)

攻撃の手口別では、ランサムウエアに関連する情報漏えい事案が2025年の81件から2026年は88件となり、高い水準で推移した(データ3)。一方、フィッシングを起点とする事案は、2022年の5件から2026年には43件となり、約8.6倍に増えている。前年同期で比較すると、フィッシング起点の事案は11件から43件、不正ログインやアカウント乗っ取りは43件から72件へと増加した。

一方、VPN機器やCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)のプラグインなど、脆弱(ぜいじゃく)性を突いた事案も30件から48件に増えている。

【データ3】被害の起点別事案数の推移(件)※各年1月~9月を集計

フィッシング対策協議会によると、消費者からのフィッシング報告は、2025年春に月約25万件と過去最多の水準となった後、2026年7月は約6.6万件まで減った。消費者向けが減る中で、企業や大学の従業員・教職員のアカウントを狙ったフィッシングによる情報漏えいが増えているという。

企業規模別では、従業員300人以下の企業で事案数が急増した。2025年1月から9月の99件に対し、2026年は195件と約2倍になっている(データ4)。全体の増加分150件のうち、約3分の2にあたる96件は従業員300人以下の企業だった。従業員1,001人以上の大企業は48件から64件(33%増)、301~1,000人は52件から65件(25%増)となっている。

【データ4】従業員規模別の事案数の推移(件)※各年1月~9月を集計

2026年1月から9月に公表された事案のうち、業務委託先やクラウドサービスなど外部の関与が確認されたものは164件で、全体の36%を占めた。

業種別に見ると、教育・学習支援業の事案数は2025年1月から9月の24件から、2026年の同期間には45件へと約1.9倍に増加した(データ5)。大学や学校では、データを暗号化して利用できなくするランサムウエアによる被害に加え、教職員や学生のアカウントを乗っ取る攻撃や、フィッシングによる被害が目立っている。

教育・学習支援業以外では、情報通信業が前年同期の33件から88件へと約2.7倍に増え、業種別で最多となった。製造業は、52件から80件に増加している。

【データ5】業種別の事案数(件)※各年1月~9月を集計

情報漏えい事案に関し、検知から初報までの日数にも変化が見られた。被害の検知から最初の公表までにかかった平均日数は、2023年の41日から2026年には17日へと短縮している(データ6)。

【データ6】検知から公表までの平均日数(1~9月)

一方で、報道や企業の公表で情報漏えい(可能性を含む)の件数が100万件以上と示された大規模事案は、2022年2件、2023年5件、2024年5件、2025年12件と増え、2026年は10月13日時点で19件と、過去5年で最多となった(データ7)。

【データ7】100万件以上の大規模事案数

海外との比較では、上場企業1,000社あたりのサイバー事案開示数が、2026年1月から9月に日本は8.6件、米国は9.7件となっている(データ8)。ただし、国によって情報開示の制度や基準が異なるため、数値の比較には注意が必要だ。

【データ8】日本・米国・英国の上場企業のサイバー事案開示件数(1,000社あたり、各年1~9月)

MM総研によると、英語圏以外でもサイバー攻撃が増加傾向にあることや、中小企業へも広がっていることを踏まえると、サイバー攻撃にAIが取り入れられ、攻撃のコストやハードルが下がっている可能性が示唆されるという。

MM総研は、サイバー攻撃への対策として、複数の方法で本人確認を行う多要素認証の徹底や、脆弱(ぜいじゃく)性を修正する更新プログラムの迅速な適用を挙げた。大企業だけでなく、中堅・中小企業や委託先も含めた対策に加え、被害を早期に発見し、公表できる体制の整備が必要だとしている。