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子どもの意見表明等支援(子どもアドボカシー)事業を自治体に調査、77%が事業を実施中
2025年1月7日 10:30
NPO法人全国子どもアドボカシー協議会は、全国の児童相談所設置自治体を対象に、「子どもの意見表明等支援(子どもアドボカシー)事業」の実施状況や課題を把握するためのアンケート調査を実施し、結果を2025年1月6日に発表した。
実施期間は2024年10月2日〜11月15日。調査はオンラインで実施。回答票URLをメール送信し、不明点は電話で確認した。なお、大分大学権利擁護教育研究センターが協力している。
調査対象は、児童相談所設置自治体79自治体(47都道府県、32市区町村)の「子どもの意見表明等支援事業」の実施者。回収数は77.2%(61自治体)。
その結果、77.0%(47自治体)が事業を「実施している」ことがわかった。うち7割が民間団体に委託している。
一方で前年に続き、支援員の不足や予算不足、関係機関との調整が事業の課題となっており、依然として解決されていないことも浮き彫りになった。
結果を受けて全国子どもアドボカシー協議会では、すでに実施している意見表明等支援員の養成研修の継続実施も含め、子供・若者の声を聴く環境を整えるための支援を検討していきたいとコメントしている。
調査結果詳細は以下の通り。
1. 「子どもの意見表明等支援事業」の実施状況
児童相談所設置自治体における「子どもの意見表明等支援事業」の実施状況を見ると、61自治体のうち77.0%(47自治体)は「実施している」と回答し、21.3%(13自治体)は「実施していないが、整備に向けて準備している」、1.6%(1自治体)は「実施する予定はない」と回答した。
また、活動する実施主体は、児童相談所設置自治体から民間団体への委託などが69.6%(39自治体)と最も高く、個人への委嘱は30.4%(17自治体)だった。
委託されている民間団体の属性を見ると、「アドボカシー事業のみを実施している法人」が28.6%(8自治体)と最も多く、次に「アドボカシー事業を含む複数のこどもに関する事業を実施している法人」25.0%(7自治体)が多かった。
2. 意見表明等支援員の属性
意見表明等支援員の人数を階級別に見ると、1〜10人が52.6%(20自治体)と最多であり、次に、11〜20人(4自治体)が15.8%、21〜30人と31〜40人がそれぞれ10.5%(2自治体)だった。40人以下を合計すると89.4%(28自治体)であり、多くの団体が少数の支援員で活動していることがわかる。
また、所属する意見表明等支援員の性別では、女性が80.5%(541人)と最も多い。年代別に見ると、50代以上が48.8%(282人)と最も多い年齢層だった。
3. 支援員の活動状況
意見表明等支援員の活動場所は、一時保護所が91.3%(42カ所)と最も多く、児童養護施設71.7%(33カ所)と合わせて実施団体の主な活動場所となっている。
意見表明等支援員の活動頻度は団体によってまちまちであり、「一時保護所:1〜6カ所(毎週、隔週、月1〜11回、年1回、随時)」「児童養護施設:1〜11カ所(毎週、月1〜3回、各月、年2回、随時)」と、毎週から年1回までかなり幅があることがわかった。
4. 事業の課題
活動の課題については、意見表明等支援員の確保が最も高く51.0%(25)だった。次いで予算関連が46.9%(23)、続いて児童相談所、児童養護施設、里親などとの協力促進·関係調整が44.9%(22)だった。
個別の課題では、「離島派遣時の航空機・宿泊手配による予算への影響」「施設や意見表明等支援員等での事業に対する温度差」などの課題が寄せられている。
5. 育成・報酬
事前研修(養成研修:基礎講座、養成講座など)と活動後研修(講義、定例会、SV会議など)の実施状況を確認した結果、「事前研修と活動後研修を団体で実施している」が50.0%(26)で最も多かった。一方、「研修実施の目途が立っていない」が19.2%(10)であり、研修体制の確立が課題であることがわかる。
意見表明等支援員の報酬については、「支給している」が95.2%(40)で、「支給していない」のはわずか2.3%(1)であった。報酬額は、団体ごとにまちまちであったが、弁護士への報酬額はそれ以外の者に比して高かった。
6. 運営体制と連携
事業実施・準備中の自治体において、こどもの意見表明を審議する権利擁護部会等が「設置されている」のは82.5%(33自治体)だった。
一方、意見表明等支援活動の運営体制として、SV(スーパーバイザー)、トレーナー(養成プログラムの企画・提案などを行う人)、コーディネーター(アドボケイト派遣や、意見表明に関して、子供・関係機関・アドボケイトの調整を行う人)の配置について確認した結果、「コーディネーターを配置している」44.7%(21自治体)が最も多く、次に「SVを配置している」40.4%(19自治体)、少数であるが「トレーナーを配置している」ケースも12.8%(6自治体)あった。SV、トレーナー、コーディネーターを設置している場合、担当者への研修の有無は、「研修を実施していない」39.0%(16自治体)が最も多かった。