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みんなのコード、宮城教育大附属小と共同で「コンピュータサイエンス教育」の実践報告書を公開

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特定非営利活動法人みんなのコードは、国立大学法人宮城教育大学附属小学校と共同で実施している「コンピュータサイエンス(CS)教育」の授業の実践・研究・カリキュラム開発を行なう実証研究プロジェクトについて、2021年度の報告書を発表した。

取り組み内容

この実証研究は、日本の公教育におけるコンピュータサイエンス教育のモデルケースとなるべく、カリキュラム開発及び授業研究を進めているという。小中学校を併設する宮城教育大学の特質を生かし、9年間の義務教育期間を通じた指導計画の作成及びコンピュータサイエンス教育の重要性について実証研究を行なっている。

2年目となる2021年度は、宮城教育大附属小の先生方に、プロジェクトにさらに関わってもらえような取り組みを心がけたという。具体的には、学校内の組織体制の充実を図り、年3回の全体会とコンピュータサイエンス研究全体会を開催した。

また、各学年とも年間10時間のコンピュータサイエンスの授業を実施し、2020年度実施した授業のアップデートに加えて、2021年度は新たな実践内容を追加した。

2021年度版系統表

2021年度の成果

・コンピュータサイエンス科ならではの学びの内容が充実

2年生「つながるコンピュータ」の中で、2021年度の実践では、新たに校内のWi-Fiのつながりやすさを調査する活動を設定。その後で、子どもがアクセスポイントの存在に自然に目を向ける姿が見られたと報告されている。

・オリジナル教材を使用した授業実践
4年生「入力した情報のゆくえ」の中では、インターネット上で入力した情報がその後どのように扱われるのかの授業を行なった。生徒たちは「言われたとおりに入力する」という行動から、何が個人情報に当たるのかを考え、本当に入力してよいのか立ち止まって考えたりすることを学んだと報告されている。

・コンピュータサイエンス科で学んだことを、学校内の課題に生かした児童の活動
6年生「AIってなんだろう」の中で、身近にあるテクノロジーの仕組みを学んだ。授業の後には、学校内でどんな問題があるか自ら児童たちが考え、AIを使ったプログラミングを図書室の整理で生かせないか、学んだことを主体的に試そうとする児童たちの姿を見ることができたと報告されている。

アンケート結果から

授業終了後に、同校の児童・教員に対してアンケートを実施した結果も報告されている。

・8割以上の児童が「大人になった時に役立つ」と回答
8割以上の児童が「コンピュータの学習は大人になった時に役立つ」と回答。とりわけ5年生は、97パーセントの児童が「コンピュータがこれからの人生を手助けをしてくれていると考えている」と回答した。

2021年度終わり

・「楽しい」という回答が6割から8割に上昇
2020年度の実践前には、6割の児童がパソコンやタブレットを使うことを「楽しい」と答え、2021年度終わりには8割以上が「楽しい」と答えたことがわかった

2020年度実践前
2021年度終わり

・教員のスキル格差が縮まる
教員向けアンケートでは、2020年度の実証研究前には、ICT活用スキルが教員間で格差が生じていると回答をした教員が54パーセントだった。2021年度終わりに再度同じアンケートを実施した際には26パーセントに減少した。

2020年度実践前
2021年度終わり

2022年度に向けて

2022年度に向けての計画としては、実証研究の外部公開、コンピュータサイエンス教材の研究開発、授業時間数の増加、小中の連携が報告で挙げられている。