トピック
子供の「なぜ」が未来につながる、同志社ジュニア・クリエイティブ科学アカデミー
- 提供:
- 同志社一貫教育探求センター
2026年3月31日 06:30
子供の「なぜ?」という疑問は、未来の科学者や研究者への第一歩になるかもしれない。そんな子供の可能性を広げる学びが、京都で始まっている。「 同志社ジュニア・クリエイティブ科学アカデミー 」だ。
本プログラムは、同志社と地元の伝統産業や最先端技術に関係する企業が連携し、小中学生に本格的な探究の場を提供するもの。企業が持つ先端科学や伝統技術の現場に触れ、実験・実習体験を通じて「答えのない問い」に向き合う。
2026年3月には、半年間の活動の締めくくりとなる成果発表会が開催された。自分の興味や身近な疑問を深めていく、子供たちの姿をレポートする。
研究者のタマゴを育てる、同志社×企業の探究プログラム
同志社ジュニア・クリエイティブ科学アカデミーは、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)が実施する「2025年度 次世代科学技術チャレンジプログラム」に採択された事業である。
地域の子供たちに社会や地元企業とつながる学びの場を提供し、未来の研究者のタマゴを育てることが目的で、運営は学校法人同志社 同志社一貫教育探求センターが担う。初年度となる今回は、小学5年生から中学3年生まで44名が参加し、京都・けいはんな地域の特性を生かした探究活動に取り組んだ。
このプログラムの一番の魅力は、島津製作所、堀場製作所、村田製作所、岡文織物、呉竹、塩見団扇など 地元を代表する企業を訪問し、現場の専門家やプロと直接会話をしながら先端科学や伝統技術に触れられること だ。「ささえる」「彩る」「動かす」「伝える」「測る」の5つのテーマを軸に、それぞれの企業が持つ強みに触れながら、自分の興味・関心を広げていく。単なる社会科見学にとどまらず、実験や対話を通して多様な視点で考える力を育むのが特徴である。
プログラムは、開校式から成果発表会まで約半年にわたり進められた。活動は異年齢のグループごとに行われ、大学生や大学院生がメンターとして伴走する。基礎講座やワークショップを通じて関係を築きながら、企業訪問に向けての情報リテラシー講座では、情報収集、取捨選択、情報整理や比較など、学びを深めるスキルも身に付けていく。最終的には成果発表会で、自分の言葉で研究成果を発表するのがゴールだ。
西陣織から分析計測まで、ものづくりの現場で興味・関心を広げる
同プログラムの核となる企業訪問は、普段はなかなか体験できない貴重な学びである。子供たちは興味のある企業2社を選び、様々な機器や装置に触れながら実験やものづくりに取り組んだ。
企業訪問を経て、子供たちはレポート作成に取り組む。新たな気づきや疑問を整理し、「なぜ?」「もっと知りたい」と自分の問いを掘り下げていく。レポート作成では、情報やデータをどう読み解き、どう伝えるかも重視されている。そのために、データサイエンスワークショップが開催されたり、サイエンスコミュニケーション講座で科学をわかりやすく伝えるためのテクニック「おくすりシチュウ(おどろき、クイズ、数字、ストーリー、視覚などにうったえる)」という伝え方を学んだ。
さらに、プレゼンテーションのスライド作成指導日も設けられ、子供たちはメンターから「結論を先に示すと伝わりやすい」「データはグラフにすると見やすくなる」といったアドバイスを受けながら、伝える工夫を学んだ。こうして研究成果が最終的にスライドにまとめられ、発表会を迎えたのだ。
科学の視点で伝統技術にアプローチ、「伝える」表現の豊かさを学ぶ
成果発表会は同志社大学 京田辺キャンパスで開催された。子供たちは緊張をにじませながらも、堂々と1人5分のプレゼンテーションに臨んだ。
松本璃玖さん(小5)は、「伝える」分野の企業に属していた呉竹を訪問した。インクや墨が「伝える」とどのように関係するのか興味を持ったというのだ。
企業での実験では、粒子の大きさが異なる顔料インクを用いて、紙の繊維の違いによって生まれる滲みや色の分離を観察した。その結果、大きな粒子はとどまり、小さな粒子が広がる、それが色の分離として現れることを確かめた。さらに、にじみやすい紙では色が分かれ、にじみにくい紙では分かれにくいことから「 小さな粒子だけが遠くまで運ばれるのではないか 」と考察した。
この気づきをもとに、松本さんは自宅で「墨流し」という、水の上に墨汁と油を浮かべて模様を描き、書道半紙に写し取る伝統技法に挑戦した。最初は思うように模様を作れなかったが、試行錯誤を繰り返し、最終的にはきれいな模様を写し取ることに成功。「紙と顔料の相性を知ることで、いろんな表現で想いを『伝える』ことができる」と語った。
発表後に松本さんに話を聞くと、自身の伝え方にもこだわりを持って取り組んでいた。「 情報を盛りすぎてもダメ。逆にシンプルすぎてもダメ。その加減や伝え方が身についた と思います。大人になったらプレゼンテーションをすることも多いので、その練習になりました」と語ってくれた。
呉竹への企業訪問で奈良市南京終町を訪れた松本さんは、普段乗らない電車の風景や街の特色も印象に残ったと話す。見慣れない街並みの中に呉竹の会社があり、そこで多様な技術に触れられたことが発見と楽しさにつながった。
「難しいから面白い」、試行錯誤は、研究者への第一歩
和田萌花さん(中1)は、村田製作所を訪問した。そこではミニチュア自転車のタイヤの大きさや位置を変えながら、安定して走る条件を探る実験に取り組んだ。
その結果、タイヤは大きい方がよく走り、取り付け位置や向きによっても走行距離に差が出ることがわかった。しかし、実験後に「ものを作るときは、実際に使うときのことを考えることが大切」というアドバイスを受けて、「人が乗る位置に重りをつけて実験をする方が良いのではないか」と新たな気づきを持った。
そこで、自宅でも再度、実験に挑戦。机の角度を変えたり、重りの代わりに人形を乗せたりしながら試行錯誤を重ねたが、最初はなかなかうまくいかなかった。それでも、滑りすぎが倒れる原因ではないかと考え、タオルを敷いて摩擦を加えたところ、ようやく成功した。
和田さんは、関西万博でiPS細胞を見たことをきっかけに科学者に憧れを持ち、本プログラムへの参加を決めたという。それまで エンジニアは専門的な知識が必要な難しい仕事だと思っていたが、条件を少しずつ変えながらよりよい形を探る面白さに触れ、その印象は大きく変わった と語る。
また同志社ジュニア・アカデミーについて、「学校の勉強には答えがあるけれど、このプログラムには答えがない。だからこそ、ずっと突き詰めて考える必要があると思います」と振り返る。自宅での実験や試行錯誤を重ねた経験から、「 諦めずに続ければ成功することもある。諦めない力が身についたと感じています 」と話してくれた。
最新分析装置やデータから、日常の「なぜ?」を解き明かす
成果発表会では、ほかの子供たちもそれぞれの興味・関心から生まれた疑問を深掘りする発表を見せてくれた。
島津製作所を訪問した三島惟愛さん(中2)は、交通系ICカード「PiTaPa」の仕組みに着目。「 分析計測機器(PCEDX) 」や「 フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR) 」を用いてカードに使われる素材を分析し、「なぜその素材が選ばれているか」を探った。
同じく島津製作所を訪問した藤井榮人(中2)さんは、1万円札と1ドル札の違いを分析した。手触りや見た目の差を、 エネルギー分散型蛍光X線分析装置 を用いて成分を比較。色や手触りの違いを、使われている顔料や粘土鉱物成分から考察した。
椿本チエインを訪問した野間心生輪さん(中1)は「物体の摩擦」をテーマに実験。材料の組み合わせや表面の状態が滑りやすさを左右する一方、重さや接触面積は大きな要因ではないことを、物理学の「 アモントン・クーロンの法則 」をもとに丁寧に考察し、データを整理した。また、結果が理論通りにならなかった点についても、測定器の衝撃や台の変形、転倒の影響などを挙げて原因を考察した。
いずれの発表も、身近な疑問が企業での体験を通して、より深い探究へとつながっていた。普段は触れることのない設備や技術に出会い、子供たちの視点が一段階広がっていく様子が印象的だった。
発表の先に広がる、科学とものづくりの未来
成果発表会の最後に、同志社一貫教育探求センター 所長の大久保雅史氏は、「 楽しむことが何より大切。自分が感じたことを自ら調べていく、その過程が楽しい 」と語った。さらに、「人それぞれ異なる視点で物事を捉え、それを発表してくれたことが嬉しい」と、子供たちの多様な探究を称えた。最後に、来年度以降も多くの子供たちが新たな挑戦に踏み出すことへの期待を込め、エールを送った。
同志社大学 理工学部機械理工学科 教授の湯浅元仁氏は、「私自身も知らなかった新たな気づきがあり、とても面白かった」と語り、さらに「 世の中には分からないことがたくさんある。皆さんの発表には『次はこれを調べてみたい』という問いの種が芽生えていて、それがとても嬉しい 」と語った。
また、企業側からは、塩見団扇の秋田美紀氏が、自身も理系出身であることに触れ、「 理系で培う『考える力』は、伝統工芸のような一見関係のない分野でも大きく役立っている 。考えることを楽しみながら突き進んでほしい」と語った。
さらに、岡文織物 代表取締役会長の岡本就介氏は、ものづくりの醍醐味について、「 自分が存在しなかったらこの世に生まれなかったものを、ゼロから生み出すこと 」だと表現。自分の頭の中に浮かんだものを形にする仕事の楽しさを語り、「世の中にはさまざまな仕事があるが、ものづくりの道にも進んでくれたら嬉しい」と呼びかけた。
半年間の活動を終えた子供たちの姿から見えてきたのは、単なる知識や発表のテクニックではない。身近な疑問を出発点に、自分なりの視点で「なぜ」を突き詰め、考える姿勢が研究者の素質を育んだ。好奇心という小さな種から芽吹いた力強い芽が、これからどんな未来を形作っていくのか。子供たちの可能性が、会場全体に大きな希望を感じさせてくれた。
なお、同志社ジュニア・クリエイティブ科学アカデミーでは、新たに科学の扉を叩く「2026年度スタンダードレベル受講生」の募集を2026年4月1日(水)より開始する。本物の技術に触れ、仲間やメンターと共に「なぜ?」を深める1年間 。子供の可能性を広げるプログラムで、新たな世界を体験してみてはいかがだろうか。
- 募集対象:小学校5年生〜中学校2年生
※中学校3年生で応募を希望する場合は応募前に要問合せ
※JSTの他の機関のプログラムに参加している人は参加不可
※2025年度スタンダードレベル受講生の再受講は不可 - 活動期間:2026年6月から2027年3月
- 募集人数:40名(応募者多数の場合は選考あり)
- 募集対象地域:同志社大学京田辺キャンパスや連携企業に来訪可能な地域に居住または対象地域内小中学校に通学する児童生徒
- 応募期間:2026年4月1日(水)から4月20日(月)
- 応募:公式サイト記載の申込フォームより
- 受講者認定:5月13日(水)に登録されたメールアドレスあてに通知
- 開校式:2026年6月6日(土)予定
■募集要項
発表会当日撮影:近藤泰岳
発表スライド撮影:編集部
その他写真提供:同志社一貫教育探求センター
※記事内の子供の学年は、2026年3月、成果発表会時点のものとなる。

























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