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筆記試験で測れない⼒を評価したい、中学⼊試の変革に挑むApple認定校

――東京成徳大学中学・高等学校における新入試の取り組み

首都圏、特に東京都の中学入試は多様化してきている。学力を測る従来型の筆記試験が主流ではあるものの、その一方で、プレゼンテーションや記述式、プログラミングや実技など、適性検査型、思考力型といわれる特色入試を実施する学校が増えている。

Apple認定校である東京成徳大学中学・高等学校(以下、東京成徳中高)もそうした学校ひとつだ。2023年2月から、自ら学び・創る力を評価する新入試「Distinguished Learner選抜入試」を導入する。試験には筆記用具はもちろん、さまざまな事象を調べ、アウトプットするためにiPadも利用可能で、しかも学校が貸し出すという。なぜ、このような入試を始めたのか。同校の取り組みを紹介する。


Distinguished Learner選抜入試などの学校説明会はこちら

ペーパーテストでは測れない入試で、新しい資質を評価したい

東京成徳中高 入試広報部・ICT活用推進部の木内雄太教諭

「これからの社会に必要なスキルだからと、子どもたちには主体性や創造性、多様性など、さまざまな能⼒を求めるようになっています。ならば、学校や教師も時代や社会に合わせてアップデートすることが求められると考えています」

そう話すのは、東京成徳中高 入試広報部・ICT活用推進部の木内雄太教諭だ。主体性や多様性、コミュニケーション能力やコラボレーション能力、ITリテラシーや批判的思考など、生徒たちは将来、正解がひとつとは限らない課題に向き合い、乗り越えていくために、さまざまな能力を身につけておくことが重要だと言われている。

そのため、東京成徳中高では、同校の建学の精神「徳を成す(成徳)人間の育成」を根底にグローバル人材の育成をビジョンに掲げ、時代の変化に強い学校づくりにチャレンジしてきた。そんな東京成徳中高が今回新たに着手したのが、“学校の入り口”を変える入試の改革だ。

「東京成徳中高がめざす生徒像は、“自律した学習者(Distinguished Learner)”です。こうした人材をもっと育てたいと考えており、新入試ではその資質を持つ生徒を選抜できるよう、筆記試験の点数では測れない非認知能力を評価するテストを実施することにしました」と木内教諭。

実際、中高の6年間で伸びる生徒は、入試で点数が高かった生徒だけに限らない。点数に関係なく、中高での学びを通じて、主体性や創造性を開花させ自ら成長していく生徒はいる。学力という入試時点の力だけで生徒を判断するのではなく、生徒たちのこれからの成長に期待する新入試、好感を持つ保護者も多いのではないだろうか。

東京成徳中高はICT教育が評価され、ADS(Apple Distinguished School)に選ばれている

独自ルーブリックで「主体性・創造性・チャレンジ精神」を評価

東京成徳中高が実施する新入試「Distinguished Learner選抜入試」は、同校がめざす“自律した学習者(Distinguished Learner)”に適した資質をもつ生徒を選抜する試験。そのため、同試験では独自のルーブリック(評価基準)に基づいて評価されるのが特徴だ。

重視しているのは、自律した学習者の資質に必要な「主体性・創造性・チャレンジ精神」という3つの観点。それぞれに項目を設け、5段階で採点を行ない、各項目で3以上が合格の目安になるという。

「Distinguished Learner選抜入試」におけるルーブリック

試験は、個別パートとグループパートで構成されており、今回のテーマはSDGs。公開されている模擬問題は、「テクノロジーの活用により、妊婦・子ども・お年寄り・障害のある人などが安全に暮らせるようになる製品のアイデアを考え、それを説明する発表をしてください」といった内容で、受験生は課題解決につながるアイデアを自分で考え企画書にまとめる。その方法は用紙に書いても、学校が用意したiPadを使っても良い。表現しやすい方を選び、伝えるのがむずかしい場合を考慮し、論述で文章として表現することも認められている。

企画書が出来たら採点者に提出し、アドバイスをもらう。それを受けて再考し、自分のアイデアを改善していく。その後、各自のアイデアを持ち寄ってグループ討論が実施され、さらに最良のアイデアを話し合い、最終的にひとつの案にまとめて発表する、というのが一連の試験の流れだ。

Distinguished Learner入試の流れ
東京成徳中高のホームページで公開されている模擬問題

木内教諭は「この試験では企画書や論述がよく書けているか、iPadの操作ができるかを見たいわけではありません。またグループ討論では、場を仕切れるようなリーダー的な存在ばかりを選びたいわけではありません。この試験では、生徒一人ひとりの良い面に着目し、さまざまな役割を担える、自律した学習者になれる生徒たちを見つけたいと考えています」と語る。

ちなみに、すでに今年度の学校説明会では保護者や受験生に対して新入試の説明を実施している。木内教諭によると、保護者の反応はとても良く、なかでも共働き世帯の家庭は理解を示しているようだ。また受験料については一律25,000円となっており、第1回一般選抜からDistinguished Learner選抜入試まで、同校が実施する計7回の入試が受けられる。

生徒の学びをさらに充実させる、最新のICT環境も整備

さらに、東京成徳中高は今年9月にコンピューター教室を刷新。まさに「STEAM lab」とも呼べる最新のICT環境を整えた。広さは教室2つ分。

もともとあったデスクトップパソコンをやめて、新たにMacBook Proを40台導入したほか、壁面一面をホワイトボードにして大画面を映せるプロジェクターを設置。教室のまわりは、木のベンチを置き、生徒たちがくつろいで学習できるようにした。eスポーツ部には高スペックなゲーミングPCも揃えている。

プログラミングやデジタルものづくり、探究学習やグループワークなど、生徒たちの学びをさらに高められるような充実した環境だ。

コンピューター教室を刷新
生徒用のMacBook Pro。40台を整備。MacBook Proには、iWorks、Xcode、Office365、Adobe Creative Cloudなどのツールが揃っている
教室の後ろには木のベンチ。MacBook Proも使いやすよう、トレイが付いたビーズクッション「Yogibo Traybo 2.0」も。生徒と一緒にショールームに行って決めたという
eスポーツ部が使用するゲーミングPCも整備

ICT活用推進部長 和田一将教諭は、「東京成徳中高では、普段の学習からグループで活動したり、動画やスライドで発表したりする機会が多いので、生徒たちがのびのび活動できるようなスペースが欲しいと思っていました」と語る。

ICT活用推進部長 和田一将教諭

「また探究ゼミのプログラミングコースではアプリを作る学習も取り組んでいますし、生徒によってはAdobe Premiere ProやBlenderを使って本格的な編集作業をすることもあります。生徒たちはiPadを使っていますが、表現したいもの、創作したいものは、年々高度になってきており、MacBook Pro導入は自然な流れでした。生徒たちが主体的にもっと学習を高めていけるよう、昼休みや放課後も開放して、自由に使えるようにしていくつもりです」と語る。

広い教室の中で、机も椅子も自由に動かして学習できる

この教室は今年9月から稼働しており、すでに授業での利用が始まっている。数学の授業では生徒たちがiPad片手に教室の中でリラックスしながら、ディスカッションしたり、問題を解いたりと活発な学びが行なわれているようだ。また10月から始まる探究ゼミでは、プログラミングコースがこの教室で実施される予定で、前年同様、東京工科大のサポートを受けてカリキュラムや指導を進めていく。

ほかにも東京成徳では、中学校でiPadを活用したウェブプログラミングや「Swift Playgrouds」によるプログラミング学習にも取り組んでいる。中学生の場合は、数学や英語など教科の学習と組み合わせて行なっているのが特徴で、プログラミングを通して数学の概念や英単語を学べるような面白い授業が実施されている。オープンスクールでも、同校のこうした授業が体験できる場が設けられた。

数学の授業の様子

社会が変わり、生徒に求められる資質が変われば、それに合わせて学校も変わっていく。こうした理念を大事にする東京成徳中高が、生徒の可能性をさらに伸ばそうと、入試の選択肢を広げ、コンピューター教室も刷新したことは自然な流れなのであろう。一足早くiPadを導入し、1人1台端末の活用が当たり前になった学校は、より多様で高度な学習環境を見据えている。

※東京成徳中高では、10/8(土)にオープンスクールの開催を予定しています。同校の学びを詳しく知る絶好の機会でもありますので、ご興味をもたれた保護者の方は是非ご参加ください。詳しくはこちらから。