【連載】EducAItion Times
同じ指示を試してわかった。GPTsとGem、カスタムAIの強み
2025年12月19日 07:00
AIサービスが毎月のように進化していく中、「 カスタムAIアシスタント 」を作成できる機能が、AI利用の重要なポイントになりつつあります。こうしたカスタムAIは、目的や使い手に応じた専用の相棒として役立つ一方で、同じプロンプトを与えた場合でも、AIごとの設計思想や特性によってアウトプットに違いが生まれます。具体的に、どのような違いが見られるのでしょうか。
本記事では、ChatGPT Plusを利用中の筆者が、Googleの「Gemini Advanced」のカスタム機能「 Gem 」を体験。OpenAIの「 GPTs 」と比較し、それぞれの強みと弱み、そして子育て世代にとっての利便性を分析します。
GPTsとGem、カスタムAIの基本的な違い
カスタムAIアシスタントと一口に言っても、その設計や得意分野はサービスごとに異なります。そこで、まずは、ChatGPT PlusとGemini Adavecedが提供するカスタムAI機能について、基本的な考え方や特徴を整理していきます。
ChatGPT Plus:GPTs
・特定のタスクや目的のためにカスタマイズされたGPTモデル
・独自の知識や振る舞いを設定可能
Gemini Advanced:Gem
・GoogleのAI「Gemini」を特定のタスクや目的に特化してカスタマイズ
有料プランでは、月額料金や提供モデルの種類も異なり、それぞれ得意とする部分を比較してみました。
| 比較ポイント | ChatGPT Plus | Gemini Advanced |
| 価格(月額) | 20ドル(約3,000円〜) | 2,900円(Google One AI Premiumとして) |
| 提供モデル | GPT-5.1 Auto(自動で思考時間を調整) Instant(高速・即応) ■レガシーモデル GPT-5 Instant GPT-5 Thinking GPT-4o | 思考モード(3Pro搭載)、高速モード |
| 統合性・連携 | 独自の強力な機能と連携(Image Generation、GPTs、Soraなど) | Googleエコシステムと深く連携(Gmail、ドキュメントなど) |
| 付属特典 | 特典なし(AI機能のみ) | Google Oneの2TBストレージなどが付帯) |
| 得意とする傾向 | クリエイティブな生成、高度な推論、カスタマイズ性 | 大規模データの処理、Googleサービス連携、情報検索の精度 |
| 独自機能 | Image Generation、Soraなど | Google Deep Research(※)は現状Gemでは利用不可 |
※Google Deep Research:ユーザーの代わりに数百のWebサイト、Gmail、ドライブ、Chatを参照・分析し、複数のページで構成される分析レポートを数分で作成する機能。
表を見ると、両サービスは価格帯こそ近いものの、重視している価値は異なります。ChatGPT Plusは、生成そのものの自由度や表現力を強みとし、発想を広げたり、 創造的な用途 に向いています。一方のGemini Advancedは、Googleの各種サービスと連携することで、 情報収集や整理といった実務的な作業 に向いているのが特徴だといえます。
ゲーム『原神』のキャラクター「パイモン」になりきるプロンプトで比較
我が家ではこれまで、日常的に子供と一緒にGPTsを作り、遊びや学びの中で活用してきました。過去記事でも、ペットになりきって会話するものから、物語世界を舞台にしたロールプレイ、ゲーム攻略を教えてくれるキャラクターまで、さまざまな使い方を紹介しています。
こうした「なりきりAI」は、設定の再現度や対話の楽しさなど、カスタムAI機能の特性がよく表れる活用例です。そこで今回は、ゲーム『原神』のキャラクター「パイモン」になりきるプロンプトを、GPTsとGemの両方に設定し、その挙動を比較してみることにしました。 未発表のコスプレ衣装の発売日を尋ねるという、Web検索が必要な質問を投げかけ、両者の応答の違いを検証します。
今回使用したプロンプトでは、ゲーム『原神』のキャラクター「パイモン」の性格や立ち位置をあらかじめ細かく設定しています。単に口調をまねるだけでなく、物語上の役割や得意・不得意、よく使う言い回しまで明示することで、「原神について手助けする案内役」として一貫した振る舞いをするよう工夫しています。
また、戦闘や元素反応といったゲーム内知識についても、初心者に分かりやすく説明することを前提に設計しており、完全な正確性よりも「パイモンらしい言い回しで楽しく伝える」ことを重視しています。
このように、 キャラクターの人格・役割・話し方をあらかじめ定義したプロンプト を用いることで、カスタムAIがどこまで設定を守り、対話を維持できるのかを比較しやすくなります。
(以下、一部プロンプトを掲載)
原神について手助けするGPT!
パイモンになりきって優しく教えてあげてね!
パーティ編成や、ボスの倒し方、立ち回り方など様々……。完全おふざけな内容でもノってあげて!
【パイモンについて】
パイモン
・溺れかけているところを旅人に助けられて、それ以降旅人に着いて行っている。
・食べ物には目がない。小さく、マスコットのよう。
・旅人の最高の相棒(非常食?)で、いつも手助けをしているが、逆に助けられることもしばしば。旅人との連携が上手い。
・「〜だな。」「〜じゃないか。」「〜だろ?」「おう!オイラ〜だぞ。」「うーん、〜だからな…。」という口調で、一人称は「オイラ」。
【パーティ編成について】
・「知識」の資料にも書いてある通り、様々な元素反応がある。中でも蒸発、溶解、超開花、拡散(感電拡散がおすすめ)は強力。超開花と拡散は初心者でも組みやすく、溶解と蒸発は倍率がトップレベルに高い。
・蒸発は炎→水で2倍のダメージ、水→炎で1.5倍。溶解も同様(炎を氷、水を炎に置き換えた時)。
・超開花は「草原核+雷」で発動でき、敵を追尾する草弾を放つ。倍率は「烈開花」と同じく開花の1.5倍。
・氷砕き、超伝導のパーティはほぼネタ。
【キャラについて】
キャラは主に、探索人権・サポーター・アタッカー・サブアタッカー・ヒーラー・シールダーに分かれる。
下は2025年7月27日(ver.5.8)時点のものである。
GPTsは、キャラクターの世界観を維持したまま情報を提示
さっそく質問開始を開始して、GPTsとGemの回答を見ていきましょう。
結論として、GPTsの場合は、 キャラクターの世界観を維持しながら、情報整理をしている ことが分かります。プロンプトに明示していない地名(ドラゴンスパイン等)を自然に織り込み、キャラクターの口調も一貫しています。これは GPTs が「文脈と設定を深く読み取り、創造的に補完する」ことを得意としているためです。
途中で製作会社名の情報を与えると、AIは検索を行い、その時点で分かっている状況を整理してくれました。回答では、発売日が未確定であることを明確にしたうえで、商品名やメーカー名、公式に確認できる範囲の情報を示し、情報源もあわせて提示しています。
さらに、「これから販売開始情報が出たら教える」といった提案もくれて、 GPTsは、キャラクターになりきった対話を維持しながら、情報整理や検索結果の要約といった実用的な役割をしてくれる ことが分かります。
Gemは、キャラのなりきりは控えめ、実務はさすがのGoogle!
続いて、同じプロンプトで作成したGemは、どのような回答をするでしょうか?
Gemの場合は、最初に与えたキャラクター設定を参照にしていますが、ふるまいは、もう一歩というところです。
また「衣装がいつ販売されるのか」の問いに対しては、アリスが実装された場合のコスチューム(ゲーム内)と勘違いしている様子。そこで製作会社名などのヒントを追加すると、文脈を修正し、コスプレ衣装についての情報をあらためて検索・整理してくれました。
さらに新情報のスケジュール機能について、「スケジュールされたアクションはいつでも編集や削除ができ、必要に応じてリクエストできる」と案内されました。準備が完了すると、「最近」のチャット一覧の横にドット(点)が表示される仕組みです。さすがはGoogleサービスと連携を誇るだけのことはあります。
GPTsとGem、比較して分かったこと
このように、同じプロンプトを使って作成したGPTsとGemですが、それぞれの違いを整理していきましょう。
まずは、キャラクター設定がどこまで反映されているか、「なりきりAI」としての振る舞いです。キャラクターになりきった対話の楽しさ、すなわち 「カスタマイズ性」と「対話の楽しさ」という点では、GPTsに軍配が上がりました。
比較ポイントA:キャラクターの振る舞い(没入感)
| 比較ポイント | GPTs | Gem |
| キャラクターとしての応答 | 非常に秀逸。プロンプトにないゲーム内の地名や世界観を盛り込んだ回答を生成し、没入感が高い。 | 最初に与えた情報を参照するが、キャラとしての振る舞い・口調はややぎこちない。当初、現実世界のコスプレ衣装ではなくゲーム内のコスチュームと誤認 |
| 検索後の情報提供 | 正しい情報をWebから検索し、情報源(URL)も明記して報告。 | 正しい情報に辿り着くも、キャラクターの振る舞いより実用的な情報提供が優先される傾向 |
続いて、新情報に対するアクションを比較してみました。情報をフォローするうえでAIがどのようなサポートをしてくれるか、日常的な使い勝手に影響する部分です。 「実用性」と「Googleエコシステムとの利便性・連携力」という点では、Gemが優位性を見せました。 新しい情報を自動で追跡・通知してくれる機能は、日常のタスク管理において非常に強力です。
比較ポイントB:新情報に対するアクション
| 比較ポイント | GPTs | Gem |
| 情報追跡・通知機能 | 質問に対し「毎日教えてくれる?」と尋ねると、「毎朝教えてくれる」と冗談めいた応答。自動通知機能はなし。 | 「新しい情報が出たら教えてくれる?」と尋ねたところ、自動的にスケジュールアクション(通知)を作成。Googleサービスとの連携力を発揮 |
| スケジュールアクション機能 | なし | あり。設定後、Geminiの画面から一時停止や削除(モバイルアプリのみ)が可能 |
「楽しさ」か「便利さ」か。子育て世代のAI選び
ここまで見てきたように、GPTsとGemは同じカスタムAI機能を持ちながら、得意とする部分は大きく異なります。
GPTsは、キャラクターになりきった対話の楽しさや、発想を広げるクリエイティブな使い方に強みがあります。子供と一緒に遊びながら学んだり、「なりきり対話」を通じて AIそのものを楽しみたい家庭に向いた選択肢 といえるでしょう。
一方のGemは、Googleサービスとの連携を生かし、情報検索やスケジュール管理といった実用面で力を発揮します。 日常や仕事のタスクをAIに任せたい人にとって頼れる存在 です。
中学生以下の子供と一緒に遊ぶという視点で見れば、GPTsが持つ「生成AIだけで完結するサービス設計」は大きな安心材料になります。Gemは、Googleの各種サービスと連携しやすい点がメリットですが、使い方によっては、うっかりメールやスケジュールまで影響が及ぶ可能性もあります。
最終的には、「純粋にAIとの対話や楽しさを追求する」か「Googleサービスとの連携による利便性を追求する」かで選択が分かれる結果となりました。今後どちらを使っていくのかは、話し合いを重ねたいと思います。
みなさんはどちらのAIが、日々の暮らしにしっくりきますか?
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