【連載】EducAItion Times

Googleの画像生成AI「Nano Banana」で、探究学習の表現が広がる!今こそ先生に体験してほしいAI

EducAItion Timesは、「大人のきぼう こどもの未来」をテーマに、生成AIの活用情報をお届けします。本連載は、生成AIコミュニティ「IKIGAI lab.」のメンバー8名が運営するもので、子供たちの好奇心を刺激する、新たな学びの提供をめざしています。

探究学習では、調べたことや考察した内容を効果的に表現することが重要ですよね。しかし、抽象的な概念や仮想的なシナリオを視覚的に伝えるのは簡単ではありません。特に子供たちが自分なりの理解を形にする際、適切な画像があれば、更に深い学びを十二分に伝えることができます。

そこで今回紹介するのが、Google が開発した最新の画像生成AI「 Nano Banana(正式名称:Gemini 2.5 Flash Image) 」です。このAIツールを使えば、想像力豊かな探究学習の成果を、一貫性のある美しい画像として表現できるようになります。

Geminiで画像生成。プロンプトは以下の通り
バナナねこのかわいいキャラデザ。守りたくなるような愛らしさがある日本のゆるキャラを想起させる小学校5年生の女の子がかわいいと言ってくれるようなデザイン。デフォルメされたミニマリズムでファンシーとゆめかわ。キャラの表情はどや顔。背景は絵文字が溢れていたりしてかわいい世界観であふれている。上にはNano Bananaとかわいく書かれたポップでファンシーなフォント。横長で生成して。

「Nano Banana」とは何か?

Nano Banana(ナノ バナナ) 」は、Googleが2025年8月26日にリリースした画像生成・編集AIモデルです。正式名称は「Gemini 2.5 Flash Image」ですが、開発チームによって愛称として「Nano Banana」と名付けられました。

このAIの 最大の特徴は、同一のキャラクターや物体を高い一貫性を保ちながら、様々な場面や設定で描けること です。例えば、同じキャラクターの服装を変えたり、髪型を変えたり、写真からイラスト風に変換したりといった編集を、簡単な指示だけで行うことができます。

Geminiで画像生成。1枚目の画像を生成後、追加したプロンプト「キャラの顔をにこにこにして

Nano Bananaの主な特徴

  • 1. 一貫性の高いキャラクター表現
    従来の画像生成AIでは、同じキャラクターを異なるシーンで描こうとすると顔や体型が変わってしまう問題がありました。Nano Bananaは、元の画像の特徴を保持しながら、設定やポーズを自由に変更できます。
  • 2. 自然言語による精密な編集
    「背景をぼかして」「この部分だけ色を変えて」といった具体的な指示を日本語で出すだけで、ピンポイントでの画像編集が可能です。
  • 3. Geminiの知識を活用した理解力
    Google の大規模言語モデル「Gemini」の知識を背景に持つため、科学的な事象や歴史的な出来事についても正確な理解に基づいた画像生成が可能です。
  • 4. 複数画像の自然な合成
    異なる画像の要素を組み合わせて、自然な一枚の画像を作成することができます。
Geminiで画像生成。2枚目の画像を生成後、以下のプロンプトを追加
表情を😊にして。かわいい吹き出しつけて、吹き出しの中にLet’s play Nano Bananaって言って。」(1枚目の画像生成後に同じプロンプトでも可)

Geminiで始めよう

Nano Bananaは、無料のGeminiアカウントでも利用できます。まずは基本的な使い方を見てみましょう。

●利用開始の手順
Gemini にアクセス
Googleアカウントでログイン(無料アカウントでOK)

ログイン完了したらこの画面になります。筆者のサブアカウントの画面です。

チャット画面の入力欄にプロンプト(指示文)を入力

赤枠とその順番に気を付ければ画像生成できるようになります。

画像生成の指示を日本語で入力

あっという間に完成です。画像は毎回違う結果になります。

●基本的な画像生成
Geminiのチャット画面で、「画像を生成して」という指示とともに、生成したい画像の説明を入力します。例えば:

抽象的な「友情」という概念を表現する温かいイラストを生成してください。
虹がかかる空の下、二人の子どもが手をつないで歩いている場面。
水彩画風で、優しい色調で描いてください。
横長にして。

このような具体的で詩的な表現を使うことで、抽象的な概念も以下のように、美しい画像として表現できます。無料のGeminiアカウントでも、このような高品質な画像生成が可能です。

上記のプロンプトにて、抽象的な概念も表現できる

この画像を生成後に「2人とも身長が高くなって、大人になる。衣装は変わっていいけど髪型は変わらない。」というプロンプトを入れると、成長した姿の画像が生成されます。

1枚目の画像をベースに大人になった姿を生成

探究学習での実践的活用法

このようなNano Bananaですが、探究学習では有効的に活用できると思います。

1. 抽象的概念の見える化
探究学習では、「平和」「環境」「多様性」といった抽象的なテーマを扱うことがあります。Nano Bananaを使えば、これらの概念を具象的な画像として表現できます。

Geminiで画像生成。下記プロンプトで作成
活用例:「多様性」の表現
様々な文化的背景を持つ子どもたちが一つの大きな木の下で、それぞれ違う楽器を演奏している場面の画像を生成してください。みんなが笑顔で、調和のとれた音楽を奏でている様子。イラスト風で、カラフルで温かい雰囲気で描いてください。横長で生成。

2. 仮想的なシナリオの描写
「もしも恐竜が現代に生きていたら」「100年後の地球環境」といった仮想的な設定を視覚化することで、思考実験の結果を共有しやすくなります。

Geminiで画像生成。下記プロンプトで作成
活用例:未来の学校の想像
2050年の教室の様子の画像を作成してください。空中に浮かぶホログラムで授業を受ける子どもたち。机は透明で、植物が机の中で育っている。窓からは緑豊かな都市が見え、空飛ぶ車が通っている。明るく希望に満ちた雰囲気で、子どもたちは楽しそうに学んでいる様子で。横長で生成。

3.実践的な活用テクニック
<キャラクターデザインの一貫性を保つコツ>
同一キャラクターを様々な場面で描く際のプロンプト例を紹介します。

Geminiで生成。プロンプトは下記の基本となる画像を生成を参照。
基本となる画像を生成
親しみやすい表情の小学生の女の子の画像を生成してください。ショートカットの黒髪、大きな瞳、明るい笑顔。白いシャツに青いスカート。アニメ風のイラストで描いてください。横長。
Geminiで生成。プロンプトは下記の衣装変更を参照
衣装変更。そのままチャットを続けて:
この女の子の服装を科学者の白衣に変えて、実験室でビーカーを持っている様子にしてください。表情と髪型は同じままで、キャラクターの特徴を保持してください。
Geminiで生成。プロンプトは下記の衣装変更を参照
表情と衣装変更
この女の子を真剣な表情に変えて、図書館で本を読んでいる様子にしてください。服装は制服のまま、キャラクターの基本的な特徴は維持してください。

<キャラクターデザインの一貫性を保つコツ>
Nano Bananaの最大の強みである一貫性を活かして、探究学習の過程を物語として表現できます。例えば、環境問題への取り組んだとき、キャラクター「エコちゃん」を主人公にして、さまざまな表現が可能です。

Geminiで生成。「エコちゃん」のプロンプトは下記を参照
「エコちゃん」のプロンプト
小学生の女の子がかわいいと反応するような、守りたくなるかわいさのある「エコちゃん」をつくる。環境問題を想起させるゆるキャラ。アニメのセル画タッチ。綴りはeco chanで全て小文字。横長で生成。

「エコちゃん」が汚れた川を見て悲しんでいる場面では、次のような画像を生成しました。

Geminiで生成。プロンプトは「汚れた川を見て悲しんでいる場面

また、「エコちゃん」が友だちと一緒に川掃除をしている場面も表現。

Geminiで生成。プロンプトは「エコちゃんと友だちと一緒に川掃除をしている場面。友達は人間、いぬ、ねこ、たぬき。エコちゃんのキャラと景色はそのまま。表情はがんばる。

さらに、「エコちゃん」が清流になった川で魚と遊んでいる場面も作ってみました。このように 連続性のある画像で、問題発見から解決までのプロセスを視覚的に表現できます

Geminiで生成。プロンプトは「清流になった川で魚と遊んでいる場面。キャラ、背景はそのまま。奥の女の子はアミは持っていない。

抽象概念を具体化するプロンプトの書き方

以下の画像は「学びの喜び」を表現したものですが、このような抽象的な概念を生成するプロンプトのコツについても紹介します。

Geminiで生成。プロンプトは下記の「学びの喜びを表現」を参照。

抽象的な概念を表現する際は、以下の4つの要素を組み合わせます。
①メタファー(比喩): 「知識が水のように流れ込む」
②シンボル: 「平和の象徴として鳩と虹」
③色彩: 「希望を表現する温かいオレンジ色」
④雰囲気: 「優しく包み込むような光」

例:「学びの喜び」の表現
知識の扉を開く瞬間を表現した画像を生成してください。大きな本から光があふれ出し、その光が様々な学問の象徴(数式、地球儀、楽器、絵筆など)に変化している様子。子どもがその光に包まれて嬉しそうな表情。ファンタジー風で、きらめく光の効果を加えてください。

安全な活用のために

画像生成には、いくつかの注意すべきポイントがありますので、押さえておきましょう。

  • 著作権への配慮既存のキャラクターや商標を模倣しないよう注意しましょう。オリジナルのキャラクターデザインを心がけることが大切です。
  • 適切な表現の選択教育現場で使用する画像として適切かどうか、生成前に十分検討しましょう。
  • 生成画像の確認AIが意図した通りの画像を生成したか、内容に問題がないか必ず確認してから使用しましょう。

また、プライバシーと安全性を考慮して、 Nano Bananaで生成されたすべての画像には、SynthIDという不可視のデジタル透かしが埋め込まれ、AI生成画像であることが識別できるようになっています 。これにより、画像の出自が明確になり、安全な利用が促進されます。

無料利用と制限について

Geminiの無料アカウントでも、Nano Bananaの画像生成機能を利用できます。ただし、 無料版では以下の制限があります

  • 1日あたりの生成回数制限:無料アカウントでは、1日に生成できる画像数に上限があります(具体的な数は公式発表されていませんが、数回程度)
  • 生成速度の制限:短時間で多くの画像を生成すると、一時的に制限がかかる場合があります
  • 1回の生成枚数制限:1回のプロンプトで生成される画像枚数は少数に限られます

制限に達した場合は、翌日にリセットされるまで待つ必要があります。それでも、教育現場での日常的な利用においては、無料版でも十分に創造的な学習活動に取り組むことができます。

より頻繁に利用したい場合や人物画像を生成したい場合は、有料のGemini Advanced(月額2,900円)へのアップグレードを検討できます。有料版では制限が大幅に緩和され、より高品質で高速な画像生成が可能になります。

Geminiで生成

探究学習の新しい可能性

Nano Bananaの登場により、探究学習における表現の可能性が大きく広がりました。従来は言葉でしか表現できなかった抽象的な学びや仮想的なシナリオが、美しい画像として具現化できるようになったのです。

特に、 同一キャラクターの一貫性という特徴を活かすことで、学習の過程を物語として表現したり、長期的な変化を視覚的に追跡したりすることが可能 になります。これは、子供たちの学びをより深く、より楽しく、より印象的なものにしてくれるでしょう。

Nano Bananaは現在もプレビュー版であり、Googleは継続的な改善を行っています。長文テキストの正確な表示、さらなる一貫性の向上、細部表現の精度向上などが予定されており、教育現場での活用可能性はますます広がっていくことが期待されます。

探究学習の成果を「見える化」し、子どもたちの創造性を最大限に引き出すツールとして、Nano Bananaは間違いなく教育現場の「救世主」となるでしょう。まさに、想像力を画像に変える魔法のツールなのです。

※本記事で紹介した機能や利用制限は2025年9月時点の情報です。最新の情報については、Geminiの公式サイトをご確認ください。

📚 連載「EducAItion Times」バックナンバーはこちら /

教育や育児に役立つ生成AIの情報や活用方法をお届けするお勧め連載!過去の好評記事もあわせてチェックしてみてください。

▶ バックナンバーはこちらから
IKIGAI lab./伊藤 雅康

「studio veco」代表。クリエイティブ分野と教育分野を軸に生成AIの研修を学校や企業に展開している。名古屋を中心に親子で体験する生成AIイベントを多数開催。NewsPicks TOPICS 「IKIGAI Lab.」執筆。IKIGAI Lab.:140名のメンバーが所属する生成AIコミュニティ。監修:髙橋和馬・田中悠介。編集:新谷信敬。