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ゲームマーケット2025秋で見つけた、算数・地理・英語を楽しく学べるアナログゲーム

ゲームマーケット2025秋「ポケモンボドゲくらぶ」ブースではピカチュウが登場

ゲームマーケットは、毎年東京で2回、大阪で1回開催されている国内最大規模のアナログゲームイベントである。アナログゲームとは、電源を使わずに遊ぶゲームの総称で、ボードゲームやカードゲーム、テーブルトークRPG、シミュレーションゲームなどさまざまなジャンルが含まれる。

会場には、アナログゲームを開発・販売する大手企業のブースもあるが、出展の大多数を占めるのは、個人やサークルなどのブースであり、来場者は試遊や販売を通して多様なゲームに触れられる。

本稿では、ゲームマーケット2025秋に出展されていた中から話題のブースや、算数や地理、英語などを楽しく遊びながら学べるアナログゲームを中心に紹介したい。

過去最大規模の開催 ゲームマーケット2025秋

ゲームマーケット2025秋は、2025年11月23日・24日の2日間、幕張メッセで開催された。2日間の参加者総数は3万人にのぼり、一般出展は1日目が906、2日目が817、企業出展は両日とも88と、参加者数・出展数ともに過去最大規模となった。

ゲームマーケットは、1日目と2日目で会場レイアウトが異なるのも特徴だ。2日目は、伝統ゲームコーナーや謎解きフェスタなど、特別企画のスペースが用意された。また、近年ブームなっているリアル謎解きゲームに関連して、「謎祭り」と題した企画も行われていた。

ゲームマーケット2025秋の入場ゲート
ゲームマーケット内で、リアル謎解きイベントが開催されていた

12月18日発売したばかり「ポケモンごいた」を試遊してきた

年末年始などに家族で楽しめるボードゲームとしておすすめしたいのが、「ポケモンボドゲくらぶ」ブースで試遊できた「ポケモンごいた」である。

「ポケモンボドゲくらぶ」は会場でも大きなブースを構え、「ポケモンごいた」「ポケモンタルカ」「ポケモンババ抜き」の3種類のボードゲームを体験できた。その中でも「ポケモンごいた」は、2025年12月18日発売の新作ゲームで、ゲームマーケット2025秋の開催時点では未発売だったこともあり、特に人気があった。

大きなブースを出展していた「ポケモンボドゲくらぶ」では、3種類のポケモンボドゲを試遊することができた
ブースでポケモンボドゲを試遊して、撮影した写真をハッシュタグを付けてSNSに投稿することで、缶バッジがもらえる
試遊できるボドゲは12月18日発売の新作「ポケモンごいた」と、「ポケモンタルカ」「ポケモンババ抜き」の3種類である

「ポケモンごいた」は、江戸時代末期に石川県能登町で生まれた伝承娯楽「ごいた」のコマを親しみやすいポケモンにしたもので、2人対2人のチーム戦で戦うゲームだ。8枚ずつ配られたコマを最初に全て場に出したほうが勝ちというシンプルなゲームだが、駆け引きや読み合いも重要になる。ポケモンのコマを使っているため、子供にも親しみやすい。

「ポケモンごいた」の試遊の様子
コマを円形に並べて、4人で1枚ずつ順番にコマを取っていく。1人8枚ずつコマを持つことになる
手持ちのコマをルールにしたがって出していき、最初に8枚のコマを全て場に出した人が勝ちとなる
参加者にはピカチュウのヘアバンドが配られた

また、日曜日に設けられていた伝統ゲームコーナーでは、「ポケモンごいた」の元となった「ごいた」をプレイすることができた。ルール自体は全く同じだが、こちらは竹製の将棋の駒に似たコマを使ってプレイする。

本物の「ごいた」では、竹製のコマを使う
手前側にいる筆者が、最初に8個のコマをすべて場に出したので上がりとなった

子供に人気の「ビッグゲームパーク」や「こどもゲームコーナー」も設置

ゲームマーケット2025秋では、小学生や未就学児を主なターゲットにしたコーナーも用意されており、子供たちが楽しそうに遊んでいた。

「ビッグゲームパーク」は、お馴染みのアナログゲームの巨大版で遊べるコーナーであり、「FILLIT」や「宝石がいっぱい!」「ウボンゴ 3D」などを全身を使ってプレイできる。また、「こどもゲームコーナー」では、マットや乗り物、魚釣りなど、ボードゲームやカードゲームが難しい年齢の子供でも遊べるゲームが用意されており、こちらも賑わっていた。

人気のアブストラクトゲーム「FILLIT」の巨大版
カードをめくって宝石を探す「宝石がいっぱい!」の巨大版
立体パズルゲーム「ウボンゴ 3D」の巨大版

小学生も楽しく挑戦!九九の麻雀「九九ジャン」と2進法が学べる「ゼロイチ」

色セロファンを重ねるパズルゲーム「かさねイロ」などで知られるGEO GAMESのブースで紹介したいのが、遊びながら九九を学べる「九九ジャン」だ。

「九九ジャン」は、麻雀を超簡略化したルールであり、4枚のカードを全て同じ九九の段で揃えれば上がれるというゲームだ。例えば、手持ちのカードが、5,10,15,25になれば、すべて5の段なので上がれる。「九九ジャン」は1~9の段までだが、「九九ジャン拡張版」を追加すれば10~12の段も追加されるので、より難易度が上がる。九九を覚え始めのお子さんにおすすめだ。

「九九ジャン」の箱。2人~4人でプレイでき、対象年齢は6歳以上だ
「九九ジャン」をアプリで体験。同じ九九の段で、カードを4枚集めれば上がれる

また、ゼロイチのブースでは、2進法を覚えられるカードゲーム「ゼロイチ」の試遊やスタッフとのバトル、販売が行われていた。「ゼロイチ」は、山札をめくって出た数字を、プレイヤーの手元にある4枚の「0」と「1」のカードを使って素早く作った人が勝ちというゲームだ。

ゼロイチカードは表が「1」、裏が「0」になっており、2進法で0~15までの数を表現できる。こちらもルールはシンプルで、2進法という言葉自体は知らなくても、右から1の位、2の位、4の位、8の位ということを理解すれば、小学生でも問題なく遊べる。

「ゼロイチ」は、山札をめくって出た数字を、手元にある4枚のゼロイチカードを使って素早く作った人が勝ちというゲームであり、2進法の勉強になる
この場合、7を先に揃えたほうが勝ちだ。手前のプレイヤーが先に0111(7)を揃えており、手前が勝ちとなる

地理・算数・英語など教科の学習に役立つゲームも!

ラガラガ・ラボは、遊びながら学べるアナログゲームを多数制作しており、今回は新作として都道府県を学べる「地理トリ」を出展していた。

「地理トリ」は、複数のルールで遊べるアナログゲームで、基本となる「地理トリ・ランドリ合戦」では、一番早く都道府県カードを10枚集めるか、いずれかの地方のカードを全て集めたプレイヤーが勝利となる。場に出ている都道府県カードが手札のランキングカードに当てはまれば、そのカードを取ることができるので、遊びながら都道府県の特徴を覚えられる。

最もスタンダードなルールが「地理トリ・ランドリ合戦」であり、一番早く都道府県カードを10枚集めるか、いずれかの地方の都道府県カードを全て集めたプレイヤーが勝利となる
「地理トリ」は、遊びながら都道府県の特徴を覚えられるゲームだ
場に出ている都道府県カードが手札のランキングカードに当てはまれば、そのカードを取ることができる

そのほか、分数のイメージを直感的に理解できる分数陣取りゲーム「フラテリ」や、倍数や約数を身につけられるカードゲーム「ファクター」、鉱石を発掘するハックツ探査型ボードゲーム「ハックツ!!」なども出展されていた。

こちらは分数陣取りゲーム「フラテリ」。自陣の色円を完成させたら勝ちとなる
倍数や約数を身につけられるカードゲーム「ファクター」と鉱石を発掘するハックツ探査型ボードゲーム「ハックツ!!」

同じく地理ゲームで紹介したいのが、ツイモットゲームズの「ツイモット」だ。この名称は、「つい、もっと」遊びたくなるゲームということから付けられたという。「ツイモット」は、8歳以上が対象の「ホシトル★バトル」と、6歳以上が対象の「チリカルタ」の2つのルールで遊べ、「ホシトル★バトル」は、地理の知識を活かして星を多く集めた人が勝ちとなる。「チリカルタ」は、シンプルなかるた遊びであり、どちらも遊びながら都道府県に詳しくなれる。

「ホシトル★バトル」のプレイの様子。地理の知識を活かして星を多く集めた人が勝ちとなる

学習ゲーム・インダストリーズは、英語塾を母体とするアナログゲーム制作チームで、遊びながら英語を楽しく学べるカードゲーム3種類を出展・販売していた。動詞や形容詞、名詞といった、英文法の基本となる品詞を遊びながら学べるゲーム「ABCアッセンブル」や、動詞の原形、過去形、過去分詞形を学ぶことができるゲーム「VerbMon」、また、2枚のカードに共通する単語を見つけるシンプルなルールの「AIM TWO」と、いずれも英語学習の入り口として取り入れやすい。

小学校でも英語の授業が必修になっているが、学習ゲーム・インダストリーズのカードゲームはすべて小学生でも十分楽しめるようにできているので、お子さんを英語に親しませたいと考えている親御さんにもおすすめしたい。

「ABCアッセンブル」では、動詞や形容詞、名詞など、英文法の基本となる品詞を遊びながら覚えられる
「VerbMon」では、動詞の原形、過去形、過去分詞形を学ぶことができる
「AIM TWO」は、2枚のカードに共通の単語を見つけるシンプルなルールで、遊びながら単語を覚えることができる

四則演算だけで遊べる推理型の算数ゲーム「ゼニガタ」

算数や数学をテーマにしたアナログゲームを制作している、なるしす娯楽学会のブースでは、三角関数と麻雀を組み合わせた「三角関数麻雀」や、じゃんけんとインディアンポーカーを組み合わせた「インディアンじゃんけん」など人気ゲームに加え、新作の算数ゲーム「ゼニガタ」が出展・販売されていた。

三角関数麻雀など、算数/数学系ゲームの制作が得意ななるしす娯楽学会のブース

「ゼニガタ」は、ヒントをもとに盗まれた数を推理して当てるゲームだ。プレイヤーには、数字が書かれたカードと、使われた数字と記号のサイコロ、さらに合計点数といった情報が与えられ、それらをもとに盗まれた数を当てる。必要な計算は四則演算だけなので、小学生でも十分遊べる。算数が好きな子には特におすすめしたい。

「ゼニガタ」は、ヒントから盗まれた数を推理して当てるゲームだ
先ほどのヒントから推測された答えがこれ。盗まれた数は「4」「32」「45」の3つである

また、算数パズルを集めた冊子「式変形パズル」も販売されていた。こちらも四則演算だけなので、幅広い層におすすめする。「三角関数麻雀」は、基本的には三角関数を学ぶ高校生以上がターゲットだが、遊び方のレベルがいくつかあり、一番簡単なレベルだと、三角関数を全然知らなくても遊ぶことができるので、数学に興味があるなら中学生のお子さんにもおすすめだ。

左から「インディアンじゃんけん」、「コロンブスピード」、「三角関数麻雀」

数学や化学などの理系分野をテーマにしたアナログゲーム

理系ゲームズは、以前からゲームマーケットに出展している老舗のアナログゲーム制作チームであり、その名の通り、数学や物理、化学などの理系分野をテーマにしたアナログゲームを制作している。

今回のブースでは、素因数分解を題材とした「素数スピード」をはじめ、高校物理の熱力学で出てくるPVグラフを題材とした「熱力学ワーカーズ」、高校化学の有機反応を題材とした「有機大富豪」が出展・販売されていた。「熱力学ワーカーズ」と「有機大富豪」は、主に高校生以上がターゲットとなるが、「素数スピード」は、小学生でも理解できる素因数分解とトランプのスピードを合わせたようなゲームであり、レベルも4段階に分かれている。小学生から大人まで楽しく遊びながら、素因数分解に親しむことができる。

「素数スピード」は、素因数分解とトランプのスピードを組み合わせたようなゲームで、レベルが4段階に分かれているので、小学生から大人まで楽しく遊びながら、素因数分解に親しむことができる

学生ゲームアイデアコンテストの受賞作品を出展していたアーテック

理科教材やSTEM教材、知育玩具で知られるアーテックは、今回がゲームマーケット初出展となり、同社が制作したアナログゲームを多数出展していた。

ブースでは、トーク型パーティゲーム「アルカナイカ」や、擬音を叫ぶパーティゲーム「ぎおーん」(いずれも2026年1月発売予定)を展示。「ぎおーん」は4歳以上が対象で、家族でも遊びやすい。

左があるある話を語り合うトーク型パーティゲーム「アルカナイカ」、右が閃いた擬音を叫ぶパーティゲーム「ぎおーん」

アーテックは毎年、学生を対象としたゲームアイデアコンテストを主催しており、優秀作品を商品化している。立体型戦略ゲーム「LOOK ME」と恋愛戦略バトル「アイジャ」は、どちらも2024年のゲームアイデアコンテストの受賞作品であり、2026年1月に発売予定だ。「LOOK ME」はコマを動かして相手より先に仲間と目を合わせれば勝ちというゲームであり、ブースで試遊することもできた。

また、ひらがなをつなげてこの世にない言葉を作る「それ、あるんじゃない?」(2023年のゲームアイデアコンテスト受賞作品)やカードを並べて変顔を作る「へんがおならべ」も展示されていた。この2つのゲームはすでに発売済みで、「それ、あるんじゃない?」は6歳以上、「へんがおならべ」は3歳以上が対象なので、子供と遊ぶにもおすすめだ。

左が立体型戦略ゲーム「LOOK ME」、右が恋愛戦略バトル「アイジャ」。どちらも2024年のゲームアイデアコンテストの受賞作品である
左が2023年ゲームアイデアコンテストの受賞作品「それ、あるんじゃない?」。右がカードを集めて変顔を作る「へんがおならべ」
「LOOK ME」は、コマを動かして相手より先に仲間と目を合わせれば勝ちというゲームだ

筆者はPCやSwitchなどのデジタルゲームも好きで、自分の子供たちにも自由に遊ばせてきたが、アナログゲームにはアナログゲームならではの良さがあり、子供たちも好きである。アナログゲームに興味があるなら、家族で訪れてみてはいかがだろうか。次回は、ゲームマーケット2026春で、2026年の5月23日・24日に開催されることが決定している。

石井英男

PC/IT系フリーライター。ノートPCやモバイル機器などのハードウェア系記事が得意。最近は3DプリンターやVR/AR、ドローンなどに関心を持ち、取材・執筆を行っている。子どもを持つ父親として、子どもへのプログラミング教育やSTEM教育にも興味があり、CoderDojo守谷のメンターとして子どもたちにプログラミングを教えている。