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映画『マインクラフト/ザ・ムービー』の世界をチーム戦で楽しめるホイール・オブ・スティーブ

教育版マインクラフト ワールド紹介その⑮

教育版マインクラフトの膨大なワールドを紹介する本シリーズ。今回は、今年公開され話題になった映画『マインクラフト/ザ・ムービー』のインスパイア企画としてリリースされた「 ホイール・オブ・スティーブ 」をとりあげる。

最大4人までのチーム2組によるマルチプレイで、5種類のミニゲームで勝敗を競う、いわばeスポーツ的な要素を持つワールドだ。おなじみスティーブを含む登場人物が案内人として登場し、5つのミニゲームには、映画のセットやシーンを思わせる演出が用意されていて、思わず笑ってしまう。映画を見た人も、まだの人も、それぞれ楽しめるワールドで、学校の教室や地域の催しなどで活用すれば、盛り上がること間違いない。

なお、映画は現在、各種配信サービスでも視聴可能で、筆者も遅ればせながら鑑賞し、「よよよよーがん」の歌がしばらく耳に残って困った……。

ホイール・オブ・スティーブのはじめ方

「ホイール・オブ・スティーブ」のワールドは、図書館(ライブラリ)から検索するのが手っ取り早いだろう。画面右上の検索ボックスから「ホイール」など、ワールド名の一部を入力すれば検索できる。ワールド内のコンテンツはすでに日本語化されており、児童生徒だけで遊びはじめることも可能だろう。

教育版マインクラフトの図書館(ライブラリ)。検索ボックスに「ホイール」と入力してワールドを見つけよう。余談だが、図書館の中のカテゴリーは時々見直されることがあるので、ワールド名で検索するこの方法を知っておくとよい

詳細画面から、いつものように「ワールドの生成」をクリックしよう。ワールドが生成されたら画面の案内に従い、右クリックすると説明動画がはじまる。映画の登場人物たちが待つ、5つのゲートと中央のホイール(ルーレット)が見えてくる。

ゲームがはじまると、ワールドの様子が表示される。ゲームを選ぶホイールと映画の登場人物であるスティーブと4人の仲間が待つゲートが見える

チームに分かれて競い合おう

ワールドを進めると、赤と青、2色の地面が並んでいる場所に出現する。ここでまず、赤チームと青チームに分かれる。

マルチプレイで遊ぶ場合は、ワールドを作成した人がそのままホストとなり、「ホストを開始」して表示される参加コードを共有しよう。参加者たちは「世界に参加」からコードを入力すれば参加できる。事前に最大4人×2チームを編成しておくとスムーズだ。なお、人数にはホストも含まれるため、できるだけ均等にしておくのが好ましい。また、1人で遊ぶ”自主トレ”も可能である。

ホスト役はワールドを作成後、「ホストを開始」して参加コードを知らせよう

ただ、抜群に上手なプレイヤーがいる場合など、ハンデを考える必要があるかもしれない。逆に、筆者のような下手っぴがチームに混ざると他のメンバーが暗い顔になるので、そういう場合の逆ハンデもあるといいかもしれない。このあたりは、クラス/クラブ運営の設計にも通じるところである。

参加するメンバーが集まったら、赤と青のどちらかに並んでチーム分けを行う。ここまで準備ができたところで、ホスト役はその場にある開始スイッチを2回タップ。これでゲームが開始され、赤青2色のユニフォームに着替えたメンバーが試合会場にテレポートされる。

メンバーは世界に参加後、青と赤のどちらかに並ぶ。スキンも色分けされるのでわかりやすい
開始ボタンはホストしか押せない

このワールドは、一度ゲームを開始するとチーム分けのやり直しや、プレイヤーの途中参加はできない。ホストも必ず参加する必要があり、9人目以降のプレイヤーは、ワールドに入れてもゲームには参加できない、という哀しい仕様なので気をつけよう。

5つのミニゲームはユニークなものばかり

ミニゲームへの参加方法は2通りある。ゲートを選んで前にいるキャラクターに話しかける方法と、ホイールを回すことで参加する方法だ。ただし、いずれの操作もホスト役にしかできない。ホイールの場合、どのゲームが選ばれるかはランダムとなる。先に3勝したチームが勝ちだ。勝ったチームには、最後にさらなるご褒美ゲームがまっているのでお楽しみに。

一方、ゲートを選んだ場合は、その結果はチームの勝ち負けにカウントされない。つまり練習という扱いだ。

ゲートの前のキャラクターに話しかけると、ミニゲームの概要について語ってくれるので聞いてみよう。そのまま進むには、「プレイする」ボタンからはじめる。

例えば、ゲート前のスティーブに話しかけると、オーブ・アンブッシュについて説明してくれる

それでは5つのミニゲームについて簡単に紹介していく。

①オーブ・アンブッシュ(Orb Ambush)

映画に登場した重要アイテム「オーブ」を使ったミニゲーム。プレイヤーたちは1つのオーブを取り合い、より長い時間持ち続けたチームの勝ちとなる。ただし、同じプレイヤーがずっと持ち続けていると徐々に動きが遅くなるため、途中で仲間に渡すなどの工夫が必要になる。相手チームからどうかわすのか、あるいは邪魔をするかといった戦略も重要だ。また、このゲームを1人でプレイする場合、なんと相手側がゾンビピグリンになる。映画の中の一幕のようだ。

オーブを見つけて手に入れたら会場内を逃げ回ろう
はじめて見るとちょっとビックリな動くNPC、映画にもいたゾンビピグリン

②装置クラフトオフ

壊れてしまった重要な機械を修理するミニゲームで、チームの人数によってゲームの進行が変わる。少人数(1対0、1対1、1対2)の場合は、棚にある機械部品をさがし、中央の指示を見ながら作業台で装置のパーツを作り出す。全部で8つのパーツを完成させるか、時間内により多くのパーツを作ったチームの勝ちだ。

2対2以上のメンバーでやる場合、チーム内の1人がランダムに倉庫側にテレポートされ、設計図を探して仲間に伝える役目を担う。設計図探しに時間がかかると、他のメンバーがら嘆き声が聞こえてくる。また、完成した装置パーツを受け取り、機械を直すという重要な役目もある。誰が選ばれるかわからないので、この役目のスキルアップはなかなか難しい。

棚を探して設計図にあわせて作業台に配置しよう。ときに設計図係になることがあるので覚悟がいる

③グリッドウォーズ

中央のパネルに表示されたブロックの組合せに従って、フィールドに置かれている色違いのブロックを集めて正しくパネルに並べていくミニゲームだ。ただし、ブロックは一度に1つしか持ち歩くことができないので、色の組合せに応じてチームの采配が問われる。また、相手チームが先に並べ終わると、得点は入らないので、相手の出方を見ながら進め方を考える必要もある。

色違いのブロックをより早く自分のパネルに配置していく、チームではコミュニケーションが重要だ

④ノック・イット・オフ

たくさん並んだ的に矢を当てていくゲーム。プレイヤーは向きは変えられるが、自由に移動はできない。この的は位置や当てる順番によって得点が変わるため、どの的をどう組み合わせて狙うのが効率的か、試行錯誤が問われる。ところどころにお馴染みのモブたちがいて可愛い。

数多くの並べられた的を狙って矢を射っていく。選んだ的、射る順番で点数が変わってくる

⑤エリトラ・ランブル

みんな大好きなエリトラとTNTを使ったゲーム。空中に浮かんだ高台から飛び降りてエリトラを開き、ロケット花火を使って飛行する。途中、空中に浮かぶTNTの近くを通ると入手でき、そのまま相手チーム色の火山を目指し、火口にTNTをうまく投げ込めれば得点になる。

ただしタイミングが少々難しいので、このゲームも練習が大切だ。相手チームの邪魔をするなどチームとしての戦略、連携も大切そうだ。4対4ぐらいでやると、かなりの混戦となって盛り上がる。

みんな大好きなエリトラ
エリトラとロケット花火を使って飛行し、空に浮かんだTNTを手に入れる。相手側の火山の火口により多くのTNTを入れたチームの勝ちになる

ホイールを回して試合を開始しよう

各ミニゲームの様子がわかったら、試合をやってみよう。ホスト役がホイールをタップして回すと、止まったミニゲームに自動的に進む。ホイールを操作できるのは、ホスト役のみのため、進行役としての積極的な関わりが必要だ。動きがもたついたり、ぼーっとしていると、他のプレイヤーから指摘されるかもしれない。ちょっとしたリーダー体験にもなりそうだ。

勝ち負けは自動で記録され、先に3勝したチームの勝ちとなる。

ホイールをタップすると回すかどうか聞いてくる「スピンザホイール」で回そう

勝ったチームには、ご褒美としてスペシャルゲームが用意されている。崖を降りながらエメラルドを集め、一番多く集めたプレイヤーが真の勝者として讃えられる。いわば、MVPといったところか。

勝った方のチーム内で競い合うスペシャルゲーム。最後の勝者はいったい誰か

さらに勝敗が決しても、引き続き同じチーム編成のまま再試合を続けることも可能だ。メンバー構成を変えたい場合は、いったん終了して、ワールドの生成からやり直せばよい。各ミニゲームは、1回あたりだいたい数分で終了するので、時間管理がしやすい点もこのワールドの特徴だ。

学校でも利用しやすい、ゆるいeスポーツ「みんなでホイールを回そう」

今回とりあげた「ホイール・オブ・スティーブ」は、映画のインスパイア企画という親しみやすさもあり、マイクラ経験の浅い子供たちでも積極的にチャレンジしやすいワールドだ。多様なミニゲームを通して、チームで競い合う中から、コラボレーションやコミュニケーション、クリエイティビティといった21世紀型スキルの育成も期待できる。

ホスト役も、児童生徒中心で運営できるので先生たちの負担も抑えられるだろう。時間厳守など最低限のルールだけ共有し、その範囲で遊びやすい環境をやりながら整えて欲しいと思う。

最後に、このようなeスポーツ利用のヒントとして、教育版マイクラの自習コース「eスポーツプログラムを発展させるには(Grow your Minecraft esports program)」を紹介しておきたい。今は英語のみだが、機械翻訳で十分理解でき、日常的な体験から、学年、学校全体、地域へと広げていく段階的なアプローチが紹介されている。まずはクラスや放課後のクラブ活動など、先生の目の届く範囲から始めてみてはどうだろう。

「なあなあ、今日なにする?」「3対3でホイール回そう」なんてやりとりが日本各地で聞こえてきたら、なかなか面白い。

新妻正夫

教育ライター/ICTコンサルタント。MIEE2022-2023、Global Minecraft Mentor。2012年よりCoderDojoひばりヶ丘を主宰、STEAM分野で豊富な経験を持つ。コワーキング協同組合理事、ペライチ公式埼玉県代表サポーター他、多方面で活動中。 教育版マインクラフトを活用した緩(ゆる)イースポーツ「はちみつカップ」の普及が最近のマイブーム。